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雇用確保で起きがちな3つの揉め事と回避策

雇用確保で起きがちな3つの揉め事と回避策

雇用確保で起きがちな3つの揉め事と回避策

Executive Summary(TL;DR 5行)

  • 揉め事は「曖昧さ」から生まれる
  • 給与は“一律”が火種になりやすい
  • 仕事は“やる/やらない”の線引き
  • 更新は「年齢で終了」が危険
  • 先に型を作ると運用が楽になる

はじめに

制度を整えたのに揉める会社は、だいたい「言ってない」「決めてない」「人によって違う」が原因です。 希望者全員が対象の前提では、“例外運用”ほど不信感が強まります。 今日は、現場で起こりがちな揉め事を「先回り」で潰す話をします。

※この記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は状況により変わります。必要に応じて労務の専門家や公的窓口へご相談ください。

1. 揉め事① 給与を急に下げた

よくある状況(例)

  • 再雇用の話が近づいたタイミングで、給与が「今までの半分」など大きく下がる提示になった
  • 理由は「慣例だから」「制度だから」と言われたが、本人は納得できない
  • 周囲も「次は自分かも」と不安になり、職場の空気が悪くなる

なぜ揉めるのか

給与は生活に直結します。だからこそ、説明が雑だと「会社に大事にされていない」と感じやすくなります。 会社側に悪気がなくても、“理由が見えない下げ方”は強い反発を生みます。

回避策:給与は「一律」ではなく「役割×時間」で説明する

Day2でも触れた通り、給与を説明しやすくするコツは「役割×時間」です。 たとえば、同じ人でも、役割が「フル戦力」か「指導役」かで期待するものが変わります。 さらに、勤務時間がフルか短時間かで、会社が支払える形も変わります。

重要なのは、金額そのものよりも、納得できる筋道を先に作ることです。 「あなたにはこの役割を期待する」「だからこの条件になる」という順番で話せると、対立が減ります。

さらに一手:話し合いの「記録」を残す

後で揉める会社は、面談の記録が残っていないことが多いです。 「言った・言わない」になった瞬間、解決が難しくなります。 1枚でいいので、①提示条件 ②理由 ③本人の希望 ④合意点/保留点を残してください。

2. 揉め事② 仕事の期待値がズレた

よくある状況(例)

  • 本人は「前と同じ仕事を続けるつもり」だったが、会社は「補助的な仕事」を想定していた
  • あるいは逆に、本人は「負荷を下げたい」と思っていたが、会社は「責任は今まで通り」を期待していた
  • 結果、現場が混乱し、本人も周囲もストレスが増える

なぜ揉めるのか

仕事の問題は、だいたい「言葉にしていない期待」が原因です。 「分かっているはず」「普通こうだよね」が、世代や立場でズレます。

回避策:職務(やること)を短い文章で合意する

複雑な職務記述書を作らなくても大丈夫です。 まずは次の3点を、5行程度でいいので文章にしてください。

  • やること(例:○○の引継ぎ、若手への指導、定型業務の品質チェック)
  • やらないこと(例:新規大型案件の責任者、深夜対応、出張の頻繁な業務)
  • 困ったときの相談先(例:直属上司、人事/労務)

この「やる/やらない」が見えるだけで、現場の混乱が減ります。 そして、給与の話も「役割と仕事がこうだから」という筋が通ります。

現場への効き目

仕事が曖昧なままだと、現場は“お願いしやすい人”に仕事が偏ります。 それが続くと、本人が疲れ、周囲も「結局、頼り切りじゃないか」と不満が出ます。 最初に線引きしておくほうが、結果として会社も楽になります。

3. 揉め事③ 更新のたびに不安が増えた

よくある状況(例)

  • 再雇用は1年更新だが、更新の基準がはっきりしない
  • 更新面談のたびに「来年はどうなるのか」が不安になる
  • 本人の意欲が落ち、周囲も腫れ物に触るようになってしまう

なぜ揉めるのか

更新が不透明だと、「年齢を理由に切られるのでは」という疑いが生まれます。 会社側にそのつもりがなくても、疑われる時点で信頼が下がります。

回避策:更新は「不安が出ない設計」にする

ここで大切なのは、「更新の形(1年かどうか)」よりも、更新の考え方が社内で統一されているかです。 たとえば、次のように決めておくと運用が安定します。

  • 65歳までは原則更新(健康や重大な問題がない限り継続)
  • 更新しない場合は理由を説明する(記録も残す)
  • 評価の見方を役割に合わせる(成果だけでなく育成・引継ぎも見る)

特に、更新が「担当者の気分」や「現場の空気」で決まるように見えると危険です。 “見え方”の問題ですが、この見え方が職場の安心感を左右します。

補足:更新をめぐる社内の不安を減らすコツ

更新の話は、本人だけでなく、周囲の社員も見ています。 「あの人がどう扱われるか」は、会社の価値観のシグナルになるからです。 更新の基準を言語化し、同じルールで運用するだけで、社内の安心感は大きく上がります。

まとめ+要約

  • 揉め事は「曖昧さ」から生まれます。
  • 給与は“一律”が火種になりやすいので、役割×時間で説明できる形にします。
  • 仕事は“期待値のズレ”が原因。やる/やらないを短文で合意します。
  • 更新は“切られる不安”が最大の敵。原則更新など安心設計が重要です。
  • 次回は、90日で制度と運用を固める具体的な手順に落とし込みます。

Next Best Action:再雇用後の「やる仕事」を5行で書き、本人に見せてズレがないか確認してください。

FAQ(3問)

Q1. 会社が提示する条件は、本人の希望通りにしないと違反?

A. 大切なのは、本人が安心して検討できるように、条件の考え方を示し、話し合いを丁寧に行うことです。 「役割×時間」の軸があり、職務範囲が明確で、更新の考え方が統一されていれば、対立は起きにくくなります。 もし希望と合わない場合も、代替案(時間短縮・職務変更など)を一緒に検討すると落とし所が見つかりやすいです。

Q2. 対応しないと社名公表は本当にある?

A. 制度を整えないことで、社内トラブルや対外的な信用面のリスクが高まるのは現実です。 公表などの話に至る前に、規程と運用を揃え、説明できる形にしておくことが安全です。

Q3. 現場の反発が強いときの第一歩は?

A. まず「個別条件」ではなく、「会社の方針」を言葉にするのが第一歩です。 具体的には、役割×時間の軸(どういう働き方を用意するか)を共有し、 その後に個別面談で条件を詰める順番にすると、反発が減りやすいです。

📩 「うちはどこで揉めそうか」を一緒に洗い出して、文書と運用に落としたい方は、 こちらからご相談ください

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