
防災情報はどこから取ればいい?会社と家庭で迷わない情報収集の基本
この記事の要点
- 防災情報は、SNSだけに頼らず、公的な情報源を中心に確認することが基本です。
- まず気象庁で「何が起こりそうか」を確認し、自治体で「地域としてどう動くか」を確認します。
- キキクルは、大雨や土砂災害などの危険度が高まっている場所を確認するのに役立ちます。
- ハザードマップは災害が起きてから見るのではなく、平常時に確認しておくことが重要です。
- 会社でも家庭でも、「どこを見るか」を2〜3か所に絞り、確認順序を決めておくと迷いにくくなります。
「情報はたくさんあるのに、どれを見ればいいかわからない」
大雨や台風が近づくと、スマートフォンにはさまざまな情報が届きます。
天気アプリの通知。 ニュース速報。 気象庁の情報。 市町村からのお知らせ。 防災アプリ。 SNSへの投稿。
情報が少ない時代とは違い、 現在はむしろ 「情報が多すぎて、どれを信じればよいかわからない」 という問題があります。
特に災害が迫っているときは、 一つひとつの情報を落ち着いて比較している時間がない場合もあります。
会社であれば、 「営業を続けるのか」 「従業員を帰宅させるのか」 「翌日は休業するのか」 といった判断をしなければなりません。
家庭であれば、 「避難するのか」 「まだ自宅にいてよいのか」 「家族を迎えに行くのか」 といった判断が必要です。
そのときに毎回、 「何を見ればいいんだろう」 と探し始めていては、行動が遅れる可能性があります。
だからこそ、防災では 情報をたくさん集めることより、「どこを見るかを決めておくこと」 が大切です。
Day1では、警戒レベルを 「危険度を見る数字」ではなく 「行動を決める数字」として考えました。
Day2では、その判断材料となる情報を どこから取り、どの順番で確認すればよいのか を整理していきます。
目次
1.防災情報は「公的情報」を軸にする
災害が起こりそうなとき、 SNSを見る方も多いでしょう。
実際の道路状況や地域の様子を知るうえで、 SNSが参考になることもあります。
しかし、SNSには注意も必要です。
投稿された場所が自分の地域とは限りません。 投稿時間が古い場合もあります。 画像や動画だけでは、正確な場所や状況がわからないこともあります。
また、善意で投稿された情報であっても、 必ずしも正確とは限りません。
そこで、防災の判断ではまず 公的機関が発表する情報を軸にする ことをおすすめします。
基本となるのは、次のような情報源です。
- 気象庁
- 市区町村など自治体
- 国土交通省などが提供する河川や災害リスクの情報
- ハザードマップ
SNSやニュース、防災アプリは、 それらを補うものとして活用するとよいでしょう。
ポイントは、 「一つの情報だけを見る」のではなく、役割の違う情報を組み合わせること です。
2.まず確認したい気象庁の情報
大雨や台風などのときに、 最初に確認したい情報源の一つが気象庁です。
気象庁の防災情報では、 さまざまな情報を確認できます。
- 気象警報・注意報
- 早期注意情報
- キキクル
- 台風情報
- 今後の雨
- 雨雲の動き
- 指定河川洪水予報
- 線状降水帯に関する情報
- 気象防災速報・気象解説情報など
これだけ並ぶと、 「結局、全部見ないといけないの?」 と感じるかもしれません。
すべてを毎回確認する必要はありません。
まず意識したいのは、 「今後どうなりそうか」と「今どこが危ないか」 の2つです。
「今後どうなりそうか」を確認する
台風が近づいている場合には台風情報、 大雨が予想される場合には早期注意情報や 今後の雨などを確認します。
ここで知りたいのは、 「現在雨が降っているか」だけではありません。
例えば、
- 夕方から雨が強まるのか
- 夜間に危険が高まるのか
- 翌朝まで大雨が続くのか
- 台風がいつ頃近づくのか
といった これからの見通し を確認します。
会社であれば、 この情報が営業終了時刻や従業員の帰宅判断につながります。
家庭であれば、 明るいうちに避難するのか、 買い物や外出を早めに済ませるのかを考える材料になります。
「今どこが危ないか」を確認する
大雨が実際に降り始めたら、 自分のいる地域で危険度が高まっているかを確認します。
そのために役立つ情報の一つが キキクル です。
3.キキクルは何を見るもの?
