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2026年生命保険料控除の時限措置をやさしく整理【Day1】

2026年生命保険料控除の時限措置をやさしく整理【Day1】

2026年分(令和8年分)の生命保険料控除をテーマにした、全5回シリーズのDay1の記事です。

2026年、生命保険料控除が「1年だけ増える」って本当?まず全体像を整理しよう

この記事の要点(5行でサッと理解)

  • 2026年分の所得税では、一部の世帯で生命保険料控除が「1年だけ」拡大される予定です。
  • 対象は「23歳未満の子どもなどを扶養している人」で、一般生命保険料控除の上限が一時的に増えます。
  • ただし、控除が増えるからといって、保険を増やせば必ず得になるわけではありません。
  • 大切なのは「保険だけ」ではなく、「家計全体(収入・支出・貯蓄)」を見ることです。
  • 今日はまず、制度のポイントと「自分は関係があるのか」を、やさしく整理します。

ここ数年、「子育て世帯の負担を減らす」ための税金や社会保険の見直しが続いており、その一つとして2026年分の生命保険料控除が一時的に拡大される予定です。 ニュースや保険会社の案内で「控除枠が増えます」「節税チャンスです」と聞くと、少しワクワクする一方で、「結局うちには関係あるの?」「今から何をすればいいの?」とモヤモヤしている方も多いのではないでしょうか。

本シリーズでは、2026年分の生命保険料控除の時限措置について、ファミリー世帯と独身サラリーマンの方を主な対象に、「むずかしい税金用語をできるだけ使わず」に整理していきます。 Day1の今回は、制度の全体像と影響範囲、そして「焦って保険に入る前に、まず確認しておきたいこと」をお伝えします。

記事を読み終えるころには、「自分や家族がこの時限措置の対象になりそうか」「どこから考え始めればよいか」がイメージできる状態を目指します。

1. 2026年分の生命保険料控除で何が変わるのか

1-1. 「生命保険料控除」とは?ざっくり一言でいうと

生命保険料控除とは、生命保険などの保険料を払っている人が、年末調整や確定申告で 「税金を計算するときの所得」を少しだけ小さくできるしくみのことです。

たとえば、年収が同じ2人でも、一定の条件を満たす生命保険に入っていれば、 その分だけ税金が軽くなるイメージです。あくまで「税金が少し安くなるおまけ」であって、 保険に入る一番の目的(万一のときの備え)が主役だという点は変わりません。

1-2. 2026年分は「一般生命保険料控除」が一時的に拡大

生命保険料控除には、ざっくり分けると次のような区分があります。

  • 一般生命保険料控除(主に死亡保障など)
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

2026年分(令和8年分)の所得税については、このうち 「一般生命保険料控除」 の上限額が、一部の人に限って 「今よりも少しだけ大きくなる」時限措置(1年間だけの特別ルール)が設けられる予定です。

※住民税側の上限額は変わらない予定です。ここでは、まず所得税に絞ってイメージをつかみましょう。

2. 誰に関係があるの?対象となる世帯のイメージ

2-1. キーワードは「23歳未満の扶養親族」

今回の時限措置のポイントは、 「23歳未満の子どもなどを扶養しているかどうか」 です。 2026年分の所得税については、次のような方が対象になる想定です。

  • 23歳未満の子どもを扶養に入れている親御さん
  • 23歳未満のきょうだいや親族を扶養している方 など

「扶養」といっても、年末調整や確定申告のときに税金上の扶養親族として 申告しているかどうかがポイントになります。単に一緒に住んでいるだけではなく、 所得や年齢など、いくつかの条件を満たしている必要があります。

2-2. ファミリー層・独身サラリーマンそれぞれのイメージ

想定されるケースを、ざっくりイメージで分けてみましょう。

ファミリー世帯の例

  • 共働き夫婦+子ども(小学生・中学生・高校生)のいる世帯
  • 片働き世帯で、配偶者と子ども2人を養っている世帯

こうした家庭では、いずれかの親が「扶養控除」や「配偶者控除・配偶者特別控除」などを 使っていることが多く、今回の時限措置の影響を受ける可能性があります。

独身サラリーマンの例

  • まだ結婚していないが、実家で23歳未満のきょうだいを扶養している
  • 事情があって、親族の子どもの生活費を支えており、扶養親族として申告している

独身であっても、税金上の扶養親族として23歳未満の方を支えている場合には、 今回の時限措置の対象に入ることがあります。

※自分が対象かどうかは、勤務先の年末調整の書類や、過去の確定申告書の控えを見ると イメージしやすくなります。「扶養親族」の欄に誰の名前が載っているかを確認してみましょう。

3. 「控除が増える=得する」とは限らない理由

3-1. 控除枠が増えても、家計から出ていくお金も増える

よくある誤解が、 「控除が増えるなら、その枠いっぱいまで保険に入ったほうが得だ」 という考え方です。

たしかに、一定額までは保険料を増やすほど、税金は少し軽くなります。 しかし同時に、「毎月の保険料」という固定費も増えていきます。

税金の軽減額よりも、増えた保険料のほうが大きくなってしまえば、 手取りベースでは「トータルでマイナス」になることもあります。 ここを勘違いしたまま、営業トークだけで契約を増やしてしまうと、 数年後に家計が苦しくなって見直し…ということにもなりかねません。

3-2. 「1年だけ」の特例なのに、保険は長期契約になりがち

もう1つの注意点は、 「時限措置は1年だけなのに、保険契約は10年・20年と長期間になることが多い」 という点です。

「2026年は控除が増えます」という売り文句で、保険料の高い長期の終身保険や 貯蓄性の高い商品を勧められることもあり得ますが、 実際にその契約を続けるのは、時限措置が終わった後もずっと先までです。

