
全社で根づかせる実装ガイド—経営の意思決定×営業KPI×モニタリング
最終回は「仕組み化」。
経営が枠組みを定め、営業が実務で回し、管理部門がモニタリングする—この三位一体で定着させます。
責任体制(役割分担と意思決定)
役割の基本
- 経営:方針・KPI設定、重要例外の承認
- 営業:協議実施・条件明示・証跡化のオーナー
- 経理:受領日の管理、60日以内支払の統制
- 法務:契約・条項整備、教育、相談窓口
- 内部監査:年次レビューと是正勧告
意思決定の基準例
- 価格改定幅が±5%超→部門長承認
- 支払サイトの例外申請→CFO承認+期限付き
- 協議不調案件→再協議期限と責任者を指名
案件開始前の対象判定フロー
- 取引類型を確認(製造/修理/特定運送/情報成果物/役務)
- 自社と相手の資本金・従業員数を把握
- 基準表で対象関係を判定(継続取引でも発注ごとに確認)
ヒント:SFAや見積テンプレの必須項目に「相手規模・取引類型」を追加すると、判定漏れを防げます。
教育と現場定着(営業Enablement)
- 年次eラーニング:禁止行為、60日以内支払、証跡化の基本を30分で反復
- 現場ツール:発注明示の定型文、協議メモ、結果通知の雛形をチーム共有
- ロールプレイ:値上げ・値下げ・納期の3シナリオでNG→OK話法を練習
営業KPIの例
- 条件明示率:受注案件のうち、書面/メールで条件を提示した比率
- 協議記録率:価格変更案件のうち、協議メモ+結果通知を保存した比率
- サイト準拠率:60日以内支払を満たした比率
月次モニタリングとダッシュボード
- 支払サイト分布:60日以内が100%か、例外は承認済みか
- 手段チェック:支払手段に手形が混入していないか
- 協議ログ:値上げ・値下げ案件の協議メモと結果通知の有無
BIやスプレッドシートでも開始可。最初は“見える化”が目的で十分です。
フリーランス法との並走チェック
相手が個人受託者の場合は、取引条件の明示・報酬支払期日・就業環境の配慮など、フリーランス法のチェックリストも同時に回します。
実務は二つのリストを一枚化し、案件起案時に一括確認するのが効率的です。
まとめ(共有用の要点)
- 経営は方針・KPI・例外基準を明確にする
- 営業は協議→明示→証跡をルーチン化する
- 管理部門は月次モニタリングでブレを矯正する
FAQ
Q1. 既存顧客への運用変更はどのタイミングで告知?
契約更新・単価改定・新発注の各タイミングで、統一メッセージを営業から送付。合意内容はメールで明示します。
Q2. 協議が難航した場合の落としどころは?
根拠の再提示と期限設定を行い、再協議で解決を目指します。不調時は責任者エスカレーションと文書化が必須です。
Q3. 小規模チームで始める場合の優先順位は?
①発注明示の定型化、②受領日と支払サイトの統一管理、③協議メモの標準化、の順で段階導入が現実的です。
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