
取適法で違反になりやすい11の行為:ありがちな運用を点検する
Executive Summary(TL;DR 5行)
- 取適法では、委託側に「4つの義務」と「11の禁止行為」が整理されています。
- 目立つのは、受領拒否・支払遅延・減額・返品・やり直しの“慣習違反”です。
- 新しく重要なのは「協議に応じない一方的な代金決定」です。
- 「検収が終わるまで払わない」「とりあえず値下げ」は危険信号です。
- 予防策は、発注前の明示と、変更時の合意(記録)を徹底することです。
取適法が施行され、現場で増えているのは「悪気はないけど、運用が古いまま」のトラブルです。 たとえば、検収が長い、修正が無限に続く、協力金名目で差し引く——こうした“昔からのやり方”が、 法律上の禁止行為に触れる可能性が出てきました。今日は、禁止行為(11項目)を難しくせずに、 現場での言い換えとして整理します。チェックリスト感覚で読んでください。
1. 禁止行為11項目を「現場語」にする
取適法の禁止行為(遵守事項)として、例えば次が挙げられます。
- 受領拒否:理由なく受け取らない
- 支払遅延:期日までに払わない(手形払等も含む)
- 減額:発注後に一方的に値引き
- 返品:理由なく返す
- 買いたたき:相場より不当に安い金額
- 購入・利用強制:指定の商品やサービスを無理に買わせる
- 報復措置:申告した相手に不利益
- 早期決済の強要:材料代などを不利に前倒し
- 不当な利益提供の要請:金銭・役務を不当に出させる
- 不当な変更・やり直し:無償の追加作業や修正
- 協議に応じない一方的な代金決定:話し合いを避けて決め打ち
2. いちばん揉める5項目(ありがち例)
(A)支払遅延:検収や入金待ちを理由に遅れる
「修正OKが出てから支払」や「親会社の入金後に支払」は、運用次第で危険になりがちです。 受領日から60日以内が基本です。
(B)減額:協力金・手数料・端数切捨て
名目が何であれ、発注後の一方的な差し引きは“減額”に当たる可能性があります (運用の棚卸し推奨)。
(C)不当な変更・やり直し:無料修正が無限
「ついでにこれも」「やっぱり方向性を変えて」など、追加作業を無償で続けるのは危険です。 発注の追加・変更は合意と記録が要です。
(D)買いたたき:相場無視の“指値”
単価を下げる場合、根拠(仕様、数量、納期、品質)を整理し、 相手と話し合いの形を残すのが安全です。
(E)購入・利用強制:指定のツール・保険・リースの押し付け
「うちの指定の〇〇を使って」は、正当な理由がないと問題になり得ます。
3. 新しく注意したい「価格協議」
協議そのものを避ける(無視、先延ばし、説明なし)ことが問題になり得ます。
発注側は「条件変更があるなら、その理由と選択肢」を示す。 受注側は「コスト上昇や仕様差分を数字で説明し、協議を依頼する」。 この“型”があるだけで、揉め方が変わります。
4. 予防の型(3つだけ)
- 発注前:内容・金額・支払期日・方法をメール等で明示
- 途中変更:追加作業は「範囲・金額・期日」を再合意(口頭禁止)
- 支払:受領日起算60日、記録は2年保存
まとめ+要約
- 取適法の禁止行為は11項目として整理されています。
- とくに揉めやすいのは「支払遅延・減額・やり直し」です。
- 「検収が終わったら払う」は、受領日基準とズレやすいです。
- 新たに重要なのが「価格協議を避けて決める」リスクです。
- 予防は、明示・変更合意・支払期日の3点セットです。
FAQ(3問)
Q1. 手形や長期の電子記録債権はどうなりますか?
取適法の整理では、支払手段も含め「期日までに満額が得にくいもの」が問題になり得ます。 運用は公取委の資料で最新整理を確認してください。
Q2. “無料修正2回まで”はOKですか?
合意している範囲なら設計可能です。大切なのは、回数・範囲・超過時の単価を、 発注時点で明示し記録を残すことです。
Q3. 協力金や協賛金の差し引きは全部NG?
一律の差し引きはリスクが上がります。目的・根拠・相手の同意・実態を整理し、必要なら見直しを。
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参考資料(一次情報の確認用)
※本記事は、取適法の基本整理(義務・禁止行為)を踏まえて、現場での点検観点をまとめたものです。 実務適用は業種・契約形態で異なるため、最新の公的資料で必ず確認してください。
- 公正取引委員会:取適法(中小受託取引適正化法)関連情報
- 公正取引委員会:取適法リーフレット(義務・禁止行為の整理)
- 中小企業庁:取引適正化・価格交渉/価格転嫁ガイドライン(関連)