
会社の地震対策は何をする?中小企業の基本チェック
会社の地震対策と聞くと、 防災用品の購入や避難訓練を思い浮かべる方が 多いのではないでしょうか。
水や食料を備え、消火器の場所を確認することは大切です。 しかし、実際に大きな地震が発生したときは、 それだけでは判断できない問題が次々に起こります。
従業員や来客は無事か。 建物の中に残ってよいのか。 従業員を帰宅させるべきか。 顧客には誰が連絡するのか。 パソコンや通信が使えないとき、仕事をどう続けるのか。
こうした判断を地震が起きてから初めて考えると、 経営者や総務担当者に負担が集中し、 対応が遅れることがあります。
この記事の要点
- 会社の地震対策は、人命の安全を最優先にします。
- 建物、家具、設備の危険を平常時に減らします。
- 安否確認と帰宅判断の手順を事前に決めます。
- 重要データ、取引先、資金への影響も確認します。
- 重要業務と事業再開の判断者を決めておきます。
大規模な地震が起きると、 人や建物だけでなく、 電気、水道、通信、交通、物流などにも 影響が広がる可能性があります。
会社の建物に大きな被害がなくても、 従業員が出勤できない、 取引先から材料が届かない、 インターネットが使えない、 顧客と連絡が取れないといった理由で、 仕事が止まることがあります。
特に中小企業では、 一人の担当者、一台の機械、 一つの仕入先、一つの事業所に 業務が集中している場合があります。
そのため、大企業と同じような 詳細な計画書を作ることよりも、 自社にとって止まると困る部分を見つけ、 代わりの方法を決めることが重要です。
本記事では、中小企業の経営者や総務担当者、 個人事業主が確認したい地震対策を、 「人・場所・連絡・情報・取引・お金・再開」 の順に整理します。
会社で確認したい8つの地震対策
- 従業員と来客の命を守る
- 建物、家具、設備の危険を減らす
- 安否確認の方法と担当者を決める
- 従業員の待機と帰宅の基準を決める
- 水、食料、トイレなどを備蓄する
- 重要なデータと情報を守る
- 取引先と資金への影響を確認する
- 重要業務と事業再開の手順を決める
1.従業員と来客の命を最優先にする
会社の地震対策で最も優先するのは、 従業員、来客、取引先など、 その場にいる人の命と安全です。
売上や納期への影響が気になっても、 建物の安全が確認できない状態で 業務を続けてはいけません。
大きな揺れを感じたら、 まず姿勢を低くし、 頭を守り、 倒れてくる物や落ちてくる物から離れます。
揺れている最中に、 慌てて屋外へ飛び出すと、 ガラス、看板、外壁などの落下物に 巻き込まれる危険があります。
揺れが収まった後は、 負傷者の有無、火災、ガス漏れ、 建物や設備の損傷を確認します。
ただし、安全確認のために、 危険な場所へ無理に入ってはいけません。 建物に大きなひび、傾き、天井の落下、 柱の損傷などが見られる場合は、 安全な場所へ移動します。
来客や取引先も確認の対象です
災害時に会社が把握する必要があるのは、 従業員だけではありません。
会議中の来客、工事業者、 配送担当者、店舗のお客さまなどがいる場合は、 その人たちの安全も確認します。
普段から受付記録や入館記録を残しておくと、 災害時に建物内の人数を確認しやすくなります。
人命を守るための確認
- 揺れたときの基本行動を従業員へ伝えている
- 安全な待機場所を決めている
- 救急箱や応急手当用品を用意している
- 応急手当ができる人を確認している
- 来客や外部業者の人数を確認できる
- 避難時の誘導担当者を決めている
- 担当者が不在の場合の代理を決めている
2.建物、家具、設備の危険を減らす
地震対策は、発生後の行動だけではありません。 平常時に危険を減らしておくことで、 けがや避難の遅れを防ぎやすくなります。
会社の中を見回し、 背の高い棚、書庫、商品棚、 複合機、テレビ、パソコン、 大型の機械などを確認してください。
転倒や移動によって人にぶつかる可能性がある物は、 壁や床に固定することを検討します。
棚の上に重い物を置いている場合は、 低い位置へ移します。 扉が開いて中身が飛び出す可能性がある場合は、 開放防止器具を取り付けます。
避難経路を物でふさがない
棚や機械が倒れなくても、 段ボール、在庫、書類などが通路へ散乱すると、 避難が難しくなります。
出入口、廊下、階段、防火戸の周辺には、 物を置かないようにします。
非常口の前に一時的に荷物を置き、 そのままになっていないかも確認してください。
