
地震の備蓄品は何日分必要?家庭と会社の基本リスト
水や非常食を少し買ってあるものの、 「本当にこの量で足りるのだろうか」 「会社では何を用意すればよいのだろう」 と迷っていませんか。
地震への備蓄は、たくさん買えば安心というものではありません。 家族や従業員の人数、年齢、健康状態、働き方、 建物の状況によって、必要な物と量は変わります。
また、水と食料を用意していても、 携帯トイレ、薬、衛生用品、充電手段などが不足すると、 災害後の生活や仕事に大きな負担がかかります。
この記事の要点
- 備蓄は最低3日分、できれば1週間分を目指します。
- 飲料水は1人1日3リットルが一つの目安です。
- 携帯トイレは1人1週間35回分が目安です。
- 備蓄品と非常持ち出し品は分けて準備します。
- 家庭も会社も、人数と個別事情で必要量を決めます。
大規模な地震が起きると、 電気、ガス、水道、通信などの生活に欠かせない設備が 使えなくなる可能性があります。
道路や物流が止まり、 店舗へ商品が届かなくなることもあります。 お店が開いていても、 水、食料、電池、衛生用品などが すぐに売り切れることも考えられます。
公的な支援が始まっても、 必要な物が全員へすぐに届くとは限りません。 地域や被害の状況によっては、 支援や復旧までに時間がかかる場合があります。
そのため、消防庁は、 飲料水や食料品を最低3日分、 可能であれば1週間分備蓄するよう案内しています。
本記事では、家庭と会社のそれぞれについて、 何を、どれくらい備えればよいのかを、 順番に分かりやすく整理します。
この記事で分かること
- 備蓄品と非常持ち出し品の違い
- 何日分を用意すればよいか
- 水・食料・携帯トイレの必要量
- 家庭で用意したい基本の備蓄品
- 会社で用意したい基本の備蓄品
- 無理なく備蓄を続ける方法
備蓄品と非常持ち出し品は別のものです
防災用品を準備するときに、 最初に知っておきたいのが、 「備蓄品」と「非常持ち出し品」の違いです。
備蓄品とは
備蓄品は、自宅や会社にとどまりながら、 数日間生活するために保管しておく物です。
飲料水、食料、携帯トイレ、 カセットコンロ、衛生用品などが含まれます。 持ち運ぶことを前提にしないため、 ある程度の量や重さがあっても構いません。
非常持ち出し品とは
非常持ち出し品は、 自宅や会社から避難するときに、 持って出る最低限の物です。
飲料水、すぐに食べられる食品、 懐中電灯、携帯ラジオ、薬、 身分証明書の控え、モバイルバッテリーなどを、 リュックサックにまとめておきます。
避難するときは、両手を使える状態が安全です。 持ち出し袋を重くしすぎると、 かえって避難の妨げになることがあります。
| 項目 | 備蓄品 | 非常持ち出し品 |
|---|---|---|
| 目的 | 自宅や会社で生活を続ける | 安全な場所へ避難する |
| 保管場所 | 自宅、倉庫、会社など | 玄関や出口に近い場所 |
| 量 | 最低3日分、できれば1週間分 | 安全に持ち運べる最低限の量 |
| 主な物 | 水、食料、携帯トイレ、生活用品 | 水、食品、薬、ライト、連絡用品 |
一つの防災袋にすべてを詰め込むのではなく、 「置いておく物」と「持って逃げる物」に分けて考えましょう。
備蓄は最低3日分、できれば1週間分
備蓄の日数は、 まず最低3日分を目標にしてください。 すでに3日分を用意できている場合は、 少しずつ1週間分まで増やします。
「1週間分」と聞くと、 大量の防災用品を買わなければならないように 感じるかもしれません。
しかし、特別な非常食だけで 1週間分をそろえる必要はありません。 米、乾麺、缶詰、レトルト食品、 シリアル、菓子、飲み物など、 普段から食べている物も備蓄に含められます。
大切なのは、日数だけを見るのではなく、 実際にその人数で生活できる量かを確認することです。
基本の計算方法
必要量 = 1人1日分 × 人数 × 備える日数例えば、4人家族が3日分を用意する場合は、 1人1日分を12人日分用意します。
従業員10人分を3日間備蓄する場合は、 30人日分が基本になります。
会社の場合は、 全従業員が常に事業所にいるとは限りません。 出勤者数、交代勤務、在宅勤務、 来客、外出中の従業員なども踏まえ、 災害時に事業所へとどまる可能性がある人数で考えます。
飲料水は1人1日3リットルが目安
飲料水は、 1人1日3リットルを一つの目安として考えます。 これは、飲む水と調理に使う水を想定した量です。
飲料水の計算例
