
地震が起きる前に決める、家族と会社の防災行動
防災用品を用意し、避難場所を確認していても、 実際に大きな地震が起きた瞬間、 落ち着いて行動できるとは限りません。
家族が別々の場所にいる。 従業員が外出している。 電話がつながらない。 建物の中に残ってよいか分からない。 取引先から営業状況を聞かれる。
災害時には、 いつもと異なる問題が同時に起こります。 その場ですべてを考えようとすると、 判断が遅れたり、 人によって行動がばらばらになったりします。
だからこそ地震が起きる前に、 「誰が、いつ、何をするか」を 家族と会社で決めておくことが大切です。
5日間シリーズの最終回となる本記事では、 地震発生直後から安否確認、避難、 会社の休業、顧客への連絡、 事業再開までの行動を順番に整理します。
この記事の要点
- 揺れている間は、移動より身の安全を優先します。
- 揺れの後は、火災、けが、建物の危険を確認します。
- 家族と会社で複数の安否確認方法を決めます。
- 避難、待機、帰宅、休業の判断者を決めます。
- 事業再開は、人とサービスの安全確認後に判断します。
気象庁によると、 緊急地震速報を見聞きしてから 強い揺れが来るまでの時間は、 数秒から数十秒しかない場合があります。
情報の内容を長く確認するよりも、 まず身を守る行動を取る必要があります。
具体的には、 姿勢を低くし、 頭を守り、 揺れが収まるまで安全な場所で待ちます。
ただし、地震が起きた場所や建物によって、 適切な行動は異なります。 火を消すために危険な場所へ近づいたり、 揺れている最中に無理に外へ飛び出したりせず、 命を守ることを最優先にしてください。
海の近くで強い揺れや、 弱くても長い揺れを感じた場合は、 津波の発生を考え、 海から離れて高い安全な場所へ避難します。
家族の様子を見に戻ることよりも、 まず自分自身が安全な場所へ移動することが重要です。 家族同士で事前に避難ルールを決めておけば、 お互いを探して危険な地域へ戻ることを防ぎやすくなります。
地震発生時の行動を7段階で考える
- 揺れている間に身を守る
- 揺れが収まった直後に危険を確認する
- 避難するか、その場に残るか判断する
- 家族と従業員の安否を確認する
- 会社の待機・帰宅・休業を判断する
- 顧客や取引先へ状況を伝える
- 重要な仕事から安全に再開する
1.揺れている間は、まず身を守る
地震が起きた瞬間に最も優先するのは、 家族への電話や会社への報告ではありません。
自分自身の命を守ることです。
強い揺れの中で無理に移動すると、 家具、商品、ガラス、照明、 看板などの落下や転倒に巻き込まれる可能性があります。
基本となる三つの安全行動
-
姿勢を低くする
転倒しないよう、できるだけ低い姿勢を取ります。 -
頭を守る
机、かばん、クッションなどで頭や首を守ります。 -
揺れが収まるまで動かない
落下物や転倒物から離れた場所で待ちます。
自宅にいる場合
- 丈夫な机の下などで頭を守る
- 家具、窓ガラス、照明から離れる
- 台所の火に無理に近づかない
- 揺れている最中に外へ飛び出さない
- 出口へ移動する場合も足元と落下物に注意する
会社にいる場合
- 机の下などで頭と首を守る
- 棚、複合機、ガラスから離れる
- エレベーターを使わない
- 工場や倉庫では機械や積み荷から離れる
- 店舗では商品棚やガラス面から離れる
屋外にいる場合
- 看板、窓ガラス、外壁から離れる
- 古い塀や自動販売機に近づかない
- かばんなどで頭を守る
- 道路へ飛び出さない
- 係員や施設管理者の案内に従う
運転中の場合
急ブレーキを避け、 周囲の車に注意しながら速度を落とします。
道路の左側など安全な場所へ停止し、 揺れが収まるまで車内で待ちます。 その後は、警察、道路管理者、 ラジオなどの情報を確認してください。
揺れを感じたときは、 「いつもの場所だから大丈夫」と考えず、 落下物や転倒物から身を守ってください。
2.揺れが収まった直後に危険を確認する
揺れが収まった後も、 すぐに安全になったとは限りません。
余震、火災、ガス漏れ、 建物の損傷、割れたガラス、 津波などの危険があります。
まず自分のけがを確認し、 周囲の人へ声をかけます。
最初に確認する順番
-
自分と周囲の人のけが
出血、転倒、閉じ込めなどがないか確認します。 -
火災や煙
火が出ていないか、焦げたにおいがしないか確認します。 -
ガスや危険物
