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BCMの始め方:いまからの90日でBCPを運用に乗せる

BCMの始め方:90日で運用に乗せる

BCMの始め方:90日で運用に乗せる

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  • BCPを「策定しっぱなし」にしない:BCMを90日で回す方法
  • 月10分でOK:中小企業でも続くBCM(点検・訓練・見直し)
  • ジギョケイの次にやること:BCMで計画を“使える状態”にする

Executive Summary(TL;DR 5行)

  • BCMは「点検→訓練→見直し」を回して、BCPを“使える状態”に保つことです。
  • 中小企業・個人事業は「月10分」「四半期30分」「年1回」の設計で十分始められます。
  • 90日で決めるのは、①担当(誰が)②頻度(いつ)③内容(何を)の3つだけです。
  • 最初は「連絡」「データ」「代替場所」の3点を守ると失敗しにくいです。
  • 今日の一手は「点検日をカレンダー固定」することです。

はじめに

BCPやジギョケイ(事業継続力強化計画)を作ったのに、見直しや訓練をしていない。 そのまま半年、1年…と過ぎてしまう。これは本当によくある話です。

でも、忙しい中で「ちゃんと運用しなきゃ」と気合いを入れても、続きません。 続く形にするには、BCM(事業継続マネジメント)として小さく回す設計に変える必要があります。

本稿では、難しい言葉を避けて、BCMを90日で運用に乗せる方法をまとめます。 目指すのは「完璧」ではなく「止まりにくい・戻りやすい」状態です。

1) BCMは何をするのか(超シンプル)

BCMは、言い換えると「事業を止めないための健康診断+リハビリ」です。 BCPが“紙”なら、BCMは“生活習慣”です。

BCMでやることは、たった3つにまとめられます。

  1. 点検:連絡先や手順が古くなっていないか確認する
  2. 訓練:実際に「もし起きたら?」を回してみて穴を出す
  3. 見直し:穴を埋めて、次に同じ失敗をしないように更新する

これを“重く”やる必要はありません。 むしろ小さく回すほど、続いて強くなります。

2) まず決める3つ(誰が/いつ/何を)

BCMが続かない最大の理由は、「決めていない」ことです。 反対に言えば、次の3つさえ決めれば回り始めます。

① 誰が(担当)

中小企業・個人事業の場合、担当は「自分」で問題ありません。 従業員がいる場合は、主担当1名+代替1名まで決めると安心です。

② いつ(頻度)

おすすめは、この3段階です。

  • 月1回(10分):最低限の点検
  • 四半期1回(30分):机上訓練+見直し
  • 年1回(60分):少しだけ本番想定の訓練

ポイントは「短くてもいいから固定する」ことです。 会計の締めや、月初のルーチンに混ぜると続きます。

③ 何を(内容)

最初から全部はやりません。まずは“外すと詰む”3点だけでOKです。

  • 連絡:顧客・外注先・家族に確実につながるか
  • データ:顧客情報・請求・納品物にアクセスできるか
  • 代替場所:オフィスに行けなくても仕事ができるか

3) 90日ロードマップ(週ごとのやること)

ここからは、90日でBCMを「続く形」にするための道筋です。 いきなり全部やらず、段階的に“回る形”を作ります。

期間 やること 成果物(残すもの)
0〜2週
  • Day2の「4つの箱」を埋める(空欄があってもOK)
  • 連絡先を最小10人に絞る
  • 優先業務トップ3を確定する
  • A4一枚BCP(暫定版)
  • 最小連絡先リスト
3〜6週
  • 机上訓練を10〜30分で1回やる(Day3のテンプレ)
  • 穴を3つだけメモする(全部直そうとしない)
  • 「穴」メモ(3つ)
  • 直す順番(優先度)
7〜10週
  • 穴を埋める(連絡網更新、データ置き場統一、代替場所決定など)
  • 外注・代行候補を1つ確保する(可能なら)
  • 更新したA4一枚BCP
  • 代替手段の確定(場所・人・データ)
11〜13週
  • 点検日をカレンダー固定する(月1)
  • 四半期の机上訓練日も予約する
  • 「やらないこと」も決める(完璧主義を捨てる)
  • 点検・訓練の予定(年間)
  • 最小運用ルール

