
Day2:根拠フレーム&データ — 通信費TCOとセキュリティALEの見える化
- 通信費TCO=回線+端末+オプション+運用工数−割引。
- セキュリティALE=単発損失SLE×年発生率ARO。
- BYOD/社用混在は工数コストと責任境界の曖昧さを増幅。
- 固定回線IP化は機器互換の確認が必要(遅延/仕様差)。
- 経営はTCOとALEの交点で投資を決める。
本文
1) 通信費TCOの式
TCO(月/回線)= 基本料金 + 端末償却/月 + オプション(通話・データ・国際/ローミング) + 管理工数(時給×時間) + 手数料/保守 − 法人割引。
- 管理工数:申請/回線追加/紛失対応/請求照合作業。混在はここを肥大化させます。
2) セキュリティALEの式
ALE(年)= SLE × ARO。SLEは〈復旧費+停止損失+外部対応+風評対応〉、AROは事業特性と最新インシデント傾向で推定。
- 例(概念図):フィッシング→不正送金→口座凍結/調査/顧客周知の一連コスト。
3) 主要統計の読み方(抜粋)
- 社用携帯整備の実態:社用携帯利用31.4%、私物番号で業務21.8%(MMD研究所 2025年調査)。
- 中小企業の対策実態:OS/AV最新化は約7割、一方で体制整備・周知は4割未満(IPA 2024年度)。
- 脅威の情勢:不正送金やフィッシング被害は高水準(警察庁・JPCERT/CC各資料)。
4) 意思決定の基準
- 投資合意ライン:
( ΔALE + ΔTCO_{工数} ) ≥ 新規投資年額。 - 運用KPI:紛失時の遠隔ワイプ時間、回線追加リードタイム、請求誤差、釣りメール報告件数。
参考資料(出典URL)
- MMD研究所「2025年 法人向け携帯電話の利用実態調査」
- IPA「2024年度 中小企業…実態調査」
- 警察庁「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等」令和7年上半期
- JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート」
- NTT東日本「固定電話IP網移行」
FAQ(3問)
- 数値が会社ごとに違い過ぎて比較できない。
- “式”を固定し、変数(単価・発生率・時間)だけ社内実測に置換します。
- BYODを残すと何が増える?
- 紛失時対応・請求照合・証跡保全の工数、責任境界の不明確化が増えます。
- IP化は費用が増えますか?
- 基本料は継続する一方、通話/接続仕様の違いで機器置換が発生する場合があります。
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