
中小企業の経営者にとって、設備投資のタイミングとコストは非常に大きな課題です。
そんなときに注目したいのが「業務改善助成金」。
この制度は、生産性向上を目的とした設備導入や業務改善に対して、国から助成が受けられる制度です。
さらに一定の条件を満たせば、賃上げ支援も同時に受けられるという魅力的な制度。
本記事では、設備投資を検討している経営者の方に向けて、業務改善助成金を使いこなすポイントをわかりやすく解説します。
目次
業務改善助成金とは?
業務改善助成金とは、中小企業・小規模事業者が「生産性向上のための設備投資」などを行い、事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げた場合に、国が費用の一部を助成する制度です。
厚生労働省の資料(2025年版パンフレット)によると、最大600万円の助成が受けられるメニューも存在します。
活用できる対象と条件
対象事業者
以下のいずれにも該当する場合、申請可能です:
- 中小企業・小規模事業者であること
- 過去6ヶ月以内に事業場内最低賃金を引き上げていないこと
- 生産性向上のための具体的な投資計画があること
助成金メニュー別要件
引き上げ額 | 助成上限額 | 賃金要件 |
---|---|---|
30円 | 50万円 | 従業員1名以上が対象 |
90円 | 200万円 | 3名以上が対象 |
150円 | 600万円 | 6名以上が対象 |
助成対象となる設備や施策
以下のような投資が対象です:
- POSレジや自動化機器の導入
- 業務用ソフトウェアの導入や更新
- 業務効率化を図る設備(例:作業台の改善、運搬機器など)
助成金活用による実際の効果
厚生労働省の公開資料によると、助成金を活用した中小企業のうち、約7割が生産性向上を実感しており、従業員の定着率向上や離職率の低下にもつながっています。
また、従業員のモチベーション向上や顧客満足度の向上といった、「見えにくい効果」も報告されています。
申請の流れと注意点
- 管轄の労働局または社会保険労務士に相談
- 業務改善計画と賃上げ計画の作成
- 必要書類を提出
- 審査→交付決定→実施→実績報告
注意点: 賃上げ実施後の報告を怠ると、助成金が不支給になる可能性があります。
また、交付決定前の設備投資は対象外となるため、タイミングにも注意が必要です。
まとめ|業務改善助成金で戦略的な設備投資を
中小企業にとって、業務改善助成金は「攻めの設備投資」を支援する心強い制度です。
賃上げと業務効率化を両立させるには、国の制度を活用する視点が不可欠。
タイミングや条件を正確に把握し、専門家と連携しながら進めることで、より大きな経営成果へとつながります。