
副業の20万円ルールと住民税:申告・バレ対策の実務
要点5つ
- 給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告が不要なケースあり(例外あり)。
- ただし住民税は原則申告が必要(額の多少に関わらず)。
- 会社に副業額を知られにくくするには、住民税(給与以外分)を「普通徴収」で納付を選択。
- 所得区分で扱いが変わる:事業所得か雑所得か。記帳・経費・控除に影響。
- 翌年に青色申告を使うなら、3/15(開業が1/16以降は開業日から2か月以内)までに承認申請。
「20万円ルール」とは?(対象・例外)
給与所得者で、給与以外の所得合計が20万円以下なら、所得税の確定申告が不要と扱われるケースがあります(いわゆる「20万円ルール」)。ここで言う「所得」は収入−必要経費の金額です。
ただし、次のような例外・留意点があります。
- 2か所以上から給与の支払があり、年末調整されていない給与がある場合 などは申告が必要なことがあります。
- 医療費控除・寄附金控除など、控除を受けるために申告する場合は、この特例に関係なく申告します。
- 雑損控除や還付申告、住宅ローン控除初年度 など、「申告した方が得」のケースも多いです。
※最終判断は国税庁「給与所得者の確定申告が必要な人」等の一次情報でご確認ください。
住民税は別物:申告と「普通徴収」
20万円ルールで所得税の確定申告が不要でも、住民税は原則申告が必要です。自治体の案内(市県民税の申告)に従い、翌年に副業分の所得を届け出ます。
会社に副業額が伝わりにくい方法として、住民税(給与以外の所得分)を「普通徴収」(自分で納付)にする手があります。確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」で「自分で納付」を選択、もしくは自治体の住民税申告書で「普通徴収」を選びます。
※自治体の運用で合算や特別徴収へ変更される場合もあります。最寄りの自治体案内を必ず確認してください。
所得区分(事業/雑/給与)の違いと判定の目安
- 事業所得:反復継続性・営利性・自己の危険と計算において独立して行うと評価できる活動。
メリット:青色申告特別控除(最大65万円)、赤字が出た場合の損益通算(一部制限あり) 等。 - 雑所得(業務):規模・反復性が弱いなど、事業所得に当てはまらない副業。
メリット:必要経費は計上可/デメリット:青色申告の適用はなし。 - 給与所得:雇用契約に基づく給与・賞与等(副業のアルバイトなど)。
年末調整の有無や源泉徴収票の扱いがポイント。
※判定は個別事情に左右されます。契約形態や実態(指揮命令、設備負担、顧客リスク)を総合評価してください。
経費・領収書・按分(あんぶん)の考え方
- 必要経費の原則:副業の収入を得るために直接必要かどうか。客観資料(領収書・契約書・利用明細)で説明できること。
- 家事按分:スマホ・通信費・電気代・家賃など共通費用は、合理的な基準(使用時間・面積・回線数 等)で按分。按分根拠はメモを残す。
- 立替・精算:立替金は経費ではありません。清算後に経費化する(証憑の名義・日付を揃える)。
- 保存:帳簿や領収書は保存義務あり。電子データはフォルダ/クラウドで年度・科目・相手先単位に整理。
実務フロー:今年〜申告までの手順
- 利益の概算:収入から経費を引いて副業の所得見込みを算出(20万円を超えるかで分岐)。
- 住民税の方針決定:自分で納付(普通徴収)にするか判断。確定申告書の該当欄 or 住民税申告で選択。
- 帳簿と証憑の整理:月次で収支を記帳、領収書・請求書・通帳/カード明細をひとまとめに。
- 区分の見直し:来年は事業所得として青色申告を目指すか検討(基準クリアと帳簿付け前提)。
- 青色申告承認申請:3/15(開業が1/16以降は開業日から2か月以内)までに税務署へ提出。
- 提出・納付:所得税はe-Tax等で提出、住民税は自治体の時期に送付される納税通知書で納付。
チェックリスト(15〜30分)
- 今年の副業の所得見込み(収入−経費)は? → 20万円を超える/超えないを判定。
- 来年の住民税で普通徴収を選ぶか? → 確定申告書の該当欄をチェックする運用に。
- 契約書・請求書・領収書の確保は完了? → 電子データもまとめて保存。
- 来年青色申告を使う? → 3/15(or 開業日から2か月以内)までに承認申請の予定を入れる。
まとめ
- 20万円ルールは所得税の話。住民税は原則申告が必要。
- 会社に副業額を知られにくくするには、住民税は普通徴収を選択(自治体の運用は要確認)。
- 所得区分を見直し、来年は青色申告+記帳の体制へ。
- NBA:いま副業利益を試算→住民税の方針決定→青色承認申請のスケジュール登録。
FAQ(よくある質問)
Q1. 20万円以下なら何もしなくて良いですか?
A. いいえ。所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は原則必要です。さらに医療費控除などを受けたい場合は、そもそも確定申告を行います。
Q2. 普通徴収にしたら必ず会社に副業がバレませんか?
A. 「給与以外の所得分」を普通徴収にすれば、副業額が会社あての住民税通知に載りにくくなります。ただし自治体の運用で合算される場合があり、絶対ではありません。最寄りの自治体の案内をご確認ください。
Q3. 事業所得と雑所得の違いは?どちらが有利?
A. 実態で判定します。反復継続性・独立性・営利性があれば事業所得となり得ます。事業所得なら青色申告特別控除等のメリットがありますが、帳簿義務・保存など要件も伴います。
CTA
📩 副業の区分判定・普通徴収の書き方・青色申告の準備まで、
あなたの状況に合わせて“やること表”を作ります。
こちらからご相談ください。
参考・一次情報
- 国税庁:給与所得者の確定申告が必要な人(20万円基準 等)
- 国税庁:雑所得の範囲/事業所得の範囲
- 国税庁:住民税欄の「自分で納付(普通徴収)」の選択(申告書の書き方)
- 各自治体:住民税申告(総務省・自治体案内リンク集)
- 国税庁:青色申告承認申請の期限(3/15、開業2か月以内)
※リンクは代表例です。年ごとの様式・運用は更新されるため、最新の一次情報をご確認ください。