異臭や漏れが疑われる場合は、火や電気スイッチを使いません。 -
建物の損傷
大きなひび、傾き、天井落下などを確認します。 -
周辺の危険
火災、倒壊、津波、土砂災害などの情報を確認します。
初期消火を行う場合も、 自分の安全を確保できる範囲に限ります。
炎が大きい、煙が多い、 危険を感じる場合は、 消火を続けず避難してください。
ガス漏れが疑われる場合は、 電灯や換気扇などのスイッチを操作すると 火花が発生する可能性があります。
火気や電気製品を使用せず、 安全な場所へ移動し、 消防やガス事業者などの案内に従います。
揺れの直後の確認
- 自分と周囲の人のけがを確認した
- 火災や煙がないか確認した
- ガスや危険物の漏れを確認した
- 建物や天井の損傷を確認した
- 靴や安全な履物を着用した
- ラジオや公的情報を確認した
- 余震に備えて安全な場所を確保した
3.避難するか、その場に残るかを判断する
地震が起きたら、 必ずすぐ避難所へ行くわけではありません。
自宅や会社が安全で、 周辺にも火災や津波などの危険がない場合は、 その場にとどまることが適切な場合もあります。
一方で、 建物の損傷、火災、津波、 土砂災害などの危険がある場合は、 速やかな避難が必要です。
| 状況 | 考える行動 |
|---|---|
| 建物に大きな損傷がある | 安全な場所へ避難する |
| 周辺で火災が広がっている | 煙や風向きに注意して避難する |
| 津波の危険がある | 海から離れ、高い安全な場所へ避難する |
| 土砂災害の危険がある | 斜面や崖から離れた安全な場所へ移動する |
| 自宅や会社が安全 | 余震と最新情報に注意して待機する |
| 安全を判断できない | 自治体や建物管理者などの情報を確認する |
津波の危険がある場合
海の近くで強い揺れを感じた場合や、 弱くても長い揺れを感じた場合は、 津波の発生を考えます。
海の様子を見に行ったり、 荷物を取りに戻ったりせず、 高い場所や津波避難ビルなどへ移動してください。
津波は一度で終わるとは限りません。 警報や注意報が解除されるまで、 危険な地域へ戻らないことが大切です。
避難所と避難場所の違い
避難場所は、 災害の危険から命を守るために 一時的に逃げる場所です。
避難所は、 自宅で生活できなくなった人が 一定期間生活する施設です。
自治体によって名称や運用が異なる場合があるため、 地域の防災マップで確認してください。
家族や忘れ物を探すために、 津波、火災、倒壊などの危険がある地域へ 戻らないでください。
4.家族の安否を確認する
自分の安全を確保すると、 次に家族の安否が気になります。
しかし、大規模災害の直後は、 被災地域へ電話が集中し、 通話がつながりにくくなる場合があります。
電話がつながらないからといって、 何度も連続してかけるだけでは、 確認が進まないことがあります。
複数の連絡方法を決める
- 災害用伝言ダイヤル171
- 携帯電話会社の災害用伝言板
- メッセージアプリ
- 電子メール
- 遠方に住む親族への連絡
- 事前に決めた集合場所
一つの方法に限定せず、 第一の方法が使えない場合の 第二、第三の方法を決めてください。
家族へ伝える内容を短くする
災害時の連絡は、 長い説明よりも、 必要な情報を短く伝える方が確認しやすくなります。
家族への安否連絡例
私は無事です。現在地は会社です。 会社で待機しています。 次の連絡は午後6時ごろに入れます。 危険なので迎えには来ないでください。
家族で決めておくこと
- 第一の連絡方法
- 電話が使えない場合の連絡方法
- 自宅近くの集合場所
- 自宅へ戻れない場合の集合場所
- 子どもの迎えを担当する人
- 高齢者や要支援者を確認する人
- ペットを避難させる方法
- 危険な地域へ戻らないという約束
学校、保育施設、介護施設などには、 それぞれ災害時の引き渡しルールがあります。
地震が起きてから確認するのではなく、 平常時に施設のルールを確認してください。
5.会社は従業員と来客の安否を確認する
会社では、 社内にいる従業員だけでなく、 外出中、出張中、在宅勤務中の従業員、 来客や外部業者も確認の対象になります。
災害直後の確認項目は、 増やしすぎないことが大切です。
会社の安否確認項目
- 本人は無事か
- けがはあるか
- 現在地はどこか
- 家族への対応が必要か
- 業務対応が可能か
会社から送る連絡例