テナントは建物管理者のルールも確認する
テナントビルや商業施設に入居している場合は、 自社だけで避難や待機を判断できないことがあります。
建物管理者が定めた避難方法、 集合場所、館内放送、 防火管理、設備停止の手順を確認します。
建物全体の訓練がある場合は、 できる限り参加し、 自社の手順と食い違いがないか確認してください。
建物と設備の確認
- 背の高い棚や書庫を固定している
- 棚の上に重い物を置いていない
- 複合機や大型機器の移動防止をしている
- 窓ガラスや陳列物の落下対策をしている
- 避難経路や非常口を物がふさいでいない
- 消火器の場所と使用期限を確認している
- テナントビルの避難ルールを把握している
3.安否確認の方法と担当者を決める
地震発生後は、 従業員が事業所内にいるとは限りません。
自宅、移動中、取引先、出張先、 在宅勤務中など、 それぞれ異なる場所にいる可能性があります。
そのため、会社として、 誰が、どの方法で、何を確認するのかを 事前に決めておく必要があります。
確認する内容を増やしすぎない
災害直後に長い報告を求めると、 従業員の負担になり、 集計にも時間がかかります。
最初の安否確認では、 次のような最低限の項目に絞ります。
- 本人は無事か
- けがはあるか
- 現在地はどこか
- 家族の支援が必要か
- 出勤や業務対応が可能か
連絡手段は一つに限定しない
大規模災害では、 電話がつながりにくくなる場合があります。
電話だけでなく、 メール、社内チャット、 安否確認サービス、 災害用伝言ダイヤル171、 災害用伝言板など、 複数の手段を決めておきます。
「第一の連絡手段が使えない場合は、 第二の手段を使う」という順番も 従業員へ伝えてください。
個人の連絡先は適切に管理する
安否確認のために個人の電話番号などを集める場合は、 利用目的、保管方法、閲覧できる担当者を明確にします。
退職者の情報が残っていないか、 入社した人の情報が追加されているかなど、 定期的な更新も必要です。
安否確認メッセージの例
地震が発生しました。まず身の安全を確保してください。 安全が確認できた方は、次の項目を返信してください。
- 本人の状況:無事/けがあり
- 現在地:自宅/会社/移動中/その他
- 家族対応:必要/不要
- 業務対応:可能/困難/不明
安否確認の確認
- 安否確認を始める条件を決めている
- 第一と第二の連絡手段を決めている
- 安否確認の担当者を決めている
- 返信がない人への対応を決めている
- 従業員の連絡先を定期的に更新している
- 安否確認の練習を行っている
4.従業員の待機と帰宅の基準を決める
大きな地震が起きると、 従業員をすぐに帰宅させたくなるかもしれません。
しかし、交通機関が止まり、 道路や駅が混雑している状態で 多くの人が一斉に移動すると、 火災、落下物、余震、群衆事故などに 巻き込まれる可能性があります。
建物と周辺が安全である場合は、 情報が落ち着くまで会社内に待機することも 選択肢になります。
一方で、建物に損傷がある、 周辺で火災が発生している、 津波や土砂災害の危険がある場合は、 その場にとどまることが危険です。
そのため、 「地震が起きたら全員帰宅」 「地震が起きたら全員待機」 と一律に決めるのではなく、 状況に応じた判断基準が必要です。
帰宅判断で確認すること
- 建物内は安全か
- 建物周辺に火災や倒壊の危険はないか
- 津波や土砂災害の危険はないか
- 交通機関は動いているか
- 道路や駅に大きな混乱はないか
- 従業員の自宅までの距離はどれくらいか
- 乳幼児、高齢者など家族への支援が必要か
- 夜間や悪天候ではないか
帰宅の順番も考える
全員を同時に帰宅させるのではなく、 自宅までの距離、家族の事情、 交通状況などに応じて、 時間を分ける方法があります。
帰宅する従業員には、 無理な移動をしないこと、 危険を感じたら安全な場所へ戻ること、 帰宅後に会社へ連絡することを伝えます。
建物が安全かどうかを目視だけで断定せず、 建物管理者、自治体、専門家などの情報も確認してください。
待機と帰宅の確認
- 施設内で安全に待機できる場所を決めている
- 帰宅の可否を判断する責任者を決めている
- 交通情報を集める担当者を決めている
- 家庭事情に配慮した帰宅順を考えている
- 帰宅後の連絡方法を決めている
- 建物が危険な場合の移動先を確認している
5.水、食料、携帯トイレなどを備蓄する
