
意思決定ブリーフ:POS×健康経営で“効く福利厚生”へ
今期の人的資本と健康投資を橋渡しする鍵はPOS(支援の実感)です。
測って整え、少数の施策を深く回すことで参加率と継続率が伸び、プレゼンティーズムと離職に効きます。
本稿は5日間の要点を1枚に集約し、決裁に必要な論点(アクション・財務式・RACI・KPI・リスク)を明文化します。
実施するなら、次回役員会でRACIと予算を承認し、四半期レビューのカレンダーを先にロックしてください。
TL;DR(要点5つ)
- 問題: 施策の“打ちっぱなし”で効果が見えない。
- 洞察: POSが参加率・継続率の土台。上司支援(PSS)が最短レバー。
- 根拠: POS研究・行政フレーム・プレゼンティーズム統計・WHO-HPQ。
- 解: 90日で 測定→管理職→少数精鋭施策→レビュー の輪を作る。
- 決断: RACI・予算・四半期レビュー日程を今期承認。
Decision Brief(取締役会共有用)
| テーマ | POSを土台にした健康経営の実装(中小企業版) |
|---|---|
| 推奨アクション |
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| 主要根拠(3点) | ① POSと生産性/離職の関連を示す研究群 ② 行政フレーム(POS・PSS・WHO-HPQの活用) ③ プレゼンティーズムの総コスト比重 |
| 財務影響(概算式/前提) |
生産性損失削減: 離職コスト削減: ROI: IRR: 四半期CF(−投資, CF1..CF4)で算出 対外開示は前提・観測期間・算出方法を明記し、推定値の断定は避ける。
|
| タイムライン(四半期) | Q1:測定・KPI運用開始 / Q2:PoC実装 / Q3:横展開判断 / Q4:見直し・定着化 四半期レビュー日程を先に確定 |
| 担当/RACI | R=人事責任者/A=CEO・役員会/C=産業医・情報セキュリティ/I=管理職・労使協議会 |
| 測定KPI | SPOS、WHO-HPQ、参加率・継続率、離職率、1on1実施率、称賛回数、裁量付与件数 |
| 代替案と棄却理由 | 福利厚生の量的拡充のみ:参加/継続が頭打ち、費用対効果が不透明のまま固定化 |
| 次の一手(NBA) | 次回役員会でRACIと予算を決裁し、SPOS/WHO-HPQの実査を即日キックオフ |
実装タイムライン(90日→四半期)
- 0–30日: SPOS/WHO-HPQ確定、個票非保持の契約、経営メッセージ発信、社内FAQ公開
- 31–60日: 管理職KPI運用(称賛・1on1・裁量)、途中レビュー
- 61–90日: 2施策PoC、ファネル(認知→参加→継続)可視化、四半期レビュー資料作成
RACI(体制と責任)
R(Responsible)
人事責任者:測定設計、ベンダー管理、レビュー運営、KPI集計
A(Accountable)
CEO/役員会:方針・予算決裁、KPI承認、対外説明
C(Consulted)
産業医・衛生委員会・情報セキュリティ:医療判断、匿名化、規程整備
I(Informed)
管理職・労使協議会:運用共有、現場改善提案
測定KPI(四半期レビュー)
- POS:SPOSスコア(平均・分布)/部門別推移
- 生産性:WHO-HPQ(0–100)差分、金額換算
- ファネル:認知到達率、参加率、4週継続率
- 人材:離職率、在籍年数、代替採用コスト
- マネジメント:1on1実施率、称賛回数、裁量付与件数
リスクと対策
- 個人情報: 個票はベンダー保有、会社は匿名集計のみ。監査・削除ポリシーを契約明記。
- 差別・不利益: 就業規則に禁止条項を追記し、周知・教育を実施。
- 医療判断: 産業医が担い、経営は環境整備に専念。
- 測定疲れ: 設問短縮・UX改善・回答時間5分以内に設計。
反対意見への先回り回答
「費用対効果が不透明では?」
四半期ごとにROI/IRR仮説を更新し、継続・拡張・終了を判断。推定式・前提・観測期間を明記します。
「データの取り扱いが心配」
個票非保持・匿名集計・第三者監査・削除ポリシーで統制します。アクセス権限は最小化します。
「現場の負荷が増える」
測定は年2〜4回・5分以内。管理職KPIは短時間(称賛・15分1on1)に限定して運用負荷を抑えます。
まとめ
- POSは施策の土壌。上司支援を起点に、参加・継続・生産性に波及させる。
- 90日で「測定→管理職→少数精鋭施策→レビュー」の輪を確立。
- 四半期レビューでROI/IRR仮説を更新し、資源配分の精度を上げる。
NBA: 次回役員会でRACI・予算・レビュー日程を決裁し、SPOS/WHO-HPQの実査を即日開始。
FAQ(よくある質問)
Q:まず何から始めれば良い?
A:調査票(SPOS/WHO-HPQ)を確定し、個票非保持の契約と経営メッセージを同時に走らせてください。
Q:どの施策を選べば良い?
A:心の健康/金融/女性の健康/介護の4本柱から、自社の離職ドライバと整合する2施策をPoCで検証します。
Q:社外説明は必要?
A:非財務開示の観点で、観測期間・方法・推定式・限界を明示した要約を用意すると投資家との対話がスムーズです。
📩 経営向けブリーフの社内配布版(PPT/1枚)をご提供します。 こちらからご相談ください。
法務・IR・広報チェックリスト
- 個票・匿名・監査・削除ポリシーを契約に明記したか。
- 推定値を断定せず、前提・期間・算出式を開示したか。
- 第三者の権利(図版・引用)を侵害していないか。
- 医療判断を産業医に委ねる線引きを社内規程で明確化したか。