
大規模地震への備え、今日確認したい5つのこと
大きな地震のニュースに触れると、 「自宅の備えは大丈夫だろうか」 「会社では何をしておけばよいのだろう」 と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
その一方で、防災用品の種類は多く、 避難、備蓄、安否確認、会社の対応など、 考えることも少なくありません。 何から始めるべきか分からず、 結局そのままになってしまうこともあります。
この記事の要点
- 地震への備えは、物を買うだけではありません。
- 最初に、命を守れる場所を確認します。
- 家族や従業員との連絡方法を決めます。
- 避難先、備蓄、仕事の対応も確認します。
- 完璧を目指さず、今日一つ始めることが大切です。
2026年7月28日には、熊本県熊本地方で マグニチュード7.1、最大震度7の地震が発生しました。 気象庁は、揺れの強かった地域では、 家屋の倒壊や土砂災害などの危険性が高まっているとして、 身の安全を守るよう呼びかけています。
大規模な地震は、特別な人だけに関係する問題ではありません。 自宅で過ごしているとき、職場で働いているとき、 移動しているときなど、 いつ、どこで発生するかは分かりません。
だからこそ、防災は 「地震が起きたら考えること」ではなく、 「落ち着いている今、少しずつ決めておくこと」です。
この記事では、中小企業の経営者や総務担当者、 個人事業主、個人、家族の皆さまに向けて、 今日確認したい5つの項目を紹介します。 難しい計画を作る前に、身近なところから始めていきましょう。
今回確認する5つのこと
- 命を守れる場所は決まっているか
- 家族や従業員との連絡方法はあるか
- 避難場所と避難経路を確認しているか
- 水・食料・携帯トイレなどは足りているか
- 会社や仕事を再開する方法を考えているか
1.命を守れる場所は決まっていますか
地震が起きた直後に、最も優先することは 自分と周りの人の命を守ることです。
緊急地震速報が鳴ってから強い揺れが来るまで、 十分な時間があるとは限りません。 その場で安全な場所を探そうとしても、 慌ててしまう可能性があります。
自宅では、寝室、居間、台所など、 長く過ごす場所を見渡してみてください。 背の高い家具、テレビ、食器棚、 吊り下げ式の照明などが倒れたり、 落ちたりする可能性はないでしょうか。
職場では、書類棚、商品棚、複合機、 パソコン、看板、ガラスなどを確認します。 通路や出入口の近くに倒れやすい物があると、 避難の妨げになることがあります。
内閣府は、屋内で地震が発生した場合、 倒れてくる家具などから身を守り、 頭を保護することを案内しています。 ただし、安全な行動は建物や周囲の状況によって異なります。 無理に遠くへ移動するよりも、 まず低い姿勢を取り、 頭を守ることを優先してください。
今日の確認
- 寝る場所の近くに倒れそうな家具がない
- 職場の通路や出入口を物がふさいでいない
- 頭を守れる場所や物を確認している
- 家具や棚の固定状況を確認している
- 割れたガラスに備えて、靴やスリッパを置いている
2.家族や従業員との連絡方法はありますか
地震が起きたとき、 自分の安全を確保した後に気になるのが、 家族や従業員の安否です。
しかし、大規模災害の直後は、 多くの人が一斉に電話をかけるため、 通話がつながりにくくなる場合があります。 携帯電話の充電が切れたり、 インターネットが使いにくくなったりする可能性もあります。
「地震が起きたら電話する」とだけ決めるのではなく、 電話がつながらない場合の方法まで、 あらかじめ決めておくことが重要です。
例えば、家族であれば、 災害用伝言ダイヤル171や災害用伝言板を使う、 遠方に住む親族を連絡の取りまとめ役にする、 集合場所を決めておくといった方法があります。
会社では、電話、メール、チャットなど、 複数の連絡手段を用意しておきます。 あわせて、誰が安否を確認するのか、 何時までに返信するのか、 返信がない人には誰が連絡するのかを決めておくと、 混乱を減らせます。
今日の確認
- 家族の集合場所を決めている
- 電話がつながらない場合の連絡方法がある