従業員を会社内で待機させる可能性がある場合は、 その間に必要な物を用意しておきます。
基本となるのは、 飲料水、食料、携帯トイレ、 毛布や保温用品、衛生用品、明かり、情報収集手段です。
事業所向けの帰宅困難者対策では、 3日分の備蓄として、 水は1人1日3リットル、 主食は1人1日3食、 毛布は1人1枚が一つの目安とされています。
ただし、必要量は事業所の人数、 勤務形態、地域、建物などによって異なります。
会社で用意したい主な物
- 飲料水
- 加熱せずに食べられる食料
- 携帯トイレ
- トイレットペーパー
- 毛布や保温シート
- 懐中電灯やランタン
- 携帯ラジオ
- モバイルバッテリー
- 乾電池
- 救急用品
- マスク
- 消毒用品
- 使い捨て手袋
- ごみ袋や防臭袋
- 紙皿、紙コップ、割り箸
備蓄品は、倉庫の奥や、 一か所だけにまとめすぎないようにします。
地震で扉が開かなくなったり、 その場所へ近づけなくなったりすると、 すべて使えなくなる可能性があるためです。
各階や複数の部屋へ分け、 どこに何があるかを従業員へ伝えておきます。
会社の備蓄確認
- 待機する可能性がある人数を把握している
- 水、食料、携帯トイレを用意している
- 備蓄品を複数の場所に分けている
- 保管場所を従業員へ伝えている
- 賞味期限や使用期限を管理している
- 来客分も必要に応じて考えている
6.重要なデータと情報を守る
地震でパソコンやサーバーが壊れると、 建物が使える状態でも、 仕事を再開できないことがあります。
顧客情報、契約書、請求情報、 会計データ、設計図、予約情報、 従業員情報など、 失うと困る情報を洗い出してください。
バックアップは別の場所にも保存する
同じ事務所内のパソコンと外付け記録媒体だけに データを保存している場合、 建物の被害によって両方を失う可能性があります。
クラウドサービス、 別の事業所、 遠隔地の保管先など、 同じ災害で同時に失いにくい場所へ バックアップする方法を検討します。
ただし、クラウドへ保存すれば すべて安心というわけではありません。
ログイン情報を確認できるか、 多要素認証を利用しているか、 インターネットが使えない場合に 最低限の情報を確認できるかも考えます。
復元できるかを確認する
バックアップを取っていても、 復元方法が分からない、 担当者しか操作できない、 必要なデータが含まれていない場合があります。
定期的に、 別のパソコンでデータを開けるか、 必要な情報を取り出せるかを確認してください。
紙の情報も必要です
停電や通信障害が起きると、 パソコンやスマートフォンで 情報を見られない場合があります。
緊急連絡先、主要な取引先、 保険会社、建物管理者、 金融機関などの連絡先は、 紙でも確認できるようにします。
データと情報の確認
- 失うと困るデータを整理している
- 別の場所へバックアップしている
- バックアップの頻度を決めている
- データを復元する方法を確認している
- 担当者以外も必要な操作を行える
- 緊急連絡先を紙でも保管している
- 個人情報や機密情報を適切に管理している
7.取引先と仕入先が止まった場合を考える
自社に被害がなくても、 仕入先、配送会社、外部のシステム、 委託先などが止まると、 事業を続けられないことがあります。
まず、自社の仕事が どの会社やサービスに依存しているかを 書き出してください。
一社だけに頼っていないか
特定の仕入先からしか買えない材料、 一人の外注先しか対応できない作業、 一つの配送会社だけに頼っている業務はないでしょうか。
代わりの取引先をすぐに契約できなくても、 候補を調べ、 連絡先を記録しておくだけで、 災害後の対応を早められます。
取引先への連絡文を用意する
災害直後は、 同じ内容を複数の顧客や取引先へ 連絡することがあります。
営業状況、納期、連絡方法、 復旧の見込みなどを伝える 短い文章のひな形を作っておくと便利です。
取引先への初期連絡例
本日発生した地震の影響について、 現在、従業員と事業所の安全確認を進めています。 営業状況および納品への影響は、 確認でき次第、改めてお知らせいたします。 緊急のご連絡は、次の窓口へお願いいたします。
緊急連絡先:[電話番号またはメールアドレス]
取引先の確認
- 重要な仕入先と委託先を整理している
- 代替候補となる取引先を確認している
- 緊急時の連絡先を確認している
- 顧客への連絡担当者を決めている
- 営業状況を掲載する方法を決めている
- 納期変更や返金などの判断者を決めている