「キキクル」という名前を聞いたことはあっても、 何を見るものなのかよくわからない方もいるでしょう。
キキクルは、 大雨などによる災害の危険度が高まっている場所を、 地図上で確認できる情報です。
気象庁では、大雨や土砂災害に関する情報が発表された際、 危険度が高まっている地域を確認するために キキクルを活用するよう案内しています。
2026年の防災気象情報の体系では、 キキクルの色と警戒レベル相当の関係も わかりやすく整理されています。
| キキクルの表示 | 警戒レベルとの関係 | 考えたい行動 |
|---|---|---|
| 黄色「注意」 | 警戒レベル2相当 | ハザードマップ、避難先、避難経路を確認する |
| 赤「警戒」 | 警戒レベル3相当 | 高齢者など避難に時間がかかる人は避難を考える。それ以外の人も準備する |
| 紫「危険」 | 警戒レベル4相当 | 危険な場所からの避難を判断する |
| 黒「災害切迫」 | 警戒レベル5相当 | 命の危険が迫っているため、直ちに安全を確保する |
ここで大切なのは、 自分の市町村全体ではなく、自宅や会社周辺の危険度を見ること です。
同じ市内でも、 川沿いなのか、 低い土地なのか、 崖の近くなのかによって、 危険性は変わります。
「市内全体がどうなっているか」だけではなく、 自分がいる場所はどうなのか を確認する意識が重要です。
また、気象庁は、 警戒レベル3・4相当の防災気象情報が発表された場合には、 自治体から避難情報がまだ出ていなくても、 キキクルや河川の水位情報などを使って 自ら避難を判断することが重要だとしています。
4.自治体からの避難情報も確認する
気象庁の情報とあわせて確認したいのが、 市区町村など自治体からの情報です。
自治体は、 気象情報や地域の状況などを踏まえて、 高齢者等避難や避難指示などを発令します。
例えば、 警戒レベル3「高齢者等避難」 が発令された場合、 高齢者など避難に時間がかかる方は、 危険な場所から避難を始めます。
警戒レベル4「避難指示」 が発令された場合は、 対象地域で危険な場所にいる人が避難する段階です。
自治体からの情報は、 次のような方法で確認できる場合があります。
- 自治体の公式ホームページ
- 自治体の防災メール
- 自治体の公式アプリ
- 防災行政無線
- 登録制のメール配信
- 公式SNS
利用できる方法は自治体によって異なるため、 平常時に確認しておきましょう。
特におすすめしたいのは、 自分からホームページを見に行かなくても通知が来る仕組みを一つ持つこと です。
例えば自治体の防災メールに登録しておけば、 大雨の最中に毎回ホームページを探さなくても、 情報を受け取りやすくなります。
5.ハザードマップは災害が起きてから見るものではない
防災情報を正しく理解するために、 もう一つ欠かせないのがハザードマップです。
ハザードマップでは、 洪水、土砂災害、高潮など、 地域にどのような災害リスクがあるのかを確認できます。
例えば大雨警報が発表されても、 自分の自宅や会社にどのような危険があるのかを知らなければ、 情報を具体的な行動に結び付けにくくなります。
一方、 「自宅は川の近くにあり、浸水の可能性がある」 「会社の裏手に土砂災害警戒区域がある」 と事前に知っていれば、 防災情報の見え方は大きく変わります。
国土交通省・国土地理院の 「ハザードマップポータルサイト」では、 全国のさまざまな災害リスク情報を確認できます。
「重ねるハザードマップ」では、 洪水や土砂災害など複数の情報を重ねて確認することができます。
また、 「わがまちハザードマップ」から 自治体が作成したハザードマップを探すこともできます。
ただし、全国版の情報だけで判断するのではなく、 最新かつ詳細な情報については、自分の市町村が作成したハザードマップも確認する ことが重要です。
平常時に確認しておきたいこと
- 自宅は洪水の浸水想定区域に入っているか
- 会社や店舗は浸水想定区域に入っているか
- 近くに土砂災害の危険区域はないか
- 避難場所はどこか
- 避難場所までの道路に危険な場所はないか
- 川や水路を渡らずに避難できる道はあるか
災害が迫ってからスマートフォンで初めてハザードマップを見ると、 操作方法がわからなかったり、 地図を見ても自分の場所がすぐにわからなかったりすることがあります。
防災では、 「知っている」だけでなく「一度使ってみたことがある」 ことも重要です。
6.迷わないために「見る順番」を決めておく
情報源をいくつも知っていても、 災害時に 「最初に何を見ればいい?」 と迷ってしまえば意味がありません。
そこで、 会社でも家庭でも 情報を確認する順番 を決めておくことをおすすめします。
基本的な確認順序の例
-
気象庁で今後の見通しを確認する
台風、大雨、警報・注意報、早期注意情報などを見て、 今後危険が高まりそうかを確認します。 -
