
南海トラフ地震をはじめとした大規模災害が現実味を帯びる今、企業の防災対策は「経営課題」として捉える必要があります。
特に防災グッズの備蓄は、BCP(事業継続計画)やSDGsの観点からも避けては通れません。
しかし、何をどれだけ、どんな基準で備えるべきなのか——選定に悩む総務担当者や経営者の声は少なくありません。
この記事では、企業として適切な防災グッズの選び方と、相談の重要性について解説します。
なぜ企業に防災グッズが必要なのか?
災害は個人だけでなく、企業にも大きな影響を及ぼします。
南海トラフ地震の発生が懸念される中、従業員の安全確保と事業の継続は、企業の信頼性や社会的責任(CSR)の面でも極めて重要です。
BCP(事業継続計画)において、最低限の業務を維持するための備蓄は不可欠です。
水や食料、衛生用品、照明、簡易トイレなどを備えることで、一時的なライフラインの断絶時でも安全と安心を確保できます。
防災グッズ選定で押さえるべき6つの視点
1. 災害リスクと立地条件の把握
企業が立地する場所によって、想定される災害リスクは異なります。
南海トラフ、首都直下型地震、洪水、土砂災害など、地域のハザードマップを基に備えるべき対策を検討しましょう。
2. 社員数と就業形態の確認
備蓄数の基本は「在社人数 × 3日分」です。
常勤・パート・外注・訪問者なども含めた最大滞在人数を考慮して計画します。
在宅勤務制度がある場合も、最低限の帰社時対策として本社に備蓄は必要です。
3. 最低3日分の備蓄量を確保
政府は企業に対して「3日以上の備蓄」を推奨しています。
水、食料、モバイルバッテリー、簡易トイレ、照明、マスク、救急用品などが優先度の高いアイテムです。
4. 多様性への配慮(アレルギー・性別・外国籍など)
社員の多様性に配慮することも重要です。アレルギー対応食品、女性用衛生用品、外国語表示の説明書きなど、ダイバーシティ対応は企業の信頼を守る視点でもあります。
5. SDGs視点のアイテム選定
SDGs(持続可能な開発目標)を意識した備蓄選びも増えています。
再利用できるグッズ、環境負荷の少ない素材、地域製造品の採用などがCSRやESG評価にも貢献します。
6. 維持管理と棚卸しの体制づくり
備蓄品は時間と共に劣化します。賞味期限管理、補充・更新体制、棚卸しの仕組みを整備することで、無駄なく、いつでも使える状態を保てます。
クラウドでの管理やチェックリスト化が有効です。
防災のプロに相談するという選択肢
防災備蓄は「一度買えば終わり」ではありません。
社内で選定や管理が難しい場合は、防災士や防災コンサルタントに相談するのが効果的です。
社員の命を守る備えは、責任重大でありながら専門知識が求められる分野です。
だからこそ、第三者の視点を活用して、適切な備蓄体制を整えることが、総務担当者や経営者の大きな役割です。
経営と防災は両輪で考える時代
災害対策はコストではなく「経営投資」です。
企業にとっての防災備蓄は、従業員の命と会社の信頼を守る保険であり、BCPやSDGsの達成にも直結する重要なテーマです。
「どれを選べば良いか分からない」「更新や管理の仕組みがうまくいかない」といった課題を感じたら、迷わず防災のプロに相談することをおすすめします。