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取適法対応を90日で形にする

取適法対応を90日で形にする

取適法対応を90日で形にする

Executive Summary(TL;DR 5行)

  • まずは対象取引から「テンプレ」を当てます。
  • 発注内容の明示は、メールやチャットでも要点が残ればOKです。
  • 記録は「後から追える」ことが目的。保存の型を決めます。
  • 支払は「期日までに満額」で点検するとブレません。
  • 価格協議は「無視・先延ばし」を生まない運用にします。

取適法対応は、難しい法律解釈よりも「取引の型をそろえる仕事」です。 ただ、現場は忙しく、いきなり完璧を目指すと止まります。 そこでおすすめなのが、90日で“最低限まわる仕組み”を作るやり方です。 対象になりやすい取引から順に、発注・協議・支払・記録の型を当てるだけで、 トラブル予防にも、取引先との関係維持にも効きます。 この回では、やることを「0〜30日」「31〜60日」「61〜90日」の3段階に分け、 何を作って、どう回せばいいかを、実務の言葉でまとめます。

90日プランの全体像

90日プランはシンプルです。順番を間違えないことがコツです。

0〜30日

棚卸し

  • 対象になりそうな取引を拾う
  • 支払の形を点検する
  • 価格協議の運用があるか確認
31〜60日

テンプレ整備

  • 発注テンプレを作る
  • 価格協議の受付テンプレを作る
  • 記録保存の型を決める
61〜90日

運用

  • 現場に“最重要ルール”だけ周知
  • 月1回のミニ監査
  • 改善して次月へ
この順番が大事な理由: いきなりテンプレを作っても、現場の取引実態に合わないと使われません。 先に棚卸しして「よくある取引」を押さえ、そのうえでテンプレを当て、最後に運用で育てます。

0〜30日:棚卸し(対象・契約・支払)

最初の30日は「調べる期間」です。ここで大切なのは、全部を一気にやらないこと。 まずは直近の外注/委託を10〜30件だけ拾って、現状を見える化します。

やること1:外注/委託の“見本”を集める

  • 直近3か月〜6か月の取引から10〜30件を抽出
  • 金額が大きい、件数が多い、過去に揉めた取引を優先
  • 業種カテゴリ(物流/制作・広告/IT/製造・建設など)に軽く分ける

やること2:「発注内容が追えるか」を確認

発注内容が曖昧だと、Day2・Day3で触れた「変更・やり直し」「検収の停滞」が起きます。 まずは今のやり方で、仕様・金額・納期・検収・支払条件が追えるかを確認してください。

やること3:支払の形を点検(“期日までに満額”)

支払は、議論が割れやすいところです。迷ったら基準は一つだけ。 期日までに、満額が手元に入る形かを見ます。 振込手数料の扱い、差し引きが発生していないかも合わせて確認します。

やること4:価格協議の“入口”があるか確認

値上げ相談が来たときに、誰が受けて、いつ返すのかが決まっていないと、 “無視・先延ばし”が自然発生します。窓口・回答期限・記録の残し方があるか確認します。

この段階のゴール:
「どの取引が対象っぽいか」「どこが危ないか(発注/支払/協議/記録)」が、A4一枚で説明できる状態にする。

31〜60日:テンプレ整備(最小セット)

次の30日は「作る期間」です。ここで作るのは、分厚い規程ではなく、 現場がコピペで使えるテンプレです。最小セットは3つだけです。

テンプレ1:発注テンプレ(1ページでOK)

発注テンプレは、発注時点で揉めポイントを潰すためのものです。 最低限、次の項目が入っていれば十分に効果があります。

  • 仕様:何をどこまでやるか(範囲)
  • 納期:いつまでに、途中の提出物はあるか
  • 金額:固定か、変動条件は何か
  • 検収:OK/NGの基準と期限
  • 支払:支払日、支払方法、手数料の扱い
  • 変更:途中変更の承認者、追加費用・納期の決め方
  • 連絡:正式な連絡窓口(指示の入口)
コツ:
テンプレは「書く」より「埋める」形に。空欄を埋めるだけで発注が成立するようにすると定着します。

テンプレ2:価格協議の受付テンプレ(メール1通)

価格協議で揉める原因は、「返答が遅い」「判断の理由が不明」「代替案がない」です。 受付テンプレを用意すると、放置を防げます。

  • 受領したことの返信(いつまでに回答するか)
  • 必要資料の依頼(根拠を一枚で)
  • 判断基準の共有(予算・仕様・納期の調整余地)
  • 代替案の提案(範囲調整・納期調整・分割)
例(超短文):
「ご連絡ありがとうございます。◯日までに一次回答します。影響の内訳(人件費/資材等)を1枚で共有いただけますか。 価格が難しい場合は、仕様・納期の調整案も合わせて検討します。」

テンプレ3:記録保存の型(フォルダ構成+ルール)

