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戦略的課題の定義と影響度 — 事業用・個人用の混在が招くコスト超過とサイバー露出

Day1:戦略的課題の定義と影響度 — 事業用・個人用の混在が招くコスト超過とサイバー露出

はじめに

通信費とセキュリティ支出は小口に分散しやすく、社用・私用の混在が続くほど、気づかぬまま固定費とサイバー露出が積み上がります。本稿では対象を携帯回線・固定回線・端末・運用ルールに絞り、成果はコスト削減率、インシデント減少、監査適合で評価します。評価はTCO/ALEの二軸で、現状把握→効果モデル→90日実装の順に進めます。実行にあたっては経営・総務・ITの連携体制を見直し、今週中に棚卸しを開始できる計画を示します。

目次

  • 現状の“混在”の具体像
  • 決裁視点:戦略・財務・リスク・人
  • 直近の外部要因(IP網移行/インシデント傾向)
  • 初週で着手する棚卸し方法

本文

1) 現状の“混在”の具体像

  • 会社支給端末と私物端末(BYOD)の併用/私用番号で業務対応/個人契約の費用立替。
  • 固定回線は利用実態が低下したFAX/複合機用、休眠アナログ回線の放置。
  • セキュリティ対策は「ウイルス対策のみ」、MDM不在、ID/パスワード共有など。

2) 決裁視点の整理

  • 戦略整合性:顧客データの扱い、コンプラ要件、取引先からの要請(サプライチェーン)。
  • 財務影響:通信費TCO、端末償却、運用工数、違反/事故の期待損失(ALE)。
  • リスク/コンプライアンス:BYOD規程、ログ保全、PSTN→IP移行に伴う接続機器の見直し。
  • 組織/人材:社用携帯整備・MDM導入に伴う運用負荷と教育。

3) 外部要因(抜粋)

  • 固定電話のIP網移行:INSネットのディジタル通信モードは2024年から段階的終了、2028/12/31に提供終了予定(NTT東日本告知)。
  • 中小企業のセキュリティ実態:OS/AVの最新化を実施は約7割、対策が進むほど被害低減傾向(IPA 2024年度調査)。
  • インシデント状況:JPCERT/CC四半期レポートで不審メール等の報告が継続増減、フィッシング/認証情報詐取が主要シナリオ。

4) 初週の棚卸し

  • 資産台帳:回線ID・契約者・用途・月額・違約金・満了日。端末IMEI/OS/所有区分。
  • 運用台帳:認証方式、MDM/EDR有無、紛失時手順。
  • ヒアリング:現場の「私用端末での業務」実態、通話/データのピーク帯。
  • 即効対策:休眠固定回線の停止申請、緊急時BYOD禁止領域の明確化。

まとめ

  • 混在の放置は費用とリスクを同時に悪化させます。
  • TCOとALEを共通言語に、30日で意思決定へ。
  • IP網移行は固定回線見直しの好機。
  • 最初の一手は資産・運用の棚卸しの完了です。

Next Best Action:今週、回線・端末の台帳テンプレを配布し、来週レビュー。

FAQ(3問)

私物端末の業務利用を全廃すべき?
重要データに触れる業務は原則禁止。やむを得ない場合はMDM/コンテナ化で境界を設けます。
固定回線はひかり電話に一気に置換でよい?
警報装置/複合機/決済端末など機器要件を先に確認。IP化で遅延・通信仕様差が出る機器は別設計。
まず何に投資?
社用携帯整備+MDM、アカウント多要素認証(MFA)、エンドポイント保護(EDR)の“最小セット”。

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