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正社員とパートの賃金差はどうなる?

正社員とパートの賃金差はどうなる?

正社員とパートの給与差は違法になるのか。 同一労働同一賃金で重要なのは金額差そのものではなく、 その差を説明できるかです。 中小企業が確認したい給与・賞与・手当のポイントをわかりやすく解説します。

Executive Summary

  • 正社員とパートに賃金差があるだけで、直ちに問題になるわけではありません。
  • 仕事内容や責任の違いを確認することが重要です。
  • 基本給だけでなく、賞与や各種手当も確認します。
  • 「正社員だから」「パートだから」だけではなく、待遇差の理由を説明できる状態が必要です。
  • 給与制度を一度見える化すると、見直すべきポイントが分かりやすくなります。

「正社員は月給で給料を払っている。 パートは時給で働いてもらっている。 同一労働同一賃金になると、この差はなくさないといけないのか?」

中小企業の経営者や個人事業主の方にとって、 とても気になるところではないでしょうか。

とくに長年、 正社員とパートで給与体系を分けてきた会社では、 「今までの給与制度が全部ダメになるのではないか」 と不安になるかもしれません。

しかし、 正社員とパートに給与差があること自体が、 直ちに問題になるわけではありません。

大切なのは、 「なぜその差があるのか」 を仕事内容や責任などに照らして確認することです。

今回は、 正社員とパートの賃金差を考えるときに、 中小企業がどこを見ればよいのかを順番に整理します。

正社員とパートの給料は、本当に同じにしなければならない?

「同一労働同一賃金」という言葉を見ると、 同じ会社で働いている人は、 全員同じ給与にしなければならないように聞こえるかもしれません。

しかし、 実際の考え方はもう少し細かくなっています。

まず確認するのは、 正社員とパートが、 実際にどのような仕事をしているのかという点です。

たとえば、 飲食店で正社員とパートが、 どちらも接客やレジ業務を行っているとします。

表面的には、 「同じ仕事をしている」 ように見えるかもしれません。

しかし正社員には、 さらに次のような仕事を任せている場合があります。

  • 売上管理
  • 在庫管理
  • 発注業務
  • 新人教育
  • シフト作成
  • クレームへの最終対応
  • 店舗運営に関する判断
  • 急な欠員への対応
  • 配置転換や転勤への対応

