
健康経営優良法人、なぜ中小企業にはハードルが高いのか?
「健康経営優良法人に取り組みたいが、申請まで進めない」——これは経営者だけでなく、人事・総務の現場でもよく聞かれる課題です。
制度は知っていても、準備・社内調整・データ管理が思うように進まず、足踏みになりがち。
本稿では、経営判断の壁と実務運用の壁を切り分けて、本質理由を整理します。
- 健康経営優良法人とは何か(簡潔なおさらい)
- 申請が進まない典型理由(経営×人事の両面)
- 心理的ハードル:現状維持と損失回避
- まとめ
1. 健康経営優良法人とは何か(簡潔なおさらい)
従業員の健康を経営資源として捉え、計画的に推進する企業を国が認定する制度。
中小企業にとっては、採用力・企業イメージ・金融面評価などで中長期のメリットが見込めます。
2. 申請が進まない典型理由(経営×人事の両面)
(1) 書類・手続きが複雑に見える
経営:時間と人員の不足で優先度を上げにくい。
人事:様式や証拠データが多く、集約・整形に工数がかかる。
(2) 費用対効果が見えにくい
経営:短期の売上直結が乏しく投資判断が難しい。
人事:現場に説明できるKPI(離職率・欠勤・採用応募など)の設計が未整備。
(3) 比較情報が少ない
経営:同業の取り組み水準がわからず意思決定が遅れる。
人事:「どの程度の準備で足りるか」の目安が掴みにくい。
3. 心理的ハードル:現状維持と損失回避
- 現状維持バイアス:変化コストを過大評価しがち。
- 損失回避:先に手間と費用を意識し、将来メリットを過小評価。
まずは健診100%と残業管理など、評価されやすい基礎から。
4. まとめ(次の記事へのブリッジ)
壁は「制度の難しさ」だけではなく、社内の役割分担と心理の要因が複合しています。
次稿では、認定に必要な条件と経営・実務メリットを整理します。
FAQ
Q1. 小規模でも対象?
A. 中小規模法人部門があり、人数にかかわらず取り組めます。
Q2. まず何から?
A. 健診受診率100%の仕組み化と勤怠・残業の可視化が近道です。
Q3. 外部支援は必要?
A. 体制やリソースに応じて社労士・アドバイザー活用が有効です。