8.休業中の資金繰りと保険を確認する
災害後に売上が止まっても、 給与、家賃、借入金の返済、 システム利用料などの支払いは続く場合があります。
建物や設備の修理、 在庫の再購入、 仮事務所の確保など、 予定していなかった支出が生じる可能性もあります。
そのため、地震対策では、 物や行動だけでなく、 お金の備えも確認する必要があります。
固定費を把握する
売上がない状態でも必要な支払いを整理し、 1か月、2か月、3か月と休業した場合に、 どれくらいの資金が必要かを確認します。
| 支出項目 | 確認すること |
|---|---|
| 給与・人件費 | 休業時の支払いと社内ルール |
| 家賃・設備費 | 事業所が使えない場合も支払いが続くか |
| 借入金 | 毎月の返済額と金融機関の連絡先 |
| 仕入代金 | 支払い予定と契約条件 |
| 通信・システム | 停止できない契約や利用料 |
| 復旧費用 | 修理、移転、再購入などの想定 |
保険の対象を確認する
火災保険や事業用の保険に加入していても、 地震による損害がすべて対象になるとは限りません。
建物、設備、商品、 休業による損失など、 何が補償の対象かを確認します。
補償内容、免責金額、 保険金請求に必要な書類、 事故発生時の連絡先を 保険会社や代理店へ確認してください。
災害後は、 損害の状況を写真で記録することが 必要になる場合があります。
ただし、撮影のために危険な建物や場所へ 入ってはいけません。 人の安全を最優先にします。
資金と保険の確認
- 毎月の固定費を把握している
- 売上が止まった場合の資金を確認している
- 金融機関の緊急連絡先を保管している
- 加入している保険の内容を確認している
- 地震による損害が対象か確認している
- 保険金請求に必要な手順を確認している
- 重要書類の控えを別の場所にも保管している
9.重要な仕事を一つから三つに絞る
災害後に、平常時と同じ仕事を すべて続けることは難しい場合があります。
人員、場所、設備、通信、材料などが 限られている中で、 何を先に再開するかを決める必要があります。
最初から細かく分類する必要はありません。 まず、自社にとって特に重要な仕事を 一つから三つに絞ってください。
重要な仕事を決める質問
- 止まると人の命や安全に影響する仕事は何か
- 止まると顧客へ大きな影響が出る仕事は何か
- 止まると売上や資金繰りに大きく影響する仕事は何か
- 法律や契約上、止めにくい仕事は何か
- 再開に長い時間がかかる仕事は何か
例えば、製造業であれば、 重要製品の製造や出荷が該当するかもしれません。
小売業であれば、 店舗の安全確認、顧客への案内、 商品や現金の管理が優先される場合があります。
士業や個人事業主であれば、 顧客からの緊急連絡、 期限のある手続き、 データの復旧などが重要になるでしょう。
重要業務に必要な物を整理する
| 確認項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 重要な仕事 | 何を最優先で続けるか |
| 必要な人 | 担当者と代理担当者 |
| 必要な場所 | 事務所、店舗、工場、自宅など |
| 必要な設備 | 機械、パソコン、通信、車両など |
| 必要な情報 | 顧客情報、手順書、設計データなど |
| 必要な取引先 | 仕入先、配送会社、委託先など |
| 代わりの方法 | 在宅勤務、手作業、代替拠点など |
災害時に「全部やる」と決めると、 本当に重要な仕事へ人や物を集中できなくなります。 やらない仕事を決めることも、事業継続の一部です。
10.休業と事業再開の判断者を決める
地震発生後、 営業を続けるか、 一時休業するか、 いつ再開するかを判断する必要があります。
しかし、経営者が不在、 連絡が取れない、 けがをしている可能性もあります。
そのため、最終判断者だけでなく、 第一代理、第二代理まで決めておくことが大切です。
休業を検討する主な状況
- 従業員や来客の安全を確保できない
- 建物や設備の安全を確認できない
- 火災、津波、土砂災害などの危険がある
- 必要な人員を確保できない
- 電気、水道、通信などが使えない
- 安全に商品やサービスを提供できない
- 取引先や行政から停止を求められている
再開前に確認する主な項目
- 建物と設備は安全か
- 従業員は安全に出勤できるか
- 必要な電気、水道、通信を使えるか
- 商品やサービスの品質を保てるか
- 顧客や取引先へ連絡できるか
