
取適法のよくある相談3ケース:発注側・受注側の言い分がすれ違う瞬間
Executive Summary(TL;DR 5行)
- 取適法のトラブルは、法知識より「運用のすれ違い」から起きます。
- 相談が多いのは、支払60日、検収・修正、価格協議の3つです。
- 発注側は“管理したい”、受注側は“確定してほしい”で衝突します。
- 解決の鍵は、発注時点の明示と、変更時の合意の記録です。
- 感情の前に「文章1通」を残すだけで、揉め方が変わります。
法律が変わると、現場では「正しさ」より先に「いつものやり方」がぶつかります。 取適法施行後、とくに増えやすいのは、①支払いが遅い、②修正が終わらない、③値段の話ができない——の3つです。 ここでは、よくある相談を“会話の形”で整理し、発注側・受注側どちらも明日から使える着地の仕方を紹介します。
1. ケース1:検収が長く、支払がずれる
発注側の言い分:「OKが出たら払うのが普通。品質が不安だから」
受注側の言い分:「納品したのに、いつまでも支払日が決まらない」
取適法では、支払期日は受領日から60日以内のできる限り短い期間で定める考え方が示されています (検査の有無を問わない整理)。
着地の例:
- 発注時に「検収は〇日以内」「検収での確認項目」「支払日は受領日から〇日」を明示
- 検収で修正が出たら「修正対応=追加か否か」をその場で文章にする
2. ケース2:修正が膨らみ、実質タダ働きになる
発注側:「ちょっと直すだけ。追加費用は出せない」
受注側:「仕様が変わっている。時間もコストも増えている」
取適法の整理では、正当な理由なく無償でやり直しや追加作業をさせることが問題になり得ます。
着地の例:
- 発注時に「無料修正の範囲」を定義(回数ではなく“範囲”がコツ)
- 追加になった瞬間に「追加の見積もり」と「期限」をセットで出す(感情より先に)
3. ケース3:価格協議ができず、関係が悪化する
発注側:「予算がない。相場もある。うちはこの金額」
受注側:「協議してほしい。説明もなく一方的」
新たに「協議に応じない一方的な代金決定」が禁止行為として整理されています。
着地の例:
- 受注側:材料費・人件費・工数など、増えた理由を“1枚”で提示
- 発注側:難しい場合も「なぜ難しいか」「代替案(範囲縮小・納期調整)」を示して協議の形にする
4. すれ違いを止める「文章1通」の型
揉める前に、次の3点だけ文章にします。
1) 何を(範囲) 2) いくらで(代金) 3) いつ払う(期日)
これが揃うだけで、「言った・言わない」がほぼ止まります。
まとめ+要約
- 施行後に増えやすい相談は「支払・修正・価格協議」です。
- 支払は受領日基準で60日以内が基本です。
- 修正は“範囲”を決め、追加は合意して記録を残すのが安全です。
- 価格は“結論”より“協議の形”を残すことが重要です。
- 迷ったら「範囲・代金・期日」の文章1通が最優先です。
FAQ(3問)
Q1. チャット(Slack/LINE等)だけでも“明示”になりますか?
残り方(後で追えるか)と、必要項目が揃っているかが重要です。 実務ではメール等に寄せておくと安全です。
Q2. 受注側が泣き寝入りしない方法は?
まずは協議の依頼を文章で出し、根拠(工数・材料費など)をセットにします。 申告先の整備も進められています。
Q3. 価格交渉を出したら、取引を切られそうで怖いです
報復措置の禁止が整理されています。いきなり強く出ず、「相談(協議依頼)」として記録を残すところから始めるのが現実的です。
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参考資料(一次情報の確認用)
※本記事は、取適法の基本整理(支払期日、発注時の明示、協議の考え方等)を踏まえて、 現場で起こりやすい“すれ違い”をケースとして整理したものです。 実務適用は業種・契約形態で異なるため、最新の公的資料で必ず確認してください。
- 公正取引委員会:取適法リーフレット(義務・禁止行為、支払期日等の整理)
- 政府広報オンライン:価格転嫁・取引適正化に関する解説(関連)
- 中小企業庁:取引適正化・価格交渉/価格転嫁ガイドライン(関連)