ポイント:90日で「完成」ではなく、「回り始める」状態にします。
回り始めれば、勝手に強くなります(これがBCMです)。

4) “月10分”の点検チェック(テンプレ)

BCMの中心は点検です。ここを短く、簡単にするほど続きます。 まずは3項目だけで十分です。

月1回(10分)点検チェック

  • 連絡:主要顧客・外注先・家族の連絡先は最新ですか?(担当者変更は?)
  • データ:顧客情報/請求/納品物に、今この瞬間アクセスできますか?(ログインできる?)
  • 代替場所:オフィスに行けなくても、どこで仕事しますか?(電源・ネットは?)

できれば「チェックした日付」をA4一枚BCPの下に書いてください。 日付が積み上がると、自然に続きます。

5) 年1回の訓練は「机上で十分」な理由

「訓練」と聞くと、避難訓練のような大がかりなものを想像しがちです。 でも中小企業や個人事業に必要なのは、まず判断の練習です。

机上訓練(口で回す訓練)で十分な理由は3つあります。

  1. 穴が出るのは「連絡・優先・代替」で、机上でも発見できる
  2. 実施コストが低いので、継続しやすい
  3. 関係者と共通理解ができる(「その時どうする?」が揃う)

年1回のおすすめ:
「停電+通信障害」か「自分(担当者)が1週間動けない」を1つ選び、30〜60分で回します。
結果として“穴”が3つ出れば成功です。

6) 続かない会社の共通点と、続く工夫

ここまで読んで「やることは分かった。でも続くかな…」と思った方へ。 続かないのには、はっきりした共通点があります。

続かない共通点

  • 完璧を目指す(その結果、何もやらない)
  • 予定を決めない(気づいたら半年経つ)
  • チェック項目が多すぎる(見る気が失せる)
  • 担当が不明(誰かがやる、で終わる)

続く工夫(ここだけやればOK)

  • カレンダー固定:月初の10分、など日時を先に決める
  • 3項目だけ:連絡/データ/代替場所に絞る
  • やった証拠を残す:BCPの下に日付を書くだけ
  • 直すのは“穴3つ”まで:一度に全部やらない

BCMは「運動」と同じです。完璧なメニューより、続く習慣が勝ちます。 小さく回すだけで、いざという時の戻り方が変わります。

次回(Day5)の予告

Day5では、ここまでの内容を経営の意思決定に落とし込みます。 「忙しい」「お金がない」「効果が分からない」といった反対意見への先回り回答も含めて、 次の一手(Next Best Action)までまとめます。

まとめ+要約

  • BCMは「点検→訓練→見直し」を回して、BCPを“使える状態”に保つことです。
  • 中小企業・個人事業は「月10分」「四半期30分」「年1回」で十分始められます。
  • 90日で決めるのは、担当(誰が)・頻度(いつ)・内容(何を)の3つだけです。
  • 最初は「連絡」「データ」「代替場所」の3点を守ると失敗しにくいです。
  • 点検日をカレンダー固定すると、“策定しっぱなし”が止まります。

Next Best Action:今すぐ、来月の「BCM点検10分」をカレンダーに入れてください。

FAQ(3問)

Q1. 月1回の点検すら難しいです。どうしたら?
月1回が重いなら、まずは「2か月に1回」でもOKです。 大事なのは“ゼロ”をなくすことです。続いたら自然に頻度を上げられます。
Q2. 従業員が少なく、代替担当を決められません。
社内で難しい場合は、外注・士業・協力会社など、外部の代替を1つ作る方向で考えましょう。 まずは「連絡して状況共有できる先」を確保するだけでも効果があります。
Q3. ジギョケイ(事業継続力強化計画)を認定後、何をすればいい?
認定したこと自体がゴールではなく、運用(点検・訓練・見直し)が本番です。 本記事の「月10分点検」と「四半期の机上訓練」を、まずは年間予定に入れてください。

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