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高額療養費制度の改正に向けて今からできること

高額療養費制度の改正に向けて今からできること

高額療養費制度の改正に向けて今からできること

Executive Summary

  • 改正日と自分の区分を確認します
  • 会社は従業員向け案内を準備します
  • 家庭では対象外費用にも備えます
  • 古い情報をそのまま使わないことが重要です
  • 困ったときの相談先を決めておきます

高額療養費制度は、病気になってから初めて調べる方が 多い制度です。 しかし、治療方針、仕事、家族の生活について 考えなければならない時期に、 複雑な制度まで調べるのは簡単ではありません。 2026年8月から予定される改正を機に、 会社と家庭の両方で 「必要になる前の確認」を始めましょう。

1.個人と家庭が今から行うこと

高額療養費制度の改正に備えるといっても、 難しい計算を最初からする必要はありません。

まずは、自分がどの医療保険に加入し、 困ったときにどこへ問い合わせるのかを 確認することから始めます。

① 加入している医療保険を確認する

健康保険証の資格情報、 資格情報のお知らせ、 マイナポータルなどを確認し、 保険者の名称を把握します。

主な加入先には、次のようなものがあります。

  • 全国健康保険協会
  • 会社の健康保険組合
  • 共済組合
  • 市区町村の国民健康保険
  • 国民健康保険組合
  • 後期高齢者医療制度

保険者の名前だけでなく、 電話番号や公式サイトも スマートフォンに登録しておくと安心です。

② 自分の所得区分を確認する

高額療養費の自己負担上限は、 年齢や所得区分によって異なります。

会社員や法人役員の場合は、 一般的に標準報酬月額が基準になります。

個人事業主やフリーランスの場合は、 国民健康保険で使われる所得区分を確認します。

手取り額、毎月の売上、年商だけでは、 正確な所得区分を判断できません。

会社員は総務や加入している健康保険へ、 個人事業主は市区町村や国民健康保険組合へ 確認しましょう。

③ 月額上限と年間上限を確認する

2026年8月からは、 月ごとの自己負担上限が見直される予定です。

同時に、8月から翌年7月までの期間を対象とする 年間上限も新設される予定です。

月額上限と年間上限は別の仕組みです。

  • 月額上限は、原則として1日から末日までの負担を確認します
  • 年間上限は、8月から翌年7月までの負担を確認します
  • 多数回該当は、直近12か月の支給回数を確認します

それぞれ集計期間が異なるため、 医療費や支給額を月ごとに記録しておくことが大切です。

④ 緊急時に使える資金を分けておく

高額療養費制度があっても、 入院や治療にかかるすべての支払いが 自己負担上限に含まれるわけではありません。

次のような費用は、 原則として制度の対象外です。

  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事代
  • 自由診療の費用
  • 先進医療の技術料
  • 交通費
  • 家族の宿泊費
  • 日用品や着替えの費用
  • 家事や育児を外部へ依頼する費用

また、払い戻しを受けるまでに、 一時的な立替えが必要になる場合もあります。

通常の生活費とは別に、 医療や緊急時に使える資金を 分けて確保しておきましょう。

⑤ 家族と情報を共有する

本人しか健康保険の情報や 預金口座の場所を知らない状態では、 急な入院時に家族が困る可能性があります。

少なくとも次の情報を、 家族で共有しておきましょう。

  • 加入している健康保険
  • 保険者の問い合わせ先
  • 医療費関係の書類の保管場所
  • 民間保険や共済の契約内容
  • 緊急時に使える預貯金
  • 会社や仕事関係の連絡先
  • 子どもの送迎や介護を頼める人

情報を紙にまとめる場合は、 誰でも見られる場所に 個人情報を置かないよう注意します。

デジタルで保存する場合も、 パスワードの管理方法を 家族で決めておきましょう。

2.中小企業経営者が確認すること

中小企業の経営者にとって、 自分自身の病気や入院は、 個人の医療費だけの問題ではありません。

経営者が意思決定、資金繰り、契約、 顧客対応を一人で担っている場合、 数日から数週間の不在でも 事業に影響が出る可能性があります。

高額療養費制度によって医療費の負担が抑えられても、 売上の減少や事業の停止までは補われません。

経営者本人の医療保険を確認する

法人の代表者や役員で健康保険に加入している場合は、 標準報酬月額が高額療養費の所得区分に関係します。

役員報酬の手取り額だけでなく、 加入している健康保険と標準報酬月額を確認しましょう。

個人事業主の場合は、 市区町村の国民健康保険や 国民健康保険組合の所得区分を確認します。

経営者が不在でも会社が動くか確認する

次の項目について、 経営者本人以外でも対応できるかを確認します。

  • 給与や外注費の支払い
  • 取引先への振り込み
  • 請求書の発行
  • 銀行との連絡
  • 税理士や社会保険労務士との連絡
  • 重要な契約の確認
  • 従業員への指示
  • 顧客からの問い合わせ対応
  • 会社印や電子証明書の管理
  • 緊急時の意思決定