3リットル × 人数 × 日数| 人数 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|
| 1人 | 9リットル | 21リットル |
| 2人 | 18リットル | 42リットル |
| 4人 | 36リットル | 84リットル |
| 10人 | 90リットル | 210リットル |
ただし、気温、年齢、体調、 食事の内容によって必要量は変わります。 夏場や体調不良時は、 より多くの水分が必要になる場合があります。
飲料水とは別に、 手洗い、清掃、体を拭くための生活用水も必要です。 生活用水は、浴槽の残り湯や ポリタンクなどを活用する方法もあります。
ただし、浴槽の水は飲料用にはせず、 トイレや清掃などの生活用水として使います。 小さな子どもがいる家庭では、 浴槽への転落にも注意してください。
水の確認
- 家族または従業員の人数で計算している
- 最低3日分の飲料水がある
- 可能であれば1週間分を確保している
- 直射日光や高温を避けて保管している
- 賞味期限を定期的に確認している
食料は食べ慣れた物を中心に用意します
災害用の食料というと、 乾パンや長期保存食だけを 思い浮かべるかもしれません。
しかし、災害時は、 慣れない環境や不安によって 食欲が落ちることがあります。 そのため、普段から食べ慣れている物を 備えておくことが大切です。
主食になる物
- パックご飯
- アルファ化米
- 乾麺
- カップ麺
- パンの缶詰
- シリアル
- クラッカー
おかずになる物
- 魚や肉の缶詰
- 豆の缶詰
- レトルト食品
- フリーズドライ食品
- 常温保存できるスープ
- 野菜ジュース
すぐに食べられる物
- 栄養補助食品
- ゼリー飲料
- ドライフルーツ
- ナッツ
- チョコレート
- あめ
停電やガス停止を考えると、 加熱しなくても食べられる物を 一定量用意しておくと安心です。
加熱が必要な食品を備える場合は、 カセットコンロとカセットボンベも必要です。 使用時は必ず換気し、 製品の注意事項を守ってください。
食物アレルギーがある方、 乳幼児、高齢者、 かむ力や飲み込む力が弱い方については、 一般的な非常食では対応できないことがあります。 普段食べている食品を基準に準備してください。
食料の確認
- 加熱せずに食べられる物がある
- 主食だけでなく、おかずもある
- 食べ慣れた物を含めている
- アレルギーや年齢に配慮している
- 缶切りや使い捨て食器も用意している
携帯トイレは1人1週間35回分が目安
備蓄品の中で、特に忘れやすいのが 携帯トイレです。
地震によって断水したり、 排水管が壊れたりすると、 便器が壊れていなくても 水洗トイレを流せないことがあります。
見た目に異常がなくても、 建物や敷地内の排水管が破損している状態で水を流すと、 下の階や周辺へ汚水が漏れる可能性があります。 安全が確認できるまでは、 むやみに水を流さないことが大切です。
国の案内では、 災害用トイレの備蓄は 1人当たり1週間35回分が目安とされています。 これは、1日5回の使用を想定した量です。
携帯トイレの計算方法
5回 × 人数 × 日数| 人数 | 3日分 | 7日分 |
|---|---|---|
| 1人 | 15回分 | 35回分 |
| 2人 | 30回分 | 70回分 |
| 4人 | 60回分 | 140回分 |
| 10人 | 150回分 | 350回分 |
携帯トイレだけでなく、 次の物も一緒に用意しておくと安心です。
- 便器にかぶせる大きめの袋
- 凝固剤
- トイレットペーパー
- ウェットティッシュ
- 消毒用品
- 使い捨て手袋
- 防臭袋
- 使用済み袋の一時保管場所
購入した携帯トイレは、 災害時に初めて開けるのではなく、 平常時に一度使い方を確認しておきましょう。
使用後の処分方法は、 自治体によって異なる場合があります。 住んでいる地域や会社がある地域の 分別方法を確認してください。
トイレを我慢するために水や食事を控えると、 脱水などの健康問題につながるおそれがあります。 水や食料と同じ優先度で準備しましょう。
家庭で用意したい基本の備蓄品
家庭では、家族全員に共通する物と、 一人ひとりに必要な物を分けて考えます。
水・食料
- 飲料水
- 加熱せずに食べられる食品
- 米、麺、缶詰、レトルト食品
- 栄養補助食品や菓子
- カセットコンロとカセットボンベ
- 紙皿、紙コップ、割り箸
- 食品用ラップ
トイレ・衛生用品
- 携帯トイレ
- トイレットペーパー