記録は「大量に残す」のが目的ではありません。必要なものが、後から見つかる状態が目的です。 まずはフォルダ構成を固定し、保存期間を決めます。

  • 案件フォルダ(案件名/取引先/期間)
  • 中身は最低限:発注、変更、検収、請求、支払、協議(価格/条件)
  • 保存期間のルール(例:2年を目安)
  • チャットは重要部分だけ貼り付け保存(スクショでも可)
コツ:
「誰が保存するか」を決めないと、必ず抜けます。営業/購買/現場のどこが“最後に”保存するかを固定してください。
この段階のゴール:
“対象っぽい取引”で、発注テンプレが実際に使われ、価格協議の返信がテンプレで返り、記録がフォルダに入る状態にする。

61〜90日:運用(教育→ミニ監査→改善)

最後の30日は「回す期間」です。ここでやりたいのは研修ではなく、 現場が事故らないための“最重要ルール”だけ周知し、月1回のミニ監査で改善することです。

やること1:現場に「最重要ルール」だけ伝える

いきなり全部の条文を読む必要はありません。現場に伝えるのは、次のような“事故が起きる場面”だけで十分です。

  • 価格協議の相談を放置しない:窓口に回す、期限を返す、記録を残す。
  • 支払を遅らせない:検収を溜めない、請求処理を止めない。
  • 追加依頼は入口を一本化:口頭で増やさない、変更は差分で合意する。

やること2:月1回のミニ監査(10件だけ)

監査と言っても大げさにしません。対象取引のうち10件だけ見て、次のチェックをします。

  • 発注テンプレ(または要点)が残っているか
  • 変更があった場合、差分(工数/費用/納期)が残っているか
  • 検収が止まっていないか
  • 支払が期日通りか(満額か、手数料の扱いは明確か)
  • 価格協議の相談が来た場合、返信と期限と記録があるか

やること3:改善(テンプレを育てる)

ミニ監査で見つかるのは、たいてい同じパターンです。 だから改善もシンプルで、テンプレの穴を埋めるだけで進みます。

  • よく抜ける項目を、テンプレの必須欄にする
  • 現場で使いにくい言い回しを、短く直す
  • 窓口が詰まるなら、一次回答だけでも標準化する
この段階のゴール:
「誰が見ても同じ型で回っている」状態に近づける。完璧より“事故が起きない”が優先です。

定着を測るミニKPI(小さく回す)

取適法対応は、“やったつもり”になりやすいので、ミニKPIで現実を見ます。 大きな指標はいりません。次の3つで十分です。

  1. 発注テンプレ適用率:対象っぽい取引のうち、要点(仕様/金額/納期/検収/支払/変更)が残っている割合
  2. 価格協議の一次回答期限遵守率:相談を受けたら◯日以内に返した割合
  3. 支払遅延ゼロ:期日どおり(満額)で払えた割合
ポイント: KPIは“現場を縛るため”ではなく、“詰まりを見つけるため”に使います。 低い項目は「人が悪い」ではなく「仕組みが足りない」サインです。

次の一手(Day5へのつながり)

Day4では、90日で最低限回る仕組みを作る手順を整理しました。 最後のDay5では、これを経営判断としてまとめるための「意思決定ブリーフ」と、 反対意見(コスト・現場負荷・取引先反発)への先回り回答、最終チェックリストを提示します。

まとめ+要約

  • 90日でやることは「棚卸し→テンプレ→運用」です。
  • 最初は対象っぽい取引から“同じ型”を当てるのが速いです。
  • 発注テンプレ・価格協議テンプレ・記録保存の型の3点が最小セットです。
  • 月1回10件のミニ監査で、テンプレを育てると定着します。
  • KPIは「詰まり」を見つけるために小さく持つのがコツです。

Next Best Action:発注テンプレ(A4一枚)を今日作り、次の外注から適用してください。

FAQ(よくある質問)

Q1:記録は何を残せばいい?

目的は「後から追える」ことです。最低限、発注の要点(仕様・金額・納期・検収・支払・変更ルール)、 変更の差分、検収の結果、請求と支払、価格協議のやり取りが追えれば十分です。 全部を完璧に残そうとすると続きません。まずは“重要ポイントだけ残る型”を作ってください。

Q2:社内に法務がいない…それでも回せる?

回せます。最初は法律の細部より、事故が起きる場所(発注・支払・価格協議・変更)を、 テンプレと窓口と期限で潰すのが現実的です。迷う部分は、対象取引だけ外部に相談して埋めれば十分です。

Q3:禁止行為って具体的に何?

代表例として、受領拒否、支払遅延、代金減額、返品、買いたたき、不当な変更・やり直しなどが挙げられます。 ただ、現場での事故は「知らなかった」より「曖昧なまま走った」から起きることが多いです。 まずは発注の要点を明示し、変更は差分で合意し、支払を遅らせない運用から始めてください。

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