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90日で整える:雇用確保の実装ロードマップ

90日で整える:雇用確保の実装ロードマップ

90日で整える:雇用確保の実装ロードマップ

Executive Summary(TL;DR 5行)

  • 90日で“型”を作れば回る
  • 1〜30日:棚卸しと方針
  • 31〜60日:規程と条件案
  • 61〜90日:面談・周知・運用
  • 相談先も最初に確保する

はじめに

「忙しくて、労務まで手が回らない」中小企業ほど、短期間で“最低限の型”を作る必要があります。 雇用確保は、制度を作って終わりではなく、実際に回して初めて意味が出ます。 だからこそ、ゴールを「完璧」ではなく「運用できる」に置きます。

ここでは、90日で「規程 → 条件 → 面談 → 周知」まで整える、現実的な手順をまとめます。 ひとつずつ積み上げれば、途中で揉めそうになっても、戻れる“土台”ができます。

※この記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は状況により変わります。必要に応じて労務の専門家や公的窓口へご相談ください。

1. 1〜30日:現状把握と方針決め

最初の30日でやることは、「集める」「決める」「見える化する」です。 いきなり文書を直す前に、現状がどうなっているかを把握しないと、手戻りが増えます。

(A)まず集めるもの(最低限)

  • 就業規則(定年・再雇用の条文があるページ)
  • 直近2〜3年の再雇用(継続雇用)の実績(誰が、どうなったか)
  • 再雇用後に任せている仕事の一覧(ざっくりでOK)

(B)経営として“方針”を仮決めする

ここは完璧でなくて大丈夫です。まずは「方向性」を言葉にします。

  • 雇用確保の形:定年廃止/定年を65へ引上げ/継続雇用(再雇用)
  • 条件の軸:役割×時間(フル戦力/指導役/補助・定型 × 週5/週3〜4/短時間)
  • 守りたいもの:品質・安全・顧客対応・若手育成など、会社として譲れない点

(C)「揉めやすい論点」を先に特定する

  • 給与:一律に下げるのか、役割で変えるのか
  • 仕事:責任の範囲をどうするのか
  • 更新:65歳までの安心感をどう作るのか

30日目のゴールは、「方針が1枚で説明できる」ことです。 これがあると、以降の文書づくりや面談がブレません。

2. 31〜60日:規程と条件案づくり

次の30日でやるのは、「文書に落とす」「面談で使える形にする」です。 ここでのポイントは、難しい文章を作らないことです。 現場で使えない規程は、実質“ない”のと同じです。

(A)就業規則(条文)を整える

  • 対象:定年・継続雇用(再雇用)の条文
  • 目的:運用と一致させ、担当者による解釈ブレを減らす
  • コツ:細かい例外を盛り込みすぎない(例外は別紙や運用ルールで対応)

(B)条件案を「役割×時間」で作る

金額を確定しなくても、まずは“型”を作ります。最低限、次の3つを用意してください。

  • 役割:フル戦力/指導役/補助・定型
  • 勤務:週5フル/週3〜4/短時間(開始・終了の時刻もざっくり決める)
  • 評価:役割に合わせて見る(成果だけでなく育成・引継ぎも含める)

(C)面談シートを作る(これが一番効きます)

面談シートは、話し合いを“感情のぶつけ合い”から“すり合わせ”に変える道具です。 1枚で十分なので、次の項目を入れてください。

  • 本人の希望:働きたい期間、時間、仕事内容、健康面の配慮
  • 会社の提示:役割案、勤務案、評価の見方、条件の考え方
  • すり合わせ:一致点/保留点/次回までの宿題
  • 記録:話した日、出席者、合意内容(言った・言わない防止)

31〜60日のゴールは、「条文案」「条件の型」「面談シート」が揃っていることです。 ここまでできれば、残りは“回す”だけになります。

3. 61〜90日:面談・周知・運用開始

最後の30日でやるのは、「実際に動かす」「社内に広げる」です。 ここで大事なのは、いきなり全員を一斉にやらないことです。 まずは対象者の少ない部署や、話し合いが進みやすいところから始めると、制度が育ちます。

(A)対象者と面談する(個別条件を詰める)

  • 面談シートを使い、希望と会社方針をすり合わせる
  • 「役割」「時間」「仕事範囲(やる/やらない)」を短文で合意する
  • 合意内容は文書で残す(後で揉めないための最低限)

(B)周知は「方針 → 個別 → 全体」の順

反発が起きやすいのは、個別条件だけが先に出てしまう時です。 次の順番だと、誤解が減りやすくなります。

  1. 方針:会社としての考え方(役割×時間、守りたいもの)
  2. 個別:対象者との面談で条件をすり合わせる
  3. 全体:社内へ共有し、質問を受ける場を作る

(C)運用開始後に“1回だけ”見直す

最初から完璧に作るのは無理です。だから、運用開始後に見直す前提で進めるほうがうまくいきます。 例えば、次の点を1回だけチェックして修正します。

  • 面談で質問が集中した箇所(説明が足りない)
  • 現場で困った箇所(仕事範囲が曖昧)
  • 更新の不安が出た箇所(基準が見えない)

61〜90日のゴールは、「制度が机上ではなく、現場で回り始める」ことです。 ここまで来ると、相談が来ても、場当たりではなく“型”で対応できるようになります。

まとめ+要約

  • 90日で“型”を作ると、運用が安定します。
  • 1〜30日は、棚卸しと方針(1枚で説明できる状態)を作ります。
  • 31〜60日は、条文案・条件の型・面談シートを揃えます。
  • 61〜90日は、面談→周知→運用開始。小さく始めて育てます。
  • 運用後に1回だけ見直す前提にすると、現実に合った制度になります。

Next Best Action:90日計画を「棚卸し/条文案/面談・周知」の3箱に分け、各箱の担当者を決めてください。

FAQ(3問)

Q1. 労使で話し合う相手がいない(労組がない)場合は?

A. まずは経営としての方針(役割×時間の軸、守りたいもの)を言葉にし、対象者と丁寧に話し合うことが重要です。 「方針がなく個別条件だけで進む」と、担当者や上司によって説明が変わり、揉めやすくなります。

Q2. 相談窓口はどこ?

A. 就業規則や運用設計は社労士など労務の専門家への相談が早いです。 また、地域の労働局やハローワークなどの公的窓口を活用する方法もあります。 相談するときは「就業規則」「条件の型」「面談シート」を持っていくと話が早いです。

Q3. 対応していないと不利益は?

A. 放置すると、社内トラブル(不安・不信・離職)や対外的な信用面のリスクが高まります。 “罰則が怖いから”ではなく、会社が安定して続くために、早めに規程と運用を整えるのが安全です。

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