- ティッシュペーパー
- ウェットティッシュ
- マスク
- 石けんや消毒用品
- 使い捨て手袋
- ごみ袋と防臭袋
- 生理用品
- 歯磨き用品
- 体を拭くシート
明かり・情報・電源
- 懐中電灯
- ランタン
- 予備電池
- 携帯ラジオ
- モバイルバッテリー
- 充電ケーブル
- 乾電池式充電器
安全・手当用品
- 救急用品
- 常備薬
- 処方薬
- 眼鏡やコンタクト用品
- 軍手
- 笛
- 室内履きや厚底のスリッパ
- ヘルメットや防災ずきん
- 毛布や保温シート
個別に必要な物
- 粉ミルク、液体ミルク、哺乳瓶
- 離乳食
- 紙おむつ
- 介護用品
- 補聴器用電池
- アレルギー対応食品
- ペットフード
- ペット用の水やトイレ用品
処方薬は、自己判断で大量に確保するのではなく、 主治医や薬剤師へ相談しながら、 災害時の対応を確認してください。
会社で用意したい基本の備蓄品
会社では、 従業員が安全に待機できることと、 必要に応じて最低限の仕事を続けられることの 両方を考えます。
従業員のための備蓄
- 飲料水
- 加熱せずに食べられる食品
- 携帯トイレ
- トイレットペーパー
- 毛布や保温シート
- 救急用品
- マスク
- 消毒用品
- 使い捨て手袋
- 懐中電灯やランタン
- ラジオ
- 予備電池
- モバイルバッテリー
会社として用意したい物
- 従業員名簿と緊急連絡先
- 来客を確認するための記録
- 事業所周辺の地図
- 避難場所と避難経路の案内
- ヘルメット
- 軍手
- 工具
- 養生テープ
- ブルーシート
- 拡声器や笛
- 非常用の現金
- 重要書類の控え
仕事を続けるための備え
- パソコンやスマートフォンの予備電源
- 重要データのバックアップ
- 顧客や取引先の連絡先
- 紙で確認できる業務手順
- 代替の通信方法
- 事務所が使えない場合の勤務場所
- 休業や再開を判断する基準
備蓄品を購入しただけで終わらせず、 誰が管理するのか、 どこに保管するのか、 いつ点検するのかも決めておきます。
倉庫の奥や鍵のかかった部屋に置いていると、 災害時に取り出せないことがあります。 複数の場所に分けて保管する方法も検討してください。
会社の備蓄管理
- 災害時に社内へ残る人数を想定している
- 備蓄品の保管場所を従業員が知っている
- 管理担当者を決めている
- 賞味期限と使用期限を記録している
- 年に1回以上、内容を見直している
会社は全従業員一律ではなく個別事情も確認します
会社の備蓄を考えるときは、 全員に同じ物を配れば終わりではありません。
持病のある方、 食物アレルギーのある方、 妊娠中の方、 障害のある方など、 災害時に個別の支援が必要な場合があります。
ただし、健康や身体に関する情報は、 慎重に扱う必要があります。 必要な情報だけを本人の同意を得て確認し、 管理方法や閲覧できる人を明確にしてください。
個人で用意できる物は本人に備えてもらい、 会社が共通して用意する物と分ける方法もあります。
例えば、会社は水、食料、トイレ、 衛生用品などを共通備蓄とし、 処方薬や眼鏡などの個人用品は、 各自が持ち出せるよう準備する形です。
備蓄品は一か所にまとめすぎない
備蓄品を一か所にまとめておくと、 管理しやすいという利点があります。
しかし、その場所へ入れなくなった場合は、 すべての備蓄品を使えなくなる可能性があります。
家庭では、キッチン、玄関、寝室、 車などに分けて置く方法があります。 会社では、各階、執務室、倉庫、 支店などへ分散して保管する方法があります。
ただし、保管場所を増やすと、 期限管理が難しくなります。 一覧表を作り、 保管場所、数量、期限を記録しておきましょう。
| 品名 | 数量 | 保管場所 | 期限 | 担当者 |
|---|---|---|---|---|
| 飲料水 | 記入 | 記入 | 記入 | 記入 |
| 保存食 | 記入 | 記入 | 記入 | 記入 |
| 携帯トイレ | 記入 | 記入 | 記入 | 記入 |
| 乾電池 | 記入 | 記入 | 記入 | 記入 |
無理なく続けるローリングストック
備蓄品は、一度購入すれば終わりではありません。 食品には賞味期限があり、 電池や衛生用品にも使用期限や劣化があります。
長期間しまい込むと、 必要なときに期限が切れていたり、 使い方が分からなかったりすることがあります。
そこで取り入れたいのが、 普段使っている物を少し多めに買い、 使った分だけ買い足す 「ローリングストック」です。
