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取適法で揉めるのはここ:価格・支払・発注内容

取適法で揉めるのはここ:価格・支払・発注内容

取適法で揉めるのはここ:価格・支払・発注内容

Executive Summary(TL;DR 5行)

  • 新ルールで最重要は「価格協議を無視しない」です。
  • 手形払など「期日までに満額が入らない支払」は見直しが必要です。
  • 振込手数料の押し付けも、揉めやすい落とし穴です。
  • 発注内容の曖昧さが、変更・やり直し問題を生みます。
  • 委託側も受託側も「記録」を残すと、揉めにくくなります。

取引の揉め事は、誰かが悪いというより「決めていない・残していない」から起きます。 取適法は、委託側の都合が受託側の負担になりやすい部分を、よりはっきり“やってはいけない”に寄せています。 ここでは、最近とくに話題になりやすい3点を、委託側と受託側の両方の動きとして整理します。 読み終えたら、すぐ使える会話テンプレも付けています。

① 価格協議:無視・先延ばしがNGになる意味

取適法で特に重要なのが「価格の決め方」です。 受託側から価格協議の求めがあるのに、委託側が協議に応じない、必要な説明をしない、放置する—— こうした運用は、一方的に代金を決める行為として問題になりやすくなります。

ここで大事なのは「会議をやったか」ではありません。 受託側が根拠を出して相談でき、委託側が期限を切って返せる状態(つまり協議が成立する状態)を作ることです。 “無視・先延ばし”が生まれる仕組みのままだと、現場は簡単に詰みます。

委託側(発注する側)の対策

  • 窓口を決める:「価格相談はこの人」になっているか(部署・担当・連絡先)。
  • 期限を決める:例)依頼から「◯営業日以内に一次回答」。
  • 説明を用意する:値上げ不可でも「理由」と「代替案(仕様/納期/範囲の調整)」を出す。
  • 記録を残す:メール1通でOK。「いつ、何を、どう判断したか」が追える形に。

受託側(受ける側)の対策

  • 根拠を1枚に:人件費・外注費・資材・燃料など「上がったもの」を簡潔に。
  • 代替案をセットで:仕様調整・納期調整・分割など「落とし所」を添える。
  • 相談の期限を提案:例)「◯日までに合意できない場合、着手日を再調整したい」。
  • やり取りを残す:電話後に「確認メール」を送るだけで強くなります。
ポイント: 「値上げに必ず応じないといけない」ではなく、「協議に応じ、説明し、記録を残す」設計が大事です。

② 支払:手形等・満額未達・振込手数料の落とし穴

支払は、揉めると一気に信頼が壊れます。取適法の実務では、特に次の2点が要注意です。

1) 手形払など「期日までに満額が入らない形」

たとえば手形のように、入金まで時間がかかったり、途中で費用が差し引かれて満額が手元に残りにくかったりする形は、 見直し対象になりやすいです。大事なのは「支払期日までに、満額が確実に入るか」という観点です。

2) 振込手数料の押し付け

「振込手数料はそっちで引いといて」が慣習になっている会社は多いですが、 ここも揉めやすいポイントです。小さな額でも積み重なると不満になり、争点になりやすいです。

委託側(発注する側)の対策

  • 支払手段を点検:満額が期日までに入る支払になっているか。
  • 手数料負担を明確化:契約/発注に「手数料は委託側負担」などルール化。
  • 検収日を固定:「検収がズレる=支払がズレる」になりがち。検収の締め運用を作る。

受託側(受ける側)の対策

  • “いつ満額が入るか”で確認:「入金日は?差し引きは?」を着手前に確認。
  • 請求の出し方を整える:請求書の形式・提出先・締め日を統一し、遅れの原因を減らす。
  • 遅れたら早めに通知:期日を過ぎる前に「いつ支払か」を確認する習慣を作る。
ポイント: 支払の揉め事は「契約で決める」より「運用で守る」が効きます。検収・請求・支払の流れを一本化しましょう。

