サイバー攻撃というと「製造業やIT企業だけの話」と思っていませんか。
実は近年、飲食、建設、物流、サービス業といった、普段はデジタルの話題が少ない業種でも、サプライチェーン経由で被害に遭うケースが増えています。
仕入先や委託業者、外部システムとのつながりが脆弱な入口となり、業務停止や取引停止、信用失墜につながる事例が国内外で相次いでいます。
本記事では、非IT業種の中小事業者が今すぐ確認すべきリスクと備えを、BCP(事業継続計画)の視点から整理します。
目次
- なぜ非IT業種が狙われるのか
- 取引先・委託先からの思わぬリスク
- BCPで守る:業務を止めないための仕組み
- 今すぐできる6つの基本対策
- 業種別・第三者リスクの見落としポイント
- イメージ図で理解するサプライチェーン対策
- まとめ:まず30日でここまでやる
なぜ非IT業種が狙われるのか
攻撃者は「セキュリティ意識が低く、防御が甘い」業種を狙います。
店舗予約システムや建設現場の機材発注システム、物流管理アプリなど、意外なところが狙われる入口です。
特に、外部から接続可能な業務端末や、共通の仕入先システム、委託業者が使う管理アカウントは、攻撃者にとって「ショートカット」となります。
取引先・委託先からの思わぬリスク
- 仕入業者がマルウェア感染 → 納品システム経由で自社に侵入
- 建設現場の協力会社が使う共用クラウドから情報漏えい
- 物流委託先のID流出で出荷データ改ざん
これらは「うちの会社は大丈夫」と考えていた事業者でも発生しています。
BCPで守る:業務を止めないための仕組み
BCPは災害だけでなく、サイバー攻撃にも対応すべきです。
ポイントは「止まった時に何をするか」を決め、関係者全員に共有することです。
- 紙や電話での暫定運用手順
- 優先復旧する業務と順番
- 取引先や顧客への迅速な連絡体制
今すぐできる6つの基本対策
- 多要素認証(MFA)の導入(クラウド・メール・VPN)
- バックアップをオフラインでも保管
- 業務端末と来訪者・委託先端末のネットワーク分離
- 取引先との契約にセキュリティ条項を明記
- 定期的な訓練(BCP演習)を実施
- 不審メール・操作をすぐ報告できる窓口の設置
業種別・第三者リスクの見落としポイント
- 飲食業:予約サイトやデリバリーアプリのID管理
- 建設業:現場監視カメラやIoT機器の設定不備
- 物流業:委託先ドライバーの端末セキュリティ
- サービス業:顧客データを扱う外部委託先の管理
イメージ図で理解するサプライチェーン対策
以下の図は、中小事業者を中心に、仕入先・委託先・クラウドサービス・外部業者とのつながりと、その間に必要なセキュリティ対策を示しています。

まとめ:まず30日でここまでやる
サイバー攻撃は業種を選びません。むしろ、セキュリティの手薄な業界ほど狙われます。
まずは30日以内にMFA導入、バックアップ分離、契約見直し、BCP演習を実施し、取引先との情報共有を始めましょう。
サプライチェーン全体の安全性が、あなたの事業の存続を守ります。