ローリングストックの進め方
- 普段使う食品や日用品を少し多めに買います。
- 期限が近い物から日常生活で使います。
- 使った分を次の買い物で補充します。
- 常に一定量が残るように管理します。
特別な防災食だけを買うよりも、 食べ慣れた物を無駄なく使えるため、 家庭でも会社でも続けやすくなります。
会社の場合は、 賞味期限が近づいた食品を 防災訓練で試食したり、 従業員へ配布したりする方法もあります。
備蓄は「買うこと」より、 「切らさず、使える状態にしておくこと」が大切です。
備蓄品を買う前に人数と不足品を確認します
大きな地震のニュースを見た直後は、 不安から多くの商品を一度に買いたくなることがあります。
しかし、必要量を確認せずに買うと、 水や食料だけが多くなり、 携帯トイレや薬など、 本当に必要な物が不足することがあります。
まず、現在ある物をすべて確認し、 人数と日数を基準に不足を計算してください。
今日の15分防災アクション
- 備蓄品を保管場所から出します。
- 水、食料、トイレ、衛生用品に分けます。
- 家族や従業員の人数を確認します。
- 3日分あるかを計算します。
- 足りない物を三つだけ書き出します。
すべてを今日購入する必要はありません。 優先順位をつけ、 今週一つ、来週一つという形で増やしても構いません。
まとめ+要約
- 備蓄品は最低3日分、可能であれば1週間分を目指します。
- 飲料水は、1人1日3リットルを一つの目安にします。
- 携帯トイレは、1人1週間35回分が目安です。
- 備蓄品と非常持ち出し品は、目的を分けて準備します。
- 普段使う物を補充するローリングストックなら、 無理なく備蓄を続けられます。
次の一手: 家族または従業員の人数を基に、 水と携帯トイレの必要量を計算しましょう。
よくある質問
Q1.地震の備蓄品は何日分必要ですか?
まずは最低3日分を用意し、 可能であれば1週間分を目指してください。 支援物資の到着やライフラインの復旧に 時間がかかる場合があるためです。
一度に1週間分をそろえるのが難しい場合は、 まず3日分を確保し、 普段の買い物で少しずつ増やしましょう。
Q2.備蓄品と非常持ち出し品は何が違いますか?
備蓄品は、自宅や会社にとどまって 数日間生活するための物です。
非常持ち出し品は、 避難するときに持って出る最低限の物です。 重すぎると避難の妨げになるため、 量や目的を分けて準備してください。
Q3.会社では従業員全員分を備蓄する必要がありますか?
災害時に事業所へとどまる可能性がある人数を 基準に検討します。
通常の在籍人数だけでなく、 来客、交代勤務、在宅勤務、 外出中の従業員なども踏まえてください。
地域や自治体、建物の管理者が定めるルールがある場合は、 その内容も確認する必要があります。
家庭や会社に必要な備蓄を整理しませんか
「何をどれだけ用意すればよいか分からない」 「従業員数に合った備蓄量を確認したい」 「防災用品を買ったまま、管理できていない」 という方は、お気軽にご相談ください。
地震・防災対策について相談する参考情報
-
消防庁「地震に対する日常の備え」
https://www.fdma.go.jp/publication/ugoki/items/rei_0606_35.pdf -
内閣府「災害が起きたら、あなたはどうしますか?~みんなで地区防災~」
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/chikubousai/pdf/chikubosai_pamphlet.pdf -
内閣府「トイレ備蓄忘れていませんか?」
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/r06/111/news_08.html -
内閣府・消防庁「災害用携帯トイレ・簡易トイレの備蓄について」
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/r4_09.pdf -
中小企業庁「BCPの準備、事前対策を検討する」
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_a/bcpgl_03a_2.html
本記事は、一般的な防災情報を提供するものです。 必要な備蓄量や使用方法は、 家族構成、従業員数、地域、建物、 健康状態などによって異なります。 実際の災害時には、気象庁、自治体、消防、警察、 建物管理者などが発表する最新情報を確認してください。