- 余震や二次災害への対応ができるか
判断者の記入例
| 判断内容 | 責任者 | 第一代理 | 第二代理 |
|---|---|---|---|
| 避難・待機 | 記入 | 記入 | 記入 |
| 従業員の帰宅 | 記入 | 記入 | 記入 |
| 休業 | 記入 | 記入 | 記入 |
| 事業再開 | 記入 | 記入 | 記入 |
| 顧客への発表 | 記入 | 記入 | 記入 |
難しいBCPを最初から作る必要はありません
会社の防災について調べると、 BCPという言葉を目にすることがあります。
BCPは、 災害などが起きたときに、 重要な仕事を続けたり、 早く再開したりするための計画です。
言葉だけを見ると、 専門家が作る大がかりな計画のように 感じるかもしれません。
しかし、中小企業では、 最初から何十ページもの文書を 作る必要はありません。
まずは、次の内容を一枚にまとめるだけでも、 大切な第一歩になります。
- 従業員の安全を確認する方法
- 避難や待機を判断する人
- 優先する仕事
- 必要な人、設備、データ
- 顧客や取引先への連絡方法
- 休業と再開を判断する人
中小企業庁の 「事業継続力強化計画」は、 中小企業が取り組みやすい防災・減災の計画として 用意されている制度です。
認定制度や支援措置を利用する場合は、 申請時点の最新情報と条件を 中小企業庁などの公式情報で確認してください。
役割は総務だけに集中させない
会社の防災対策を、 総務担当者一人へ任せている会社もあります。
しかし、災害時は、 建物、従業員、顧客、取引先、 情報、資金など、 多くの問題へ同時に対応する必要があります。
一人ですべてを担当することは難しく、 その人が不在の場合には対応が止まります。
会社の規模が小さくても、 次のように役割を分けてください。
| 役割 | 主な対応 |
|---|---|
| 全体責任者 | 避難、待機、休業、再開の最終判断 |
| 安全確認担当 | 負傷者、火災、建物、設備の確認 |
| 安否確認担当 | 従業員の状況確認と集計 |
| 情報収集担当 | 行政、交通、ライフライン情報の確認 |
| 顧客対応担当 | 顧客と取引先への連絡 |
| 業務再開担当 | 重要業務、設備、データの復旧確認 |
従業員数が少ない会社では、 一人が複数の役割を担当しても構いません。
大切なのは、 誰が何をするかが分かり、 その人が不在の場合の代理がいることです。
訓練は大がかりでなくても続ける
計画や連絡網を作っても、 一度も試していなければ、 災害時に使えない可能性があります。
最初から全社的な大規模訓練を 行う必要はありません。
まずは15分から30分程度で、 一つの場面を試す方法があります。
小さく始められる訓練
- 安否確認メッセージを全員へ送る
- 備蓄品の保管場所を確認する
- 避難場所まで実際に歩く
- 携帯トイレの使い方を確認する
- バックアップデータを開いてみる
- 経営者不在時の判断を話し合う
- 取引先への連絡文を作る
訓練後は、 できなかったことを責めるのではなく、 手順の不足を見つける機会として扱います。
「連絡先が古かった」 「備蓄品の鍵が見つからなかった」 「代理担当者が分からなかった」 といった問題が見つかれば、 実際の災害前に直すことができます。
訓練の目的は、完璧にできることを示すことではありません。 できない部分を安全なうちに見つけることです。
会社の地震対策チェックリスト
次の項目を確認し、 できていないものに印を付けてください。
人の安全
- 地震発生時の基本行動を従業員へ伝えている
- 避難場所と避難経路を決めている
- 来客を含めた人数を確認できる
- 応急手当用品を用意している
- 安全確認の担当者と代理を決めている
建物と設備
- 棚や書庫を固定している
- 重い物を高い場所へ置いていない
- 避難経路に物を置いていない
- 消火器や非常口の場所を確認している
- 建物管理者の避難ルールを確認している
連絡と待機
- 安否確認の方法を複数決めている
- 従業員の連絡先を更新している
- 待機と帰宅の判断基準を決めている
- 帰宅を判断する責任者を決めている
- 家族との連絡方法を従業員へ伝えている
備蓄
- 水、食料、携帯トイレを用意している
- 毛布や保温用品を用意している
- 明かり、ラジオ、予備電源を用意している
- 備蓄品の場所を従業員が知っている
- 賞味期限や使用期限を管理している
情報と仕事
- 重要データを別の場所へ保存している
