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建設業法改正の実務対応:条項サンプル・通知手順・協議記録・ICT運用

建設業法改正の実務対応:条項サンプル・通知手順・協議記録・ICT運用

建設業法改正の実務対応:条項サンプル・通知手順・協議記録・ICT運用

「見積 → 通知 → 契約 →(事象発生)→ 協議 → 変更契約/工期変更 → 証跡保存」を一気通貫で回すための実務集です。
二次・三次下請にも展開しやすい形にしました。


1. 契約(条項の更新と雛形)

必須の考え方

  • 請負代金の変更方法を条項として明記(材料の著しい変動時に変更請求可/額は協議で決定)。
  • 「変更は一切不可」「協議しない」等の文言は避ける。
  • 設計変更・不可抗力・工期変更の算定方法と矛盾しないよう整理。

元請の実務

  • 標準下請契約に条項と協議手順を反映。電子ワークフローで二次以降にも同じ型を配布。
  • 過去の契約書雛形も更新し、社内の最新版リンクを一本化。

下請の実務

  • 契約書に変更方法が無ければ追記を依頼。難しければ自社案を提示。
  • 条項の読み合わせを実施し、社内で運用ルール(誰が協議を申し出るか)を決める。

2. 見積(労務費の基準と内訳)

  • 不当に低い労務費の見積作成・要求は禁止の考え方。基準に照らした単価と歩掛りを内訳で明示。
  • 受注者自身の原価割れ契約の禁止も社内規程に明記し、赤字受注を避ける。
  • 見積条件書に「価格変動時の扱い」を書き、後の協議の土台にする。

3. 通知(おそれ情報の集め方・送り方・残し方)

  • 集め方:メーカー値上げ通知、統計、ニュース等をフォルダで管理。
  • 送り方:見積と同時にメール送付。件名に「おそれ情報通知」を含め、添付・URLを整理。
  • 残し方:送信履歴・添付・見積の版数・相手の返信を案件フォルダで保存。

4. 協議(誠実協議の進め方)

  • 開始条件:契約に変更方法あり+おそれ情報を通知済み+高騰等が顕在化。
  • 進め方:論点・根拠・案・合意/不合意・理由を記録。公共は協議義務、民間は努力義務。
  • エチケット:期限を切り、根拠資料を共有しながら、代替案(仕様・工程)も一緒に検討。

5. 現場(ICTと専任合理化)

  • 遠隔確認:写真・動画・固定カメラ・3Dスキャン等で状況を可視化。タイムスタンプを残す。
  • 兼任の管理:移動容易性・遠隔確認・兼任数の上限など、社内基準を文書化。
  • 公共工事:施工体制台帳の提出を合理化できる場面あり。ガイドに沿って省力化。

6. 監査(チェックと教育)

  • 四半期ごとに案件を抽出し、条項・通知・協議記録・合意書を点検。
  • 営業・工務・管理向けに「5分×5本」の社内動画で手順を統一。

7. テンプレート(そのまま使える断片)

通知メール件名

【おそれ情報通知】○○工事/資材供給不足・価格高騰の可能性について

通知メール本文の骨子

  • ①対象工事 ②想定される事象 ③根拠資料(URL/添付) ④契約・工期への影響 ⑤変更方法条項に基づく将来協議の可能性 ⑥添付一覧

協議記録シートの欄

  • 案件/日時/参加者/根拠資料/協議論点/合意内容/次回アクション/説明責任者

まとめ

  • 元請・下請のどちらでも使える同じ型(条項・通知・協議・保存)を作ると強いです。
  • 2025年12月の全面運用に向け、今期中に雛形更新と社内教育を終えるのがおすすめです。

FAQ

民間発注者が協議を嫌がる場合は?

通知・根拠・協議申出・相手の回答を時系列で保存。
合理的な期間を置いて再提案し、工程や仕様の代替案も添えましょう。


二次・三次下請にどう展開する?

標準下請契約・通知テンプレ・協議記録をパッケージ化し、電子ワークフローで配布。記録が自動で残る仕組みに。


遠隔確認の注意点は?

画質・通信の可用性・位置情報・タイムスタンプ・確認者の記録(誰が見たか)をセットで残しましょう。


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