一方、 パート社員には勤務時間内の接客やレジ業務を中心にお願いし、 店舗全体の管理責任までは求めていないかもしれません。

このような違いがあれば、 仕事内容や責任などを踏まえて、 給与に違いがあることを考えることになります。

つまり、 一部の作業が同じだから、 すぐに給料も同額にしなければならないということではありません。

見るべきなのは「肩書き」より実際の仕事です

ここで気をつけたいのが、 雇用契約書や会社の肩書きだけを見て判断しないことです。

会社としては、 「正社員は責任が重い」 「パートは補助的な仕事」 と考えていても、 実際の職場では違うことがあります。

たとえば、 パート社員が長年勤務しているため、 新人の正社員に仕事を教えているケースがあります。

さらに、 店長が不在の時間にはパート社員が現場をまとめ、 お客様からの苦情対応や判断まで行っていることもあります。

この場合、 「パートだから責任は軽い」 という会社側の認識と、 実際の仕事が一致していない可能性があります。

同一労働同一賃金への対応では、 会社が決めた肩書きだけではなく、 実際にどのような仕事と責任を任せているのか を確認することが大切です。

賃金差を見るときに確認したいポイント

正社員とパートの待遇差を確認するときは、 単純に給与明細の金額だけを比べるのではなく、 いくつかの視点から整理すると分かりやすくなります。

1. 仕事内容

まず、 普段どのような仕事を担当しているのかを確認します。

「正社員だからこの仕事」 「パートだからこの仕事」 と決めつけるのではなく、 実際に行っている仕事を書き出してみます。

2. 責任の重さ

次に、 その仕事でどの程度の責任を負っているのかを確認します。

たとえば、 ミスが起きたときの対応、 売上や在庫への責任、 部下やスタッフへの指示、 お客様とのトラブル対応などです。

3. 配置変更や転勤の範囲

正社員には店舗間の異動や部署変更がある一方で、 パート社員は特定店舗や特定業務だけを担当する場合があります。

このような働き方の違いも、 待遇差を考えるうえで確認するポイントになります。

4. 能力や経験

給与制度の中で、 能力や経験をどのように評価しているのかも確認します。

ただし、 「正社員の方が能力が高いはず」 と一律に考えるのではなく、 実際の評価制度や役割との関係を整理することが大切です。

基本給だけを見ればよいわけではありません

正社員とパートの待遇を確認するときに、 経営者が見落としやすいのが、 基本給以外の待遇です。

同一労働同一賃金では、 基本給だけを確認すれば終わりというわけではありません。

たとえば、 次のような待遇についても確認します。

  • 賞与
  • 通勤手当
  • 役職手当
  • 皆勤手当
  • 食事手当
  • 住宅に関する手当
  • 慶弔休暇
  • 福利厚生施設
  • 健康診断
  • 教育や研修の機会

厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインでも、 基本給、賞与、各種手当、福利厚生、教育訓練などについて、 待遇差を考える際の考え方が示されています。

つまり、 「時給の差だけ確認したから大丈夫」 ではありません。

会社の中にある待遇全体を見て、 正社員とパートの間でどのような違いがあるのかを確認する必要があります。

「正社員だから手当あり」は大丈夫?

中小企業では、 正社員だけに支給している手当があるケースも多いでしょう。

たとえば、 正社員には通勤手当を支給しているが、 パートには支給していないとします。

このような場合、 単に 「正社員だから支給する」 「パートだから支給しない」 と考えるのではなく、 その手当が何のために支払われているのかを確認することが重要です。

もし通勤にかかる費用を補助することが目的であれば、 同じように通勤しているパート社員について、 なぜ対象外なのかを説明できるか確認します。

一方で、 役職に伴う責任への手当など、 正社員とパートで任されている役割自体が異なる場合には、 その違いを踏まえて考えることになります。

大切なのは、 手当の名前ではなく、 「何のために支払っているのか」を確認すること です。

「パートだから賞与なし」も一度確認しましょう

賞与についても、 「正社員だけに払うもの」 と長年決めている会社があるかもしれません。

ここでも、 一律に 「パートにも必ず正社員と同額の賞与を支給しなければならない」 という意味ではありません。

確認したいのは、 その賞与が何を目的に支払われているのかです。

たとえば、 会社の業績への貢献や、 従業員本人の成果、 長期的な勤務への期待などをもとに支給しているのであれば、 それぞれの働き方や貢献との関係を確認していくことになります。

「正社員という名前だから支給」 「パートという名前だから対象外」 というだけではなく、 賞与の目的と実際の働き方が合っているか を見ておくことが重要です。

従業員から「なぜ違うのですか?」と聞かれたらどうする?

同一労働同一賃金への対応で、 経営者が意識しておきたいことがあります。

それは、 正社員との待遇差について、 パートタイム・有期雇用労働者から説明を求められる場合があることです。

そのとき、 「会社のルールだから」 「正社員とパートは違うから」 だけでは、 従業員が納得できないこともあります。

会社として、

  • どの仕事を担当しているのか
  • どの程度の責任があるのか
  • 給与を何によって決めているのか
  • 手当は何のために支給しているのか
  • どのような評価で昇給するのか

などを整理しておけば、 従業員にも説明しやすくなります。

これは、 法律への対応という意味だけではありません。

従業員が 「頑張っても給与が上がらない」 「なぜ自分だけ手当がないのか分からない」 と感じる状態を減らすことにもつながります。

一番注意したいのは「社長の頭の中にしか基準がない」状態

中小企業では、 給与を社長自身が決めていることも少なくありません。

社長自身は、 「この人は責任が重いからこの給料」 「この人は長年頑張っているからこの金額」 と理由を分かっているかもしれません。

しかし、 その基準が書かれておらず、 従業員にも担当者にも分からない状態だと、 後から説明が難しくなります。

また、 社長が交代したり、 人事担当者が変わったりすると、 なぜその給与になっているのか分からなくなることもあります。

そこで大切になるのが、 「社長の頭の中では分かっている」状態から、 「会社として説明できる」状態に変えること です。

完璧な人事制度を最初から作る必要はありません。

まずは、 給与や手当の違いについて、 なぜ違うのかを書き出すだけでも十分な第一歩になります。

まずは正社員とパートを横に並べてみましょう

「何から調べればいいか分からない」 という場合は、 正社員とパートの待遇を一枚の表にしてみましょう。

たとえば、 次のような項目を並べます。

確認項目 正社員 パート 違いがある理由
基本給・時給 あり あり 仕事内容・責任・評価などを確認
賞与 あり なし 賞与の目的を確認
通勤手当 あり あり・なし 支給目的と条件を確認
役職手当 あり なし 役割・責任の違いを確認
研修 あり なし 業務上必要な教育か確認
福利厚生 あり 一部なし 利用目的や条件を確認