経営者だけが暗証番号や手順を知っている状態では、 入院時に支払いや契約が止まるおそれがあります。

すべての権限を無条件に渡す必要はありません。

緊急時に限って誰が何を行うのか、 権限の範囲と手順を決めておくことが大切です。

事業の固定費を確認する

経営者が治療で仕事を休むときは、 個人の生活費と会社の固定費を 分けて確認します。

  • 事務所や店舗の家賃
  • 従業員の給与
  • 社会保険料
  • 借入金の返済
  • リース料
  • システム利用料
  • 保険料
  • 外注費

医療費の備えだけでなく、 一定期間売上が減っても事業を続けられる資金があるかを 確認しましょう。

従業員が治療を受ける場合の対応

従業員が入院や長期治療を受ける場合、 会社は医療費の支給額を判断する立場ではありません。

一方で、次の情報を案内することはできます。

  • 加入している健康保険の問い合わせ先
  • 高額療養費制度の公式案内
  • 傷病手当金などの関連制度
  • 有給休暇や休職の手続き
  • 復職時の相談窓口
  • 会社独自の見舞金や福利厚生制度

制度の基本情報を整えておくことは、 従業員の安心だけでなく、 早期の相談や円滑な業務引き継ぎにもつながります。

3.総務が準備する従業員向け案内

高額療養費制度の改正後は、 従業員から総務へ問い合わせが増える可能性があります。

社内案内は、 制度を詳しく説明しすぎるよりも、 「何を確認し、どこへ相談するか」が すぐに分かる内容にすることが大切です。

A4用紙1枚程度にまとめる

従業員向けの案内は、 A4用紙1枚程度にまとめると読みやすくなります。

次の内容を掲載しましょう。

  • 高額療養費制度の簡単な説明
  • 2026年8月から見直し予定であること
  • 上限額は年齢や所得によって異なること
  • 差額ベッド代や食事代は原則対象外であること
  • 医療費が高くなる前に相談すること
  • 加入している健康保険の問い合わせ先
  • 会社ではなく保険者が適用を判断すること
  • 傷病手当金などの関連制度があること

避けたい表現

  • 「医療費は必ず○万円までです」
  • 「会社へ申請すれば返金されます」
  • 「家族の医療費はすべて合算できます」
  • 「マイナ保険証があれば手続きは不要です」
  • 「高額療養費があるので民間保険は不要です」

自己負担額や手続きは、 年齢、所得、加入している健康保険、 治療内容などによって異なるためです。

案内に使いやすい表現

「高額療養費制度により、 保険診療の自己負担が軽くなる場合があります。 自己負担上限は年齢や所得、 加入している健康保険などにより異なります。 医療費が高くなると分かった時点で、 ご自身が加入する健康保険へご確認ください」

総務が聞きすぎないことも大切

従業員の病名、治療内容、家族状況、所得区分などは、 個人情報に関わります。

総務が制度を案内するために、 必要以上に詳しい病状を確認する必要はありません。

休業や業務調整に必要な情報と、 医療上の詳しい情報を分けて扱いましょう。

社内資料を更新する日を決める

一度案内を作って終わりにすると、 制度改正後も古い上限額や手続きが 社内に残る可能性があります。

次の時期に内容を確認するルールを作りましょう。

  • 制度改正の施行前
  • 制度改正の施行直後
  • 健康保険から案内が届いたとき
  • 年度が変わるとき
  • 従業員から問い合わせがあったとき

4.2027年8月の見直しにも備える

今回の高額療養費制度の見直しは、 2026年8月だけで終わる予定ではありません。

2027年8月からは、 所得区分をさらに細かく分ける見直しが 予定されています。

所得に応じた負担へ調整することや、 一部の低所得層について 多数回該当の負担を引き下げる方針も 示されています。

2026年に作成した社内資料や家庭のメモを、 何年もそのまま使わないよう注意が必要です。

2027年夏が近づいたら、 次の内容を改めて確認しましょう。

  • 自分の所得区分が変わるか
  • 月ごとの自己負担上限が変わるか
  • 年間上限に変更があるか
  • 多数回該当の金額が変わるか
  • 申請方法や必要書類が変わるか

制度の数字だけでなく、 自分の給与、所得、家族構成、 加入している健康保険が変わっていないかも 確認する必要があります。

5.情報に振り回されないための確認方法

制度改正に関するニュースやSNS投稿では、 「負担が増える」 「年間上限で負担が軽くなる」など、 異なる説明が見られることがあります。

今回の見直しには、 月額上限の引き上げと 年間上限の新設という両面があります。

一部分だけを見ると、 実際の影響を正しく判断できません。

情報を見たときの確認順序

  1. いつ時点の情報か
  2. 政府や保険者の公式情報か
  3. 改正案なのか、決定済みなのか
  4. いつの診療分から適用されるのか
  5. 自分の年齢や所得区分に当てはまるか
  6. 月額上限と年間上限のどちらの説明か
  7. 多数回該当が関係するか

