
大規模災害への備え、今こそ見直すべき理由
Executive Summary
- 災害への備えは「一度すれば終わり」ではありません。
- 2026年夏も各地で災害対応が続いています。
- 家庭も会社も「実際に動けるか」の確認が重要です。
- BCPやジギョケイも、作成後の見直しが欠かせません。
- 家族や従業員への周知まで含めて「備え」です。
2026年の夏、私たちはあらためて「災害はいつ、どこで起きてもおかしくない」という現実を考える機会を迎えています。8月には豪雨や台風による被害への対応が各地で続き、7月28日に発生した熊本の大きな地震についても8月に入ってから対応状況の更新が続きました。
だからといって、必要以上に不安になる必要はありません。
大切なのは、
「わが家は大丈夫だろうか」
「うちの会社は本当に動けるだろうか」
と、一度立ち止まって確認してみることです。
この記事では、戸建てやマンションで暮らす個人の方から、店舗、事務所、工場などを持つ中小企業や個人事業主まで、「備えているつもり」になっていないかを一緒に考えます。
そして、非常食や防災用品だけではなく、連絡方法、避難、仕事を続ける方法、家族や従業員への周知まで含めて確認します。
今ここで一度点検するだけでも、災害が起きたときの最初の行動は変えられます。
目次
1.2026年夏、あらためて考えたい災害への備え
ニュースで大雨や台風、地震の被害を見ると、
「防災用品を確認しないと」
「水を買っておこう」
「会社の備蓄は足りていたかな」
と思う方は少なくないでしょう。
ところが、日常生活が戻ると、その意識も少しずつ薄れてしまいます。
これは決して珍しいことではありません。
仕事があり、家事があり、経営者であれば売上や資金繰り、人材のことも考えなければなりません。
災害への備えは重要だと分かっていても、
「今すぐではなくてもいいこと」
になりやすいのです。
しかし、2026年8月にも千葉豪雨、台風13号、台風15号などについて消防庁から被害・対応情報が公表されています。
また、7月28日に熊本県熊本地方で発生した地震では、気象庁によるとマグニチュード7.1、最大震度7が観測されました。
災害への備えは、「いつか考えること」ではありません。
何も起きていない今だからこそ確認できることです。
2.「備蓄しているから大丈夫」ではない
家庭で防災について聞くと、
「水は置いてあります」
「非常食も買っています」
「防災バッグがあります」
という答えが返ってくることがあります。
もちろん、とても大切な備えです。
しかし、一歩だけ先まで考えてみてください。
たとえば地震が起きたとき、
家族が全員、自宅にいるとは限りません。
夫婦はそれぞれ勤務先。
子どもは学校。
高齢の家族は別の場所。
そんな状況も考えられます。
そのとき、
「どこに避難するのか」
「電話がつながらなければどうするのか」
「誰が誰の安否を確認するのか」
を家族全員が知っているでしょうか。
マンションであれば、停電によってエレベーターや給水設備などに影響が出る可能性も考えなければなりません。
戸建てであれば、建物だけでなく家具の転倒、周辺道路、地域の浸水や土砂災害なども確認しておく必要があります。
つまり防災とは、
「何を持っているか」だけではなく、
「そのときどう動くか」まで考えること
なのです。
3.会社には会社ならではの備えがある
企業や店舗の場合は、さらに考えることが増えます。
地震が営業時間中に発生したら。
台風で翌日出勤できなくなったら。
豪雨で店舗や倉庫が浸水したら。
停電してパソコンやレジが使えなくなったら。
取引先や仕入先が被災したら。
社長自身が会社に来られなくなったら。
こうしたとき、
「誰が判断するのか」
は決まっているでしょうか。
災害時には、普段なら社長に確認していることでも、すぐには確認できない可能性があります。
従業員を帰宅させるのか。
店舗を休業するのか。
取引先へ誰が連絡するのか。
顧客へ何を伝えるのか。
どの業務から復旧するのか。
こうした判断を、災害が起きてから一つずつ考えていると対応が遅れてしまいます。
中小企業にとって防災は、
「建物を守ること」だけではありません。
従業員を守り、取引先との関係を守り、お客様を守り、そして事業そのものを守ることでもあります。
4.BCPやジギョケイ、作ったままになっていませんか
企業の方であれば「BCP」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