表を作る目的は、 すぐにすべてを同じにすることではありません。

「どこに違いがあるのか」 「なぜ違うのか」 を見えるようにすることです。

この作業をしてみると、 説明できる待遇と、 「なぜこうなっているのだろう」 と疑問が残る待遇が分かれてきます。

その疑問が残る部分が、 次に確認していくポイントです。

給与を下げれば解決する、とは考えない

待遇差の見直しという話になると、 経営者によっては 「では正社員側の待遇を下げれば差がなくなるのではないか」 と考えることもあるかもしれません。

しかし、 労働条件の引き下げには別の法律上の問題が関係します。

そのため、 待遇差をなくすために、 単純に正社員の給与や手当を下げればよいという考え方は避けるべきです。

実際の見直しでは、 就業規則や雇用契約、 現在の労働条件なども確認しながら進める必要があります。

大きな給与制度の変更を行う場合は、 社会保険労務士などの専門家に確認しながら進めることをおすすめします。

経営者にとっては「給与制度を整理する機会」でもあります

同一労働同一賃金への対応というと、 「また会社の負担が増える」 と感じるかもしれません。

しかし、 この機会に給与制度を整理することで、 経営上のメリットが生まれることもあります。

たとえば、 従業員に 「この仕事を任せられるようになれば時給が上がる」 「この責任を担えば手当がつく」 と説明できるようになります。

すると、 従業員にとっても、 何を頑張れば評価につながるのかが分かりやすくなります。

また、 採用時にも給与や待遇について説明しやすくなります。

同一労働同一賃金への対応を、 単なる法律対応として終わらせず、 仕事と給与の関係を整理する機会 として考えることもできます。

まとめ+要約

  • 正社員とパートに給与差があるだけで、 直ちに問題になるわけではありません。
  • 仕事内容、責任、配置変更の範囲などを確認し、 なぜ待遇が違うのかを整理することが大切です。
  • 基本給だけでなく、 賞与、各種手当、福利厚生、教育訓練なども確認します。
  • 「正社員だから」「パートだから」だけではなく、 待遇差の理由を会社として説明できる状態を目指します。
  • まず正社員とパートの待遇を横に並べ、 説明できない違いがないか確認しましょう。

次の一手: 正社員とパートの待遇を一覧にして、 違いがある項目ごとに 「なぜ違うのか」を一文で書いてみましょう。

FAQ

Q. 正社員とパートが同じ仕事を一部していたら、給与も同額にする必要がありますか?

一部の作業が同じというだけで、 直ちに給与を同額にしなければならないということではありません。 実際の仕事内容全体、責任の重さ、配置変更の範囲などを確認しながら、 待遇差が不合理ではないかを考えます。

Q. パートにも賞与を必ず支給しなければなりませんか?

正社員とまったく同じ金額の賞与を、 すべてのパート社員に必ず支給するという意味ではありません。 賞与が何を目的として支給されているのか、 仕事内容や貢献との関係などを確認し、 待遇差を説明できる状態にすることが大切です。

Q. 正社員だけに手当を出している場合は、すべてパートにも支給する必要がありますか?

一律にすべて同じにするという考え方ではありません。 まず、その手当が何のために支払われているのかを確認します。 仕事内容や責任などとは関係なく、 同じ条件の従業員に対して差がある場合には、 なぜ違うのかを確認する必要があります。

Q. 就業規則や賃金規程も確認した方がいいですか?

はい。 実際の給与や手当の運用と、 就業規則、賃金規程、雇用契約書などの内容が一致しているか確認しておくことが大切です。 大きな制度変更が必要な場合は、 専門家への相談も検討してください。

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参考資料

※本記事は、同一労働同一賃金について一般的な理解を深めることを目的とした内容です。 実際に待遇差が適切かどうかは、 仕事内容、責任、配置変更の範囲、人事制度、雇用契約、 就業規則など個別の事情によって判断が異なります。 給与制度や労働条件の変更を行う際は、 必要に応じて社会保険労務士や都道府県労働局などの専門機関へご確認ください。

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