地震が発生しました。 まず、ご自身と周囲の安全を確保してください。
安全が確認できた方は、 次の項目を返信してください。
- 本人の状況:無事/けがあり
- 現在地:会社/自宅/移動中/その他
- 家族対応:必要/不要
- 業務対応:可能/困難/現時点では不明
出勤や移動については、 会社から次の連絡があるまで 無理に行動しないでください。
返信がない従業員への対応
返信がないからといって、 直ちに本人が被災したと判断することはできません。
通信障害、充電切れ、 家族対応、避難中などの可能性があります。
第一の連絡手段で返信がなければ、 第二の手段を使います。 それでも確認できない場合は、 緊急連絡先や上司を通じて確認します。
ただし、担当者が危険な場所へ 無理に探しに行ってはいけません。
会社の安否確認
- 安否確認を開始する条件を決めている
- 第一と第二の連絡手段を決めている
- 連絡先を定期的に更新している
- 返信を集計する担当者を決めている
- 担当者の代理を決めている
- 返信がない人への確認手順がある
- 来客や外部業者の人数を確認できる
6.会社に残るか、帰宅するかを判断する
地震後に従業員をすぐ帰宅させることが、 必ず安全とは限りません。
鉄道やバスが止まり、 道路や駅が混雑している状態で 多くの人が一斉に移動すると、 火災、落下物、余震、 群衆事故などへ巻き込まれる可能性があります。
建物内が安全で、 周辺に火災や津波などの危険がなければ、 情報が落ち着くまで会社で待機することも検討します。
一方で、 建物に大きな損傷がある、 火災や津波の危険がある場合は、 建物内に残ることが危険です。
待機・帰宅の判断項目
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 建物 | 倒壊、天井落下、設備損傷などの危険がないか |
| 周辺 | 火災、津波、土砂災害、落下物の危険がないか |
| 交通 | 鉄道、バス、道路が利用できるか |
| 時間 | 夜間や悪天候で移動が危険ではないか |
| 距離 | 徒歩で安全に帰宅できる距離か |
| 家庭事情 | 子ども、高齢者、要支援者への対応が必要か |
| 公的情報 | 自治体、交通機関、建物管理者の案内 |
帰宅させる場合も、 全員を同時に帰すのではなく、 自宅までの距離や家族事情を考慮し、 時間を分ける方法があります。
帰宅する従業員には、 危険を感じたら無理をせず安全な場所へ移動すること、 帰宅後に会社へ連絡することを伝えます。
売上や業務都合を優先して、 危険な状況で出勤や帰宅を求めてはいけません。
7.会社を休業するか判断する
災害後、 営業を続けるか、 一時的に休業するかを判断します。
売上や納期が気になっても、 従業員や顧客の安全を確保できない場合は、 業務を続けるべきではありません。
休業を検討する主な状況
- 従業員や来客の安全を確保できない
- 建物や設備の安全を確認できない
- 火災、津波、土砂災害などの危険がある
- 必要な人員を確保できない
- 停電や断水で安全に営業できない
- 通信障害で重要な確認ができない
- 商品やサービスの品質を守れない
- 行政や建物管理者から停止を求められている
休業の判断者は、 経営者だけでなく、 経営者が不在の場合の代理も決めておきます。
休業判断の記入欄
| 最終判断者 | 氏名を記入 |
|---|---|
| 第一代理 | 氏名を記入 |
| 第二代理 | 氏名を記入 |
| 従業員への連絡方法 | メール、チャット、電話などを記入 |
| 顧客への案内方法 | Webサイト、SNS、電話などを記入 |
8.顧客と取引先へ事実を伝える
災害直後は、 被害や復旧の見込みを すぐに判断できないことがあります。
分からないことを無理に断定すると、 後から説明が変わり、 顧客や取引先の混乱につながります。
初期の連絡では、 確認できている事実、 現在行っている対応、 次に連絡する時期を伝えます。
顧客・取引先への初期連絡例
本日発生した地震の影響について、 現在、従業員と事業所の安全確認を進めています。
現時点では、 営業および納品への影響を確認中です。
詳細は、 本日午後5時を目安に改めてお知らせいたします。
緊急のご連絡は、 次の窓口へお願いいたします。
緊急連絡先:[電話番号またはメールアドレス]
連絡で避けたいこと
- 確認していない安全情報を伝える
- 根拠のない復旧予定を約束する