キキクルで自分の周辺の危険度を確認する
大雨や土砂災害などの危険度が高まっている場所を確認します。 -
自治体の避難情報を確認する
高齢者等避難や避難指示が出ていないか確認します。 -
ハザードマップと照らし合わせる
自宅や会社がどの災害に弱い場所なのかを踏まえて判断します。 -
交通・道路・河川など必要な情報を追加で確認する
従業員の帰宅や避難に影響する情報を確認します。
必ずこの順番でなければいけないわけではありません。
大切なのは、 「自分たちはこの順番で見る」と決めておくこと です。
「天気アプリだけ」では足りない理由
普段の天気確認であれば、 スマートフォンの天気アプリだけでも十分便利です。
しかし、防災となると話は少し変わります。
一般的な天気アプリは、 雨の予報や気温を見るには便利ですが、 自治体からの避難情報や 自宅周辺の具体的な災害リスクまで 一つですべて確認できるとは限りません。
そのため、 普段使う天気アプリ+公的な防災情報 という組み合わせで考えるのがおすすめです。
例えば、
- 普段の天気確認は使い慣れた天気アプリ
- 危険が高まりそうなら気象庁
- 地域の避難情報は自治体
- 自宅や会社周辺の危険度はキキクル
- 土地そのものの災害リスクはハザードマップ
と役割を分ければ、 情報を整理しやすくなります。
SNSは「確認の補助」として使う
SNSには、 現地の道路冠水や停電など、 公式情報だけではすぐにわからない情報が投稿される場合があります。
そのため、SNSが役に立たないわけではありません。
ただし、 SNSの投稿だけを見て避難や営業継続を判断するのは避けたほうがよいでしょう。
投稿を見る場合には、 次の点を確認します。
- いつ投稿された情報か
- 場所はどこか
- 投稿者は誰か
- 公式情報と矛盾していないか
- 古い写真や映像ではないか
災害時には不安が高まり、 強い言葉や衝撃的な画像ほど目に入りやすくなります。
だからこそ、 最初に公的情報を確認し、その後で必要に応じてSNSを見る という順序を意識するとよいでしょう。
7.会社と家庭で「情報ルール」を決める
防災情報を活用するうえで、 最も大切なのは 情報サイトをたくさん知ることではありません。
誰が、どこを、いつ確認するか を決めておくことです。
会社の場合
中小企業や店舗では、 情報確認が社長一人に集中していることがあります。
しかし災害時に社長が移動中だったり、 電話対応をしていたりすると、 情報確認が遅れる可能性があります。
そこで、例えば次のように役割を決めます。
- 気象情報を確認する担当者
- 自治体の避難情報を確認する担当者
- 交通機関の運行状況を確認する担当者
- 従業員へ連絡する担当者
- 最終的に営業継続・休業を判断する責任者
人数の少ない会社であれば、 一人が複数を担当しても構いません。
重要なのは、 「誰かが見るだろう」という状態を作らないこと です。
家庭の場合
家庭では、 次のようなルールを決めておくとよいでしょう。
- 大雨が予想される日は誰が気象情報を見るか
- 自治体の防災メールに誰が登録するか
- キキクルを誰が確認するか
- 高齢の家族へ誰が連絡するか
- 避難する場合の集合場所をどこにするか
家族全員が同じアプリを入れる必要はありません。
例えば一人が情報を確認して、 家族のグループメッセージで共有する方法でも構いません。
防災で重要なのは、 情報を持っている人と、行動する人がつながっていること です。
情報を確認する時間も決めておく
「気になったら見る」 というルールだけでは、 忙しいと確認を忘れてしまうことがあります。
例えば台風が近づいている場合には、
- 朝の始業前
- 昼休み
- 夕方の帰宅判断前
というように、 確認する時間を決めておく方法があります。
家庭であれば、
- 朝起きたとき
- 家族が帰宅する前
- 夜になる前
などでもよいでしょう。
特に大雨の場合、 夜になってから避難しようとすると、 周囲が見えにくくなるなど危険が増すことがあります。
「危険になったら見る」のではなく、「危険になる前から定期的に見る」 ことが大切です。
情報が多いほど安心、とは限らない
防災では、 情報をたくさん持っているほど安心できるように感じます。
しかし、情報源が増えすぎると、 逆に判断が難しくなることがあります。
Aのアプリでは「警戒」。 Bのニュースでは「厳重警戒」。 SNSでは「危険」。
表現が違う情報を次々に見ているうちに、 「結局どうすればいいの?」 となることがあります。
これは、 選択肢が多すぎることで判断しづらくなる状況にも似ています。
だからこそ、 防災情報についても 自分の中で優先順位を決めておく ことが役立ちます。
例えば、
1.気象庁
2.自治体
3.必要に応じて交通機関や河川情報
4.SNSは補助
という順番です。
こうしておけば、 災害時に情報を探し回る時間を減らせます。