- 災害用伝言ダイヤル171の使い方を知っている
- 会社の緊急連絡先が最新の状態になっている
- 安否確認を担当する人が決まっている
3.避難場所と避難経路を確認していますか
「地震が起きたら避難所へ行けばよい」 と考えている方もいるかもしれません。 しかし、地震が起きたら、 必ずすぐに避難所へ行くとは限りません。
自宅や職場に倒壊、火災、津波、 土砂災害などの危険がある場合は、 安全な場所への避難が必要です。 一方で、建物に大きな危険がなく、 周辺も安全である場合は、 その場にとどまることが適切な場合もあります。
大切なのは、地震が起きてから避難先を探すのではなく、 自宅、職場、学校など、 それぞれの場所からどこへ避難するのかを 事前に確認しておくことです。
自治体のハザードマップでは、 地震だけでなく、津波、洪水、 土砂災害などの危険も確認できます。 避難経路についても、 ブロック塀、古い建物、狭い道路など、 通行時に危険になりそうな場所がないか見ておきましょう。
海の近くで強い揺れを感じた場合や、 弱くても長い揺れを感じた場合は、 津波を想定した行動が必要です。 海の様子を見に行かず、 自治体などの情報に従って、 できるだけ早く安全な場所へ移動してください。
今日の確認
- 自宅周辺の指定避難所を確認している
- 職場周辺の避難場所を確認している
- 避難場所まで実際に歩いたことがある
- ハザードマップで地域の危険を確認している
- 家族や従業員に避難場所を共有している
4.水・食料・携帯トイレは足りていますか
地震への備えと聞くと、 最初に水や食料を思い浮かべる方が多いでしょう。 もちろん、水や食料は重要です。 ただし、それだけでは十分ではありません。
大規模災害では、 電気、ガス、水道、通信などが止まる可能性があります。 店舗が営業できなかったり、 道路の被害によって商品が届きにくくなったりすることもあります。
消防庁は、支援物資が届くまでに時間がかかる可能性を考え、 最低3日分、できれば1週間分の飲料水や食料品を 備蓄するよう案内しています。
また、忘れやすいのが携帯トイレです。 水道が止まったり、 排水管が壊れたりすると、 普段どおりにトイレを流せないことがあります。 食料は用意していても、 トイレの準備がない家庭や会社は少なくありません。
このほか、持病の薬、眼鏡、補聴器、 乳幼児用品、介護用品、生理用品、 モバイルバッテリー、懐中電灯など、 一人ひとりに必要な物は異なります。
すべてを一度にそろえる必要はありません。 普段使っている食品や日用品を少し多めに買い、 使った分だけ補充する方法であれば、 無理なく続けやすくなります。
今日の確認
- 備蓄品を家族や従業員の人数で考えている
- 飲料水と食料を最低3日分用意している
- 携帯トイレを用意している
- 薬や乳幼児用品など、個別に必要な物を確認している
- 消費期限や使用期限を定期的に確認している
5.会社や仕事を再開する方法を考えていますか
中小企業や個人事業主にとって、 地震は人命に関わる問題であると同時に、 仕事の継続にも関わる問題です。
従業員が無事でも、 事務所に入れない、 電気や通信が使えない、 商品が届かない、 取引先と連絡が取れないといった理由で、 仕事が止まることがあります。
そのため、会社の防災では、 防災用品を用意するだけでなく、 「止まったときにどうするか」 を考えておく必要があります。
まずは、会社にとって 止められない仕事を一つから三つ程度に絞ってみてください。 顧客からの緊急連絡への対応、 商品やサービスの提供、 給与の支払い、請求や入金の確認など、 事業によって優先順位は異なります。
次に、その仕事を続けるために必要な人、 場所、設備、データ、取引先を整理します。 事務所が使えない場合に自宅から対応できるか、 パソコンが壊れてもデータを取り出せるか、 担当者が不在でも別の人が対応できるかを確認します。
中小企業庁では、中小企業が取り組みやすい防災・減災計画として、 「事業継続力強化計画」の認定制度を設けています。 ただし、最初から難しい計画書を完成させる必要はありません。 まずは自社の重要な仕事と、 止まる原因を整理するところから始めましょう。