- 従業員や顧客の個人情報を公表する
- 担当者ごとに異なる内容を伝える
- 問い合わせへ長時間何も返さない
Webサイト、SNS、メール、 電話の自動応答など、 複数の案内方法を用意すると、 電話対応の集中を減らしやすくなります。
発信内容は一人で決めず、 可能であれば経営者、現場、 顧客対応担当者で事実を確認してください。
9.重要な仕事から再開する
災害後に平常時と同じ仕事を すべて再開しようとすると、 限られた人や設備が分散します。
まずは、自社にとって重要な仕事を 一つから三つに絞ります。
優先する仕事を決める質問
- 止まると人の命や安全へ影響するか
- 止まると顧客へ大きな損害が出るか
- 止まると資金繰りへ大きく影響するか
- 法律や契約上の期限があるか
- 再開に長い時間がかかるか
重要業務を決めたら、 その仕事に必要な人、場所、設備、 データ、取引先を確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 人 | 担当者と代理担当者が対応できるか |
| 場所 | 事務所、店舗、工場を安全に使えるか |
| 設備 | 機械、車両、パソコンを安全に使えるか |
| 通信 | 電話やインターネットを使えるか |
| データ | 顧客情報や業務データを確認できるか |
| 取引先 | 仕入、配送、委託先が対応できるか |
| 安全 | 顧客へ安全な商品やサービスを提供できるか |
事務所が使えない場合は、 在宅勤務、別拠点、 外部施設などの代替方法を検討します。
担当者が不在の場合は、 代理担当者が紙の手順書や バックアップデータを使って対応します。
10.事業再開は安全を確認してから判断する
営業再開を急ぐことが、 必ず会社を守ることにつながるとは限りません。
建物や設備の安全確認が不十分な状態で再開すると、 従業員や顧客がけがをする可能性があります。
品質を維持できない状態で商品やサービスを提供すると、 事故、返金、信用低下につながることもあります。
再開前の確認
- 建物を安全に利用できる
- 従業員が安全に出勤・勤務できる
- 電気、水道、通信などを利用できる
- 設備や機械を安全に動かせる
- 重要データを利用できる
- 必要な材料や商品を確保できる
- 顧客へ安全な商品やサービスを提供できる
- 余震や二次災害へ対応できる
- 休業・再開の判断者が承認している
全面再開だけが選択肢ではありません
すべての業務を一度に再開できない場合は、 段階的な再開を検討します。
- 問い合わせ対応だけを再開する
- 重要顧客への対応を優先する
- 一部の商品やサービスだけを提供する
- 営業時間を短縮する
- 従業員を交代制にする
- 在宅勤務を組み合わせる
できることとできないことを明確にし、 顧客や取引先へ伝えることが大切です。
「早く再開すること」より、 「安全に続けられる状態で再開すること」を優先します。
家庭用・地震発生時の行動表
次の表を家族で確認し、 空欄を記入してください。
| 家族の第一集合場所 | 記入してください |
|---|---|
| 第二集合場所 | 記入してください |
| 第一の連絡方法 | 記入してください |
| 第二の連絡方法 | 記入してください |
| 遠方の連絡先 | 氏名・電話番号を記入してください |
| 子どもの迎え | 担当者と代わりの人を記入してください |
| 高齢者等の確認 | 担当者と連絡方法を記入してください |
| ペットの対応 | 避難方法と必要品を記入してください |
| 自宅の避難先 | 第一候補・第二候補を記入してください |
| 見直し日 | 毎年の確認日を記入してください |
家族の共通ルール
- まず自分の身を守る
- 電話がつながらなくても慌てない
- 決めた方法で安否を伝える
- 津波や火災の危険地域へ戻らない
- 迎えや集合は安全確認後に行う
- 情報は公的機関から確認する
会社用・地震発生時の行動表
次の表を経営者、総務担当者、 現場責任者で確認してください。
| 全体責任者 | 氏名・連絡先を記入してください |
|---|---|
| 第一代理 | 氏名・連絡先を記入してください |
| 安全確認担当 | 氏名・代理者を記入してください |
| 安否確認担当 | 氏名・代理者を記入してください |
| 情報収集担当 | 氏名・確認先を記入してください |