まずブックマークしておきたい3つ
今日すべての情報源を覚える必要はありません。
まずは次の3つを、 スマートフォンやパソコンで すぐ開けるようにしておくことをおすすめします。
-
気象庁の防災情報
今後の天気、警報・注意報、キキクルなどを確認するため。 -
自分の市区町村の防災ページ
避難情報、避難所、地域ごとのお知らせを確認するため。 -
自宅・会社周辺のハザードマップ
どの災害に弱い場所なのかを確認するため。
この3つだけでも、 「何かあったらネットで検索する」 という状態から一歩進めます。
まとめ+要約
- 防災情報は、公的情報を中心に確認しましょう。 気象庁や自治体などを基本にし、ニュースやSNSは補助として使います。
- 気象庁では「今後どうなりそうか」と「今どこが危ないか」を確認します。 警報・注意報、早期注意情報、台風情報、キキクルなどを目的に応じて使います。
- キキクルは、自分のいる場所周辺の危険度を確認するために役立ちます。 警戒レベル3・4相当の情報が出た場合は、自治体の避難情報だけを待たず、自ら判断することも重要です。
- ハザードマップは平常時に確認します。 自宅や会社にどのような災害リスクがあるのかを知らなければ、防災情報を行動に結び付けにくくなります。
- 会社と家庭で「どこを、誰が、どの順番で見るか」を決めておきましょう。 情報を増やすより、迷わない仕組みを作ることが重要です。
よくある質問
Q1.防災情報は天気アプリだけ見ていれば大丈夫ですか?
普段の天気確認には便利ですが、 防災時は気象庁や自治体などの公的情報もあわせて確認することをおすすめします。
天気アプリでは雨の予報を確認できても、 自治体の避難情報や自宅周辺の災害リスクなど、 必要な情報をすべて確認できるとは限りません。
普段使う天気アプリを入口にしながら、 危険が高まりそうなときは 気象庁や自治体の情報まで確認する習慣をつけておくとよいでしょう。
Q2.キキクルとハザードマップは何が違うのですか?
簡単に言えば、 ハザードマップは 「もともとどんな災害リスクがある場所か」 を確認するものです。
一方、キキクルは、 大雨などによる災害の危険度が 「今どの場所で高まっているか」 を確認するために使います。
つまり、 平常時にハザードマップで自分の地域の弱点を知り、 大雨などが起きたときにはキキクルなどで現在の危険度を確認する、 という使い分けができます。
Q3.SNSの災害情報は信用しないほうがいいですか?
SNSをまったく見ないほうがよいという意味ではありません。
現地の写真や道路状況など、 参考になる情報が投稿されることもあります。
ただし、 投稿時刻や場所がわからない、 古い画像が再投稿されている、 内容が確認できないといった可能性があります。
そのため、 避難や営業停止など重要な判断をするときは、 気象庁や自治体などの公的情報を中心にし、 SNSは補助的な情報として扱うのがよいでしょう。
参考情報
-
気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html -
気象庁「防災情報」
https://www.jma.go.jp/bosai/ -
気象庁「気象警報・注意報」
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html -
気象庁「キキクル」
https://www.jma.go.jp/bosai/risk/ -
気象庁「早期注意情報」
https://www.jma.go.jp/bosai/probability/ -
国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
https://disaportal.gsi.go.jp/
※防災気象情報や避難情報は随時更新されます。 実際に大雨、台風、洪水、土砂災害などのおそれがある場合は、 必ず最新の気象庁、自治体などの公式情報を確認してください。
※ハザードマップポータルサイトでは全国の災害リスク情報を確認できますが、 最新かつ詳細な情報については、 各市区町村が作成しているハザードマップもあわせて確認してください。
「情報はあるけれど、うちの場合どこを見ればいい?」を整理しませんか?
防災情報は数多くあります。
しかし実際の災害時に必要なのは、 情報サイトをたくさん知っていることではありません。
自分の会社や家庭の場合、 「どの情報を見て、いつ、何を判断するのか」が決まっていること が重要です。
会社であれば、 営業継続、従業員の帰宅、休業判断。
家庭であれば、 避難、高齢の家族への連絡、 子どもの迎えなど、 状況に応じて見るべき情報も変わります。
「自社では何を見ればよいのか」 「家族ではどんなルールを作ればよいのか」 と迷われている方は、 一度整理しておくと災害時の判断がしやすくなります。