BCPとは、災害などが起きても重要な仕事をできるだけ止めず、止まった場合も早く再開するための計画です。
また、中小企業向けには「事業継続力強化計画」、いわゆる「ジギョケイ」という制度があります。
中小企業庁も、事業継続力強化計画を中小企業が取り組みやすいBCPと位置づけています。
ところが、本当に重要なのは、
「作ったかどうか」ではありません。
たとえば、
- 数年前に作ったまま見直していない
- 担当者が退職して内容を知る人がいない
- ファイルはあるけれど従業員は読んだことがない
- 避難訓練を一度やっただけ
という状態では、いざというとき計画が十分に機能しない可能性があります。
会社の人数も変わります。
取引先も変わります。
設備も変わります。
連絡先も変わります。
だからこそBCPやジギョケイは、
作成するものではなく、育て続けるもの
と考えたほうが実際の防災に近くなります。
5.本当の備えは「みんなが知っていること」
ここが、家庭と会社に共通する非常に重要なポイントです。
経営者だけが知っている防災計画。
防災担当者だけが知っている避難場所。
親だけが知っている非常用品の置き場所。
これでは、実際にその人が不在だった場合に困ります。
大規模災害は、
「いつもの人が、いつもの場所にいるとき」に起きるとは限りません。
だからこそ、
家庭なら家族全員。
会社なら経営者だけでなく従業員。
店舗ならアルバイトやパートスタッフも含めて、
最低限のことを共有しておく必要があります。
たとえば、
- 地震のときはここへ避難する
- 安否確認はこの方法を使う
- 連絡が取れない場合はこうする
- 店を閉める判断はこの人がする
- 社長が不在ならこの人が判断する
というところまで決めておく。
難しいマニュアルを作ることよりも、まずはこちらのほうが重要です。
人は「周りも分かっているだろう」と考えてしまいがちです。
しかし防災では、
「知っているはず」を「実際に確認した」へ変えること
が大切です。
まとめ+要約
今回、覚えておきたいのは次の5点です。
- 災害への備えは、一度やれば終わりではありません。
- 非常食や水だけでなく「どう動くか」を決めることが重要です。
- 企業は従業員・顧客・取引先・事業継続まで考える必要があります。
- BCPやジギョケイは、作成後も定期的に見直すことが大切です。
- 家族や従業員への周知までできて初めて、備えが機能します。
次の一手:今日、家族または従業員に「災害が起きたら、どこに避難する?」と一度聞いてみてください。
答えが全員同じなら、それは一つの大切な備えです。
答えがバラバラでも問題ありません。
その違いに今気づけたことが、備えを始めるきっかけになります。
FAQ
Q1.防災用品をそろえていれば十分ではないのでしょうか?
防災用品は大切ですが、それだけでは十分とは言えません。
家族の集合場所、連絡方法、避難先、会社であれば従業員の安否確認や休業判断など、「人がどう動くか」も一緒に確認しておくことが重要です。
Q2.小さな会社でもBCPは必要ですか?
会社の規模にかかわらず、災害時に「誰が何を判断するのか」を決めておくことには意味があります。
むしろ人数が少ない会社ほど、特定の人が不在になっただけで業務が止まることがあります。
最初から難しい計画を作る必要はありません。
「最優先で守るものは何か」「誰が判断するか」「どう連絡するか」から始めてみる方法があります。
Q3.事業継続力強化計画を認定済みなら安心でしょうか?
認定を受けること自体は重要な取り組みです。
ただし、計画を作った当時から人員、設備、取引先、連絡方法などが変わっている可能性があります。
「認定を取ったから終わり」ではなく、現在の会社の状態に合っているかを定期的に確認することが大切です。
出典・参考情報
-
総務省消防庁「令和8年 災害情報一覧」
https://www.fdma.go.jp/disaster/info/2026/ - 気象庁「令和8年(2026年)7月28日 熊本県熊本地方の地震」
- 国土交通省「令和8年台風第13号による被害状況等について」
-
中小企業庁「事業継続力強化計画」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.html - 中小企業庁「事業継続力強化計画の申請方法等について」
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