| 顧客対応担当 | 氏名・代理者を記入してください |
| 第一避難場所 | 場所を記入してください |
| 第二避難場所 | 場所を記入してください |
| 安否確認方法 | 第一・第二手段を記入してください |
| 休業判断者 | 責任者・代理者を記入してください |
| 再開判断者 | 責任者・代理者を記入してください |
| 最優先業務 | 一つから三つ記入してください |
| 重要データの保存先 | 保管場所と復元担当者を記入してください |
| 顧客への案内方法 | Web、SNS、メール、電話などを記入してください |
| 次回訓練日 | 日付を記入してください |
地震発生後24時間の会社行動例
実際の状況によって順番は変わりますが、 基本的な流れの例を示します。
| 時間 | 主な行動 |
|---|---|
| 揺れている間 | 姿勢を低くし、頭を守り、 落下物や転倒物から離れる |
| 直後から10分 | けが人、火災、ガス、建物、 津波などの危険を確認する |
| 10分から30分 | 避難または待機を判断し、 社内の人数を確認する |
| 30分から2時間 | 外出者や在宅勤務者の安否を確認し、 自治体、交通、建物情報を集める |
| 2時間から6時間 | 待機・帰宅・休業を判断し、 顧客や取引先へ初期連絡を行う |
| 6時間から12時間 | 従業員、設備、データ、 取引先への影響を整理する |
| 12時間から24時間 | 重要業務の再開条件を確認し、 翌日の営業方針を決める |
この時間は固定的な基準ではありません。 災害、地域、建物、被害の状況に応じて、 人命と安全を優先して変更してください。
正常性バイアスに注意する
災害時には、 危険な情報を見聞きしても、 「自分のところは大丈夫だろう」 「いつもの小さな揺れだろう」 と考えてしまうことがあります。
このように、 危険を小さく受け止めようとする心の働きは、 正常性バイアスと呼ばれます。
正常性バイアスそのものを 完全になくすことは難しいため、 判断を個人の感覚だけに任せない工夫が必要です。
判断を遅らせない方法
- 避難や休業の条件を事前に書く
- 判断者と代理者を決める
- 自治体や気象庁などの情報を確認する
- 一人で判断せず、複数人で状況を確認する
- 訓練で実際の行動を試す
「もう少し様子を見よう」と考えている間に 危険が近づく場合があります。 事前に決めた基準と公的情報を基に行動してください。
防災行動表は毎年見直す
家族や会社の状況は変わります。
子どもの進学、 家族の転居、 従業員の入退社、 事務所の移転、 新しい設備やシステムの導入によって、 適切な連絡方法や避難先も変わります。
見直すタイミング
- 年に一度の防災訓練
- 家族の学校や勤務先が変わったとき
- 従業員が入社・退職したとき
- 事務所や店舗を移転したとき
- 重要な取引先やシステムが変わったとき
- 備蓄品の期限を確認するとき
- 実際に地震や停電を経験した後
最初から完璧な行動表を作る必要はありません。
訓練や実際の出来事から、 使いにくかった部分を一つずつ直してください。
防災は、 一度完成させて保管するものではなく、 家族や会社の変化に合わせて 育てていくものです。
今日の30分防災アクション
5日間シリーズの最後に、 家族または会社で次の内容を決めてください。
-
第一の集合場所を決める
自宅周辺または会社周辺の安全な場所を決めます。 -
連絡方法を二つ決める
電話が使えない場合の方法も決めます。 -
判断者と代理を決める
避難、待機、休業、再開の判断者を決めます。 -
最優先の仕事を一つ決める
災害後に最初に確認・再開する仕事を選びます。 -
次回の見直し日を決める
半年後または一年後の日付を予定へ入れます。
決めた内容は、 スマートフォンだけでなく、 紙にも書いて保管してください。
まとめ+要約
- 地震の揺れを感じたら、 まず姿勢を低くし、頭を守ります。
- 揺れの後は、 けが、火災、建物、津波などの危険を確認します。
- 家族と会社で、 電話以外の安否確認方法も決めておきます。
- 会社では、 待機、帰宅、休業、再開の判断者と代理を決めます。
- 事業再開は、 人、建物、設備、サービスの安全確認後に判断します。
次の一手: 家族または会社の防災行動表を一枚作り、 集合場所、連絡方法、判断者、最優先業務を書き込みましょう。
よくある質問
Q1.地震が起きた直後は何をすればよいですか?