- データを復元する方法を確認している
- 重要な仕事を一つから三つに絞っている
- 担当者が不在の場合の代理を決めている
- 顧客と取引先への連絡方法を決めている
資金と再開
- 休業中に必要な固定費を把握している
- 保険の補償内容を確認している
- 金融機関や保険会社の連絡先を保管している
- 休業を判断する人を決めている
- 事業再開を判断する人を決めている
今日の20分防災アクション
経営者、総務担当者、事業責任者のうち、 二人以上で次の順番に確認してください。
-
最優先の仕事を一つ決める
災害後も止めたくない仕事を一つ書き出します。 -
その仕事に必要な物を確認する
人、場所、設備、データ、取引先を整理します。 -
安否確認の担当者を決める
担当者と代理担当者を一人ずつ決めます。 -
休業と再開の判断者を決める
経営者が不在の場合の代理も決めます。 -
不足している対策を三つ書く
今月中に対応する項目を三つに絞ります。
今日すべてを完成させる必要はありません。 「誰が判断するか」と 「何を最優先にするか」が決まるだけでも、 災害時の迷いを減らせます。
まとめ+要約
- 会社の地震対策では、 従業員と来客の命を最優先にします。
- 家具、設備、避難経路の危険は、 平常時に減らしておきます。
- 安否確認、待機、帰宅の方法と判断者を決めます。
- データ、取引先、資金が止まる場合も考えます。
- 重要な仕事を絞り、 休業と事業再開の手順を決めておきます。
次の一手: 自社で最優先する仕事を一つ選び、 必要な人、設備、データ、取引先を書き出しましょう。
よくある質問
Q1.小さな会社でもBCPは必要ですか?
必要です。 小さな会社ほど、 一人の担当者、一台の機械、 一つの取引先が止まったときに、 事業全体へ影響が広がりやすい場合があります。
ただし、最初から分厚い計画書を 作る必要はありません。
従業員の安全、 安否確認、 最優先の仕事、 データの保存、 休業と再開の判断者を 一枚にまとめるところから始めてください。
Q2.地震発生後、従業員をすぐ帰宅させてもよいですか?
建物や周辺の安全、 交通機関、道路、火災などの状況を確認せず、 一斉に帰宅させることは危険な場合があります。
会社内が安全であれば、 情報が落ち着くまで待機させることも検討します。
建物が危険な場合は、 自治体や建物管理者などの情報を確認し、 安全な場所へ移動してください。
Q3.会社の地震対策は誰が担当すべきですか?
総務担当者だけに任せず、 最終判断をする経営者、 建物や設備を確認する担当者、 安否確認を行う担当者、 顧客対応や業務再開を担う担当者を決めます。
小規模な会社では、 一人が複数の役割を担当しても構いません。
ただし、その担当者が不在でも対応できるように、 代理担当者と手順を決めておくことが重要です。
自社に必要な地震対策を整理しませんか
「会社の防災を何から始めればよいか分からない」 「安否確認や帰宅判断のルールがない」 「自社に合ったBCPを小さく始めたい」 という方は、お気軽にご相談ください。
会社の地震・防災対策について相談する参考情報
-
中小企業庁「事業継続力強化計画」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.html -
内閣府「事業所における帰宅困難者等対策ガイドライン」
https://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/kitaku/pdf/kitaku_guideline-jigyosyo.pdf -
中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/ -
内閣府「企業防災のページ」
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/index.html -
総務省「災害用伝言サービス」
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/net_anzen/hijyo/dengon.html
本記事は、一般的な企業防災と事業継続に関する情報を 提供するものです。 必要な対策は、地域、建物、業種、従業員数、 法令、契約、自治体のルールなどによって異なります。 実際の災害時には、気象庁、自治体、消防、警察、 建物管理者などが発表する最新情報を確認し、 人命と安全を最優先に行動してください。