
健康経営優良法人の申請でつまずく点。中小企業が先に知るべき注意点
Executive Summary
- 不認定は制度理解不足で起こりやすいです
- 目標の書き方には注意が必要です
- 年度をまたぐ集計は使えません
- 代理作成不可の点も見落とせません
- 早めの準備がいちばんの対策です
申請準備で止まりやすいのは、取組不足よりも、制度の読み違いです。本稿では、申請時にありがちなつまずきを整理します。大切なのは、良さそうな言葉を書くことではありません。測れる目標になっているか、制度の趣旨に合っているか、必要な情報を本人が正しく記載しているかです。ここを外さなければ、申請準備はかなり安定します。
目標設定で起きやすいミス
まず注意したいのが、具体的な推進計画の書き方です。手引書では、不認定となった具体例として、「コミュニケーションの取りやすさ」など判断者の主観による定性的な指標、「売上げの向上」「交通事故発生予防等」など健康経営との関連性が薄い指標、「個人がそれぞれ健康課題に対して目標を設定・管理している」のように組織としての目標設定になっていないものなどが挙げられています。
また、「1人当たりの医療費を2万円以下にする」「企業全体での傷病手当金の申請日数を40日以下にする」なども、不適切な例として示されています。必要な受診や申請を抑えてしまうおそれがあるためです。ここからわかるのは、会社が求められているのは、無理な数値目標ではなく、社員の健康をきちんと支える計画だということです。
つまり、目標を立てるときは、「何を、いつまでに、どれくらい改善するか」が見えるようにしつつ、それが社員の健康づくりに本当に結びつく内容かを確認する必要があります。見た目が立派でも、制度の趣旨から外れていれば評価されません。
健診受診率の集計ミス
健診受診率でも誤りが起きやすいです。手引書では、2024年度または2025年度のどちらかの結果で申請できる一方、年度をまたいだ集計結果は記載できないとしています。たとえば、前年度未受診分を後から足して100%にするような考え方は使えません。
この点は、日常の記録が曖昧だと特に混乱しやすくなります。誰が受診済みで、誰が未受診なのか、どの年度の数字なのかをきちんと分けて管理しておかないと、申請直前に数字が合わなくなることがあります。制度をよく理解していても、実務の整理が甘いとつまずいてしまいます。
申請作業の注意点
申請作業そのものにも注意点があります。公式Q&Aでは、行政書士などが業として申請代行することは可能か、という問いに対し、本申請書は代理作成を認めておらず、申請者本人が記入して提出するよう示されています。外部支援を受けるとしても、会社自身が内容を理解している必要があります。
さらに、2025認定を受けていた法人でも、2026年4月以降も認定を受け続けるには2026認定へ申請が必要とQ&Aで案内されています。一度認定されたら終わりではなく、毎年の継続的な取組が前提です。
ここで大切なのは、申請作業を単なる事務処理として扱わないことです。申請書に書く内容を通じて、会社が何を大切にしているかが整理されます。だからこそ、外部任せにせず、自社で内容を理解しながら進めることに意味があります。
準備を前倒しする意味
申請で慌てる会社の多くは、制度を知らなかったというより、確認や整理の着手が遅れています。目標設定、健診の集計、健康宣言の確認、記入担当の決定などは、直前に一気に進めるより、早めに分けて進めたほうが確実です。
特に中小企業では、通常業務と並行して準備することになるため、担当者の負担が偏りやすいです。だからこそ、申請前になってから焦るのではなく、数か月前から必要事項を一つずつ確認していくほうが現実的です。早めの準備は、制度対応を楽にするだけでなく、社内の理解を深めることにもつながります。
まとめ
- 目標は測れる形で書く必要があります
- 健康経営と関係の薄い目標は避けるべきです
- 健診受診率は年度をまたいで足せません
- 申請書は本人記入が前提です
- 認定は毎年の継続が必要です
次の一手:申請書を書く前に、「目標」「集計方法」「記入担当」の3点を先に決めてください。
FAQ
Q1. 相談先に全部書いてもらってもいいですか。
A. 申請書の代理作成は認められておらず、申請者本人が記入して提出する必要があります。
Q2. 目標は前向きなら何でもよいですか。
A. いいえ。手引書では、主観的すぎる指標や、健康経営と関連が薄い指標などは不適切な例として示されています。
Q3. 前年認定されていれば次も自動ですか。
A. 自動ではありません。2025認定法人も、2026年4月以降に認定を継続したい場合は2026への申請が必要とされています。
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