まず姿勢を低くし、 頭や首を守り、 倒れてくる物や落ちてくる物から離れます。
揺れている最中に、 無理に火を消しに行ったり、 外へ飛び出したりしないでください。
揺れが収まった後に、 自分と周囲の人のけが、 火災、ガス、建物、 津波などの危険を確認します。
Q2.家族と連絡が取れないときはどうすればよいですか?
電話を繰り返すだけでなく、 災害用伝言ダイヤル171、 災害用伝言板、 メッセージアプリ、 遠方の親族など、 事前に決めた別の方法を使います。
家族を探すために、 津波、火災、倒壊などの危険がある地域へ 戻らないことも重要です。
あらかじめ集合場所と 連絡の時間を決めておくと、 お互いの無理な移動を減らせます。
Q3.会社は地震後いつ営業を再開すればよいですか?
従業員、建物、設備、 電気、水道、通信、 取引先などの状況を確認してから判断します。
顧客へ安全な商品やサービスを 提供できない場合は、 再開を急いではいけません。
全面再開が難しい場合は、 問い合わせ対応だけ、 一部業務だけ、 時間短縮など、 段階的な再開を検討してください。
5日間シリーズの振り返り
- Day1「大規模地震への備え、今日確認したい5つのこと」
- Day2「地震の備蓄品は何日分必要?家庭と会社の基本リスト」
- Day3「会社の地震対策は何をする?中小企業の基本チェック」
- Day4「難しいBCPは不要?小さな会社の90日防災計画」
- Day5「地震が起きる前に決める、家族と会社の防災行動」
防災は、 不安を大きくするために行うものではありません。
分からないことを一つずつ減らし、 家族や従業員が迷わず動ける状態を 作るために行うものです。
備えが十分でないと気づいた今が、 始める機会です。
家族や会社に合った防災行動を整理しませんか
「何から決めればよいか分からない」 「会社の休業や再開の基準がない」 「家族や従業員と共有できる行動表を作りたい」 という方は、お気軽にご相談ください。
地震・防災対策について相談する参考情報
-
気象庁「地震から身を守るために」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/jishin_bosai/index.html -
気象庁「緊急地震速報を見聞きしたときは」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/eew/koudou/koudou.html -
気象庁「津波から身を守るために」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/tsunami_bosai/ -
内閣府「今日から始める私の防災のページ」
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/minna/watasino/index.html -
内閣府「家族で防災」
https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h23/66/special_01.html -
消防庁「地震防災マニュアル」
https://www.fdma.go.jp/relocation/bousai_manual/index.html -
中小企業庁「BCPの発動フロー」
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_b/bcpgl_03b_3_3_1.html -
中小企業庁「事業継続のための緊急対策」
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_04_2_2.html
本記事は、一般的な地震防災および事業継続に関する 情報を提供するものです。 適切な行動は、地震の規模、地域、建物、 津波や火災の危険、家族構成、業種などによって異なります。 実際の災害時には、気象庁、自治体、消防、警察、 建物管理者、交通機関などが発表する最新情報を確認し、 人命と安全を最優先に行動してください。