③ 発注内容:曖昧さが「変更/やり直し」問題を呼ぶ

価格や支払以上に、地味に痛いのが「発注内容の曖昧さ」です。 曖昧なまま走ると、後から「やっぱりこうして」が増え、受託側は手戻り地獄になります。 結果として、不当な変更・やり直しの火種になりやすいです。

最低限、発注で決めたい5点

  • 仕様:何をどこまでやるか(範囲を決める)
  • 納期:いつまでに、途中の提出物はあるか
  • 金額:固定か、変動があるなら条件は何か
  • 検収:受け取りの基準(OK/NGの判断)と期限
  • 変更:途中変更が出た場合の扱い(追加費用・納期延長・承認者)

委託側(発注する側)の対策

  • 発注テンプレを作る:上の5点が埋まるだけで揉めが激減します。
  • 変更の窓口を一本化:「誰の指示が正式か」を決める。
  • “軽微修正”の定義:修正回数や範囲を決め、無限修正を防ぐ。

受託側(受ける側)の対策

  • 曖昧な点は着手前に質問:後で揉めるより先に詰める。
  • 修正を分類:軽微修正/追加要件(別見積)を分ける。
  • 差分を即提示:変更が出たら「工数・費用・納期の差分」を短く返す。
ポイント: 「テンプレ=堅苦しい」ではなく、「テンプレ=揉めないための共通言語」です。メールやチャットでも、要点が残ればOKです。

すぐ使える“会話テンプレ”3つ

価格協議受託側→委託側

ご相談です。最近のコスト上昇(人件費/外注費/資材など)により、現行価格のままでは継続が難しくなっています。 影響の内訳を1枚でまとめましたので、◯日までにお打ち合わせのお時間をいただけますか。 もし難しい場合は、仕様の調整(範囲/納期/回数)による代替案も用意しています。

支払条件受託側→委託側

念のため確認です。お支払は「◯月◯日」に「満額」が入金される形でよいでしょうか。 振込手数料の負担や差し引きがある場合は、着手前に条件を確定したいです。

変更管理委託側→受託側

途中変更が出た場合は、まず差分(工数・費用・納期)をご提示ください。 こちらで社内承認を取ったうえで正式に依頼します。口頭の追加指示は避け、メール(またはチャット)で記録を残します。

※この3つを「定型文」として社内に置くだけでも、無視・先延ばし・言った言わないを減らせます。

まとめ+要約

  • 最優先は「価格協議を無視しない」運用設計です。
  • 支払は「期日までに満額が入るか」で点検するとブレません。
  • 振込手数料の押し付けは、小さくても揉めやすい論点です。
  • 発注内容の曖昧さは、変更・やり直しの火種になります。
  • 双方が記録を残すと、トラブルは大きく減ります。

Next Best Action:価格協議の「受付→回答期限→記録の残し方」を社内ルール1枚にしてください。

FAQ(よくある質問)

Q1:値上げ要請が来たら必ず応じないと違反?

必ず値上げに応じる必要がある、という話ではありません。 重要なのは、協議の求めを無視せず、必要な説明をして、記録が残る形でやり取りを行うことです。 そのうえで、仕様調整などの代替案を提示して落とし所を作るのが現実的です。

Q2:ファクタリングは全部NG?

すべてが一律にダメ、という言い方は乱暴になりがちです。 実務では「期日までに満額を得られるか」という観点で、支払の形を点検するのが安全です。 手数料の差し引きや入金タイミングが不利になっていないか、契約前に確認しましょう。

Q3:発注書は紙じゃないとダメ?

紙にこだわるより、「後から追える形で残るか」が重要です。 メールやチャットでも、仕様・金額・納期・検収・支払条件など要点が残っていれば、揉めにくくなります。 まずは発注テンプレを作って貼り付ける運用から始めるのがおすすめです。

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