見出しや短い投稿だけで判断せず、 厚生労働省、協会けんぽ、 加入している健康保険などの 公式情報を確認しましょう。

自分の条件に置き換えて確認する

同じ制度改正でも、 すべての人に同じ影響が出るわけではありません。

次の条件によって、 自己負担額は変わります。

  • 年齢
  • 所得区分
  • 1か月の医療費
  • 治療が続く期間
  • 高額療養費の支給回数
  • 加入している健康保険
  • 家族の医療費を合算できるか

「自分の場合はいくらになるのか」を確認するときは、 一般的な記事だけで判断せず、 加入している保険者へ問い合わせることが大切です。

6.相談先を事前に決めておく

医療費や制度について相談する先は、 内容によって異なります。

高額療養費の上限や申請方法

加入している健康保険へ確認します。

入院費や窓口での支払い

医療機関の会計窓口や 医療相談窓口へ確認します。

休業中の収入や会社の手続き

会社の総務担当者や、 加入している健康保険へ確認します。

国民健康保険の所得区分

市区町村の国民健康保険窓口や、 加入している国民健康保険組合へ確認します。

民間保険や共済の給付

契約している保険会社や共済の窓口へ確認します。

困ってから電話番号を探すのではなく、 家族や会社で問い合わせ先を一覧にしておきましょう。

Decision Brief

テーマ
高額療養費制度の改正に向けた 会社と家庭の事前準備
推奨アクション
従業員向けの案内と、 個人・家庭向けの確認表を作成する
主要根拠
  1. 2026年8月から月ごとの自己負担上限が 見直される予定である
  2. 8月から翌年7月までを対象とする 年間上限が新設される予定である
  3. 2027年8月にも所得区分などの 見直しが予定されている
家計への影響
短期間の高額治療では負担が増える可能性があり、 長期治療では年間上限によって 負担が抑えられる場合がある
主なリスク
  • 古い自己負担上限を案内してしまう
  • 保険適用外の費用を見落とす
  • 所得区分を自己判断する
  • 従業員の個人情報を必要以上に収集する
  • 申請や問い合わせが遅れる
対策
厚生労働省や加入する保険者の公式情報を確認し、 制度の施行前後に案内内容を更新する
タイムライン
  • 2026年7月: 保険者、所得区分、相談先を確認する
  • 2026年8月: 新しい上限額と申請方法を確認する
  • 2026年秋: 実際の運用や保険者の追加案内を確認する
  • 2027年夏: 第2段階の見直し内容へ更新する
担当
経営者、総務担当者、本人、家族
確認指標
  • 加入している保険者を確認できているか
  • 問い合わせ先を共有できているか
  • 社内案内を更新できているか
  • 医療費関連の書類を整理できているか
次の一手
公式情報を基に、 「保険者・所得区分・相談先」を記載した 1枚の確認表を作成する

まとめ+要約

  • 2026年8月から予定される 高額療養費制度の改正内容を確認します
  • 自分が加入する保険者と 所得区分を把握します
  • 高額療養費の対象外となる費用や 収入減にも備えます
  • 会社は従業員向けの案内と 問い合わせ先を用意します
  • 2027年8月の第2段階の見直しに合わせて 情報を更新します

次の一手:今日中に 「加入している保険者・自分の所得区分・相談先」の 3点を書き出しましょう。

よくある質問

Q1.会社は全社員の自己負担上限を 把握しておくべきですか?

従業員の自己負担上限は、 年齢、所得、家族状況などに関係する情報です。

会社が一人ひとりの上限額を 必要以上に収集する必要はありません。

会社は、制度の基本、 加入している健康保険の問い合わせ先、 関連する社内手続きを案内し、 本人が保険者へ確認できる状態を整えることが大切です。

業務上必要な範囲を超えて、 病名、治療内容、家族状況などを 聞き取らないよう配慮しましょう。

Q2.制度改正に合わせて、 民間の医療保険を見直すべきですか?

高額療養費制度で補えるのは、 原則として健康保険が適用される 医療費の自己負担部分です。

差額ベッド代、食事代、交通費、 休業中の収入減などは 補えない場合があります。

民間保険を見直す場合は、 公的制度で補える部分と、 家計で備える部分を整理してから判断しましょう。

制度改正だけを理由に、 すぐ加入や解約を決めるのではなく、 現在の保障内容、預貯金、毎月の保険料を まとめて確認することが大切です。

Q3.改正前に治療を始めた場合は、 どの上限が適用されますか?

高額療養費は、 原則として診療月ごとに計算されます。

2026年7月以前の診療分と、 2026年8月以降の診療分では、 適用される上限が異なる可能性があります。

入院や治療が月をまたぐ場合は、 月ごとに医療費が分けて計算されます。

実際の取扱いは、 加入している健康保険と 受診する医療機関へ確認してください。

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参考情報

-SDGs, ブログ, 法改正等