
取適法対応の90日ロードマップ:契約・発注・支払を無理なく整える
Executive Summary(TL;DR 5行)
- 取適法対応は、完璧より「最小の仕組み」を先に作るのが近道です。
- 最優先は、発注の明示、支払60日、記録2年保存です。
- 90日で、契約ひな形→発注文→変更合意→支払台帳まで整います。
- 発注側は“社内の止め方”、受注側は“守り方”を決めるのがポイントです。
- 業種別のガイドラインも出ているので、自社業界は必ず確認を。
「法律対応」と聞くと、分厚い規程や難しい契約書を思い浮かべがちです。でも取適法は、 現場で起きがちなトラブル(支払い遅れ、減額、無償修正など)を減らすための“基本動作”を整えるのが中心です。 ここでは、忙しい中小企業や個人事業主でも回せるように、90日で整える順番を提示します。
1. 0〜7日:対象確認と棚卸し
まずは「自社の取引が対象か」「どの取引が揉めやすいか」を、短時間で棚卸しします。 最初の1週間で完璧にする必要はありません。まず“優先順位”が決まれば十分です。
- 取引の類型(製造、修理、情報成果物、役務、運送など)と相手の規模基準を確認
- 検収が長い差し引きが多い修正が膨らむ取引を3つだけ抽出(まずは優先度づけ)
2. 8〜30日:発注と変更の“文章”を統一
発注時の明示(内容、代金、支払期日・方法など)を、メール等で残す形に揃えます。 ここが揃うと、後工程(検収・支払・変更)が一気に楽になります。
やること(最小セット)
- 発注テンプレを作る(本文でOK。PDFや稟議より先に“文面”を統一)
- 変更テンプレを作る(追加作業のときは「範囲・金額・納期」を1通で再合意)
- 「口頭OK」をやめ、必ず“文章1通”で残す運用に切り替える
コツは、分厚い契約書をいきなり作らず、まず「毎回送る文章」を揃えることです。 現場はテンプレがあると動けます。
3. 31〜60日:支払と検収のルールを短くする
次に効くのが、支払と検収(確認作業)の短縮です。 ここが長いと、支払遅延・無償修正・減額の火種がつながって増えます。
支払
- 支払期日を、受領日から60日以内に合わせる(検査の有無は関係しない整理)
- 「入金待ち」や「締め処理」を理由に遅れないよう、支払日の設計を先に固定する
検収(確認)
- 検収を短くする:確認項目を固定し、期限を決める
- 例外(重大な不具合等)だけ、別ルートで合意して処理する
差し引き(協力金等)
- 差し引きがあるなら、名目・根拠・同意・実態を整理。不要なら廃止へ
4. 61〜90日:記録と教育で“戻らない仕組み”にする
最後の30日でやるのは「戻らない仕組み」です。担当者が変わっても同じ品質で回る状態を作ります。
記録(保存)
- 記録は2年間保存(発注、変更、支払、やり取りの要点)
- フォルダ名・案件番号など、“探せる形”に統一する
教育(1枚で伝える)
- 新人・外注担当向けに「やってはいけない11項目」を1枚化
- 業種別ガイドラインがある業界は、自社の商習慣に引き直して反映
ルールは増やしすぎると守れません。「最小の仕組み」で回しながら、必要になったら足すのが現実的です。
まとめ+要約
- 取適法対応は「最小の仕組み」を先に作るのが現実的です。
- 優先は、発注の明示、支払60日、記録2年保存です。
- 90日で、テンプレ統一→支払短縮→教育まで整います。
- 検収と差し引きが長いほど、早めの見直しが効きます。
- 業種別ガイドラインがある場合は必ず参照してください。
FAQ(3問)
Q1. 小さな会社でも、ここまで必要ですか?
むしろ小さいほど、テンプレ化の効果が大きいです。全件対応ではなく “揉めやすい上位3取引”からで十分です。
Q2. 受注側(フリーランス)は何から始めるべき?
着手前に「範囲・金額・支払期日」を文章で確認すること。これが最大の自衛になります。
Q3. 物流や運送も関係ありますか?
取引類型に特定運送委託が追加される整理があり、関係する可能性があります。
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参考資料(一次情報の確認用)
※本記事は、取適法の基本整理(発注時の明示、支払期日、記録保存、禁止行為等)を踏まえて、 “90日で整える順番”として運用設計の観点をまとめたものです。 実務適用は業種・契約形態で異なるため、最新の公的資料で必ず確認してください。
- 公正取引委員会:取適法リーフレット(義務・禁止行為、支払期日等の整理)
- 中小企業庁:取引適正化・価格交渉/価格転嫁ガイドライン(関連)