今日の確認
- 災害時に優先する仕事を決めている
- 顧客や取引先への連絡方法を決めている
- 重要なデータを別の場所にも保存している
- 担当者が不在の場合の代わりを決めている
- 休業や事業再開を判断する人が決まっている
備えていないことを責める必要はありません
ここまで読んで、 「ほとんど準備できていない」 と感じた方もいるかもしれません。
しかし、備えが足りないことに気づけたのは、 大切な一歩です。 防災は、誰かに評価されるために行うものではありません。 自分や家族、従業員、お客さまを守るために行うものです。
最初から完璧な備蓄や計画を目指すと、 費用や手間が大きく感じられ、 行動を先送りしやすくなります。
まずは、家具を一つ確認する、 避難場所を地図で見る、 家族に連絡方法を伝えるなど、 10分でできることから始めてください。
大切なのは、「全部できてから安心する」ことではなく、 「今日一つ進める」ことです。
今日の10分防災アクション
自宅または職場を一周し、 次の5項目を確認してください。
- 倒れそうな家具や棚はないか
- 避難の通路を物がふさいでいないか
- 家族や従業員の連絡先は最新か
- 避難場所をすぐに説明できるか
- 水、食料、携帯トイレがあるか
気づいたことは、紙やスマートフォンのメモに残します。 今日すべてを解決できなくても構いません。 「不足しているものが分かった」 という状態まで進めば、最初の一歩は完了です。
まとめ+要約
- 地震への備えは、備蓄品の購入だけではありません。
- まず、自宅や職場で命を守れる場所を確認します。
- 電話がつながらない場合の連絡方法も決めておきます。
- 避難場所、避難経路、水、食料、携帯トイレを確認します。
- 会社では、重要な仕事をどう再開するかも考えておきます。
次の一手: 自宅または職場を10分だけ見て回り、 不足している備えを三つ書き出しましょう。
よくある質問
Q1.防災は何から始めればよいですか?
最初は、寝る場所や長く過ごす場所の安全確認から始めてください。 倒れそうな家具、落ちそうな物、 避難を妨げる物がないかを見るだけでも、 大切な備えになります。 その後、連絡方法、避難場所、備蓄品の順に確認すると進めやすくなります。
Q2.防災用品をそろえれば十分ですか?
防災用品は重要ですが、それだけでは十分とはいえません。 家族や従業員との連絡方法、 避難先、役割分担、 会社を休業・再開する基準なども決めておく必要があります。 「物」と「行動」の両方を準備することが大切です。
Q3.小さな会社でも地震対策は必要ですか?
必要です。 小さな会社では、一人の担当者、 一台のパソコン、一つの仕入先が止まるだけで、 事業全体に影響が出ることがあります。 大がかりな計画から始める必要はありません。 安否確認と重要データの保存、 優先する仕事の整理から始めてください。
自宅や会社の地震対策を整理しませんか
「何から始めればよいか分からない」 「会社として必要な備えを整理したい」 「自社に合った防災対策を相談したい」 という方は、お気軽にご相談ください。
地震・防災対策について相談する参考情報
-
気象庁「令和8年熊本地震 ポータルサイト」
https://www.jma.go.jp/jma/menu/20260728_kumamoto_jishin.html -
内閣府「今日から始める私の防災のページ」
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/minna/watasino/index.html -
消防庁「地震に対する日常の備え」
https://www.fdma.go.jp/publication/ugoki/items/rei_0606_35.pdf -
中小企業庁「事業継続力強化計画」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.html
本記事は、一般的な防災情報を提供するものです。 実際の災害時には、気象庁、自治体、消防、警察などが発表する 最新情報を確認し、地域や建物の状況に応じて行動してください。