つまり、 「1年だけの特別ルール」をきっかけに、将来の家計を縛る長期契約を増やしてしまうリスク がある、ということです。 ここを冷静に押さえておくことが、2026年に向けてとても大切になります。

4. 今のうちにできる「かんたん3つのセルフチェック」

では、2026年までに何をしておけばよいのでしょうか。 Day1では、専門的な計算は一度おいておき、 今日からできる「かんたんセルフチェック」 を3つだけご紹介します。

4-1. チェック①:自分や配偶者に「23歳未満の扶養親族」がいるか

  • 子どもの年齢は?(2026年12月31日時点で23歳未満かどうか)
  • 税金上の扶養親族として申告する予定か?
  • 扶養に入れているのは自分か、配偶者か?

まずは、「そもそも自分が時限措置の対象に入りそうか」をざっくり確認します。 この時点で対象外であれば、「無理して保険を増やして控除枠を使う」必要は当然なくなります。

4-2. チェック②:今の保険料は、手取り月収の何%くらいか

つぎに、現在の生命保険・医療保険などにいくら払っているかを、 手取り月収との割合で見てみましょう。

  • 手取り月収:◯◯万円
  • 毎月の保険料合計:◯◯円
  • 保険料の割合:「保険料合計 ÷ 手取り月収 × 100」でざっくり計算

すでに「ちょっと負担が重いな」と感じている場合、 控除枠が増えるからといって、さらに保険料を上乗せするのは危険信号です。 むしろ、 「この機会に、入りすぎている保険を見直す」 ほうがあなたの家計を守ることにつながるかもしれません。

4-3. チェック③:万一のときに「どのくらいのお金」が必要か、イメージできているか

最後に、「もしものときに、どのくらいのお金が必要か」を、ざっくりで良いので考えてみましょう。

  • 今の生活費を何年分くらいカバーしたいか
  • 住宅ローンが残っているか、団信(団体信用生命保険)の加入状況はどうか
  • 子どもの教育費をどこまで見ておきたいか(高校まで・大学まで など)

こうした「万一のときの必要額」のイメージがないまま、 「控除枠が増えるなら、とりあえず入っておこう」という発想で保険を選ぶと、 将来の家計とそぐわない契約になりやすくなります。

本来は、 必要な保障額 → そのうち保険でカバーする分 → その結果として控除枠をどう使うか という順番で考えるのが自然です。 この順番を崩さないように意識しておきましょう。

5. まとめと、明日(Day2)につながる視点

5-1. 今日のまとめ(5ポイント)

  • 2026年分の所得税では、一部世帯で「一般生命保険料控除」の上限が1年だけ拡大される予定です。
  • 対象のカギは「23歳未満の扶養親族がいるかどうか」で、ファミリー世帯だけでなく独身でも該当するケースがあります。
  • 控除枠が増えても、保険料という固定費も増えるため、「入れば入るほど得」とは限りません。
  • 時限措置は1年でも、保険契約は10年・20年と長期間続くことが多く、将来の家計に影響します。
  • まずは「対象かどうか」「今の保険料負担」「万一の必要額」の3つをセルフチェックすることが大切です。

5-2. Next Best Action(次の一手)

まずは、年末調整や過去の源泉徴収票などを見直し、 「自分や配偶者に23歳未満の扶養親族がいるか」と「現在の保険料の合計」をメモに書き出してみましょう。

明日のDay2では、 「生命保険料控除のしくみ」自体を、図解イメージを使いながら、もっとかみ砕いてお伝えします。 そのうえで、「保険の見直し」だけでなく「家計の見直し」とセットで考えるための土台を整えていきます。

6. よくある質問(Q&A)

Q1. 2026年分の生命保険料控除の拡大は、本当に「1年だけ」なのですか?

A. 現時点では、2026年分(令和8年分)の所得税に限った「時限措置」として位置づけられています。 その後も同じ内容が続くかどうかは、今後の税制改正の議論しだいです。 つまり、「絶対に続く」と決めつけて動くことも、 「1年だけだから無視してよい」と考えることも、どちらも慎重に考えたほうが良いテーマだと言えます。

Q2. 対象になるか不安なので、今のうちに保険を増やしておいたほうがいいですか?

A. 控除を目的に「とりあえず保険を増やす」のはおすすめできません。 まずは、現在の保険料負担や、万一のときに必要な金額のイメージを整理し、 家計に無理のない範囲で保障を考えることが先です。 控除はあくまで「結果としてついてくるおまけ」と考えたほうが、長い目で見て家計を守りやすくなります。

Q3. こうした制度の話は、誰に相談するのがよいのでしょうか?

A. 商品を売ることが中心の担当者だけでなく、 「家計全体(収入・支出・貯蓄・住宅ローン・教育費など)を一緒に見てくれるファイナンシャルプランナー(FP)」 に相談するのがおすすめです。 本シリーズでも繰り返しお伝えしますが、2026年の時限措置は「保険だけ」の話ではなく、 「家計全体を見直すきっかけ」として活かすのが大切なポイントです。

📩 2026年分の生命保険料控除の時限措置を、
「わが家の家計全体」でどう活かすべきか迷われている方は、
こちらからお気軽にご相談ください
保険だけでなく、教育費・住宅ローン・老後資金などを含めて、
一緒に無理のないプランを整理していきましょう。


※本記事の内容は、公開日時点の情報にもとづいており、将来の税制改正などにより変更される可能性があります。
※具体的な税額や手続きについては、勤務先の担当部署、税務署、税理